痛みなどの違和感を感じたら
一人で悩まず性感染症内科に相談を
石川泌尿器科
(大阪市東成区/鶴橋駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
性行為によって感染してしまう性感染症。「もしかして感染してしまったかも?」と思っても、疾患の性質上人に相談しにくく、受診は恥ずかしいという思いから、クリニックへ足を運ぶことをためらう人も多いが、それが病状の進行や感染者の拡大につながってしまう。大阪市東成区にある「石川泌尿器科」の石川泰章院長は、長年にわたり泌尿器科領域の診療を行ってきたドクターで、性感染症についても豊富な診療経験を持つ。今回、豊富な知識と臨床経験を持つ石川院長に、性感染症について詳しく聞いた。
(取材日2021年3月29日)
目次
性感染症は自覚症状が乏しく、自身や大切な人を傷つけてしまう病気。違和感を感じたら専門家の受診を
- Q性病について教えてください。
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A
性行為によって感染してしまう性感染症で、淋菌感染症、クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、後天性免疫不全症候群(エイズ)、トリコモナス症、毛じらみ症などが挙げられます。特に梅毒は、10年前までは同性間の性的接触による感染が多かったのですが、ここ最近は異性間の性的接触による感染が増加しており、現在も高止まりの状況です。さらにコロナ禍において各性感染症の陽性者も増加しています。その原因は、テレワークや出社制限の拡大で一人の時間が増加したこと、外食や旅行などの出費が減少し手元に残るお金が増えたこと、その時間やお金を使って性風俗店を利用する人が増えたことも影響していると考えられます。
- Qどのように感染していくのですか?
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A
性器の接触による性交を行う時だけコンドームをつけていれば安全と思っている人もいるのではないでしょうか。ですが性器と口の接触、性器と肛門の接触によっても、性感染症は感染します。コンドームで覆いきれない部分の体液・血液に触れたり、もしお互いの体に傷があればそこから感染してしまいます。オーラルセックスだけという場合も、はじめから最後までコンドームを使用して外さないようにしましょう。もちろんコンドームをつけていれば100%感染を防げるというものではありませんが、リスクを下げる意味では有用です。
- Q自覚症状はあるのでしょうか?
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A
淋菌感染症の中でも淋菌性尿道炎は、排尿時の強い痛み、尿道口からの膿の排出を伴い、感染に気づきやすいでしょう。性器クラミジアは排尿時の痛み、尿道口からの白濁液の分泌を伴いますが、淋菌性尿道炎と比べると症状は軽い場合が多く、違和感程度のこともあるため気づきにくいと言えます。梅毒はしこり、ただれ、発疹などの症状が出ても、痛みやかゆみがなかったり、途中で消えることもあります。いずれにせよ、自覚症状が乏しい性感染症が多いため、感染していることに気づかないまま性行為を行い、相手を感染させてしまう可能性があります。また治療しない限り治ることはなく放置すると症状が悪化していきます。
- Q市販薬という選択肢はどう思われますか?
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A
現在インターネットではさまざまな治療薬が販売されていますが、そのほとんどが偽造品と考えています。とあるアンケートによりますと、多くの方が「インターネットで販売されている市販薬が偽造品であることを知っている」と回答しているのに対し、なぜ利用しているのかという問いには「自分は大丈夫だから」と回答していました。この「自分だけは大丈夫」という心理はとても危険です。性感染症に関しても、「自分はうつらない」という意識がさらなる感染拡大を招いてしまう可能性があるからです。市販薬は体に害を及ぼす可能性もあるため、ぜひ専門家による診断を受けて、適切な投薬が不可欠と考えています。
- Q性感染症は専門家に相談するべきなんですね。
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A
性感染症は他人に相談しにくく一人で悩まれている方が多いと思います。最近では自宅で判定ができる自己検査キットがインターネットなどで販売されているため、利用する方も増えているようです。ところがこれらの検査の精度は商品によって大きく異なると感じています。どの病気に関しても言えることですが、より確かな診断をお伝えするためにも専門家への受診をお勧めします。尿検査・問診・診療を行い、必要であれば触診や血液検査や、分泌物から菌の有無を調べる検査などを行い、診断と適切な治療を行っていきます。