前納 健二 院長の独自取材記事
あけぼのGMクリニック
(大阪市東淀川区/東淀川駅)
最終更新日:2025/10/15
JR京都線東淀川駅より徒歩3分にある「あけぼのGMクリニック」は地域に根差した医療を提供し続ける歴史あるクリニックだ。診療内容は幅広く、前納健二院長の専門である内科・消化器科はもちろん、心療内科や整形外科、漢方内科にまで多岐にわたる。院内の設備は充実しており、幅広い検診に対応。特に胃や大腸の精密な内視鏡検査に力を入れており、遠くから検査のために通ってくる人もいるそうだ。「患者さんの人生のいろいろなステージで貢献できればと思っています」という院長の言葉どおり、訪問診療にも力を入れており、患者の最期まで診療に関わっている。優しく穏やかな口調が印象的な前納院長ではあるが、言葉の端々に医療にかける思いがあふれているのを感じた。
(取材日2017年11月2日)
幅広い診療項目で、症状に多面的なアプローチを
幅広い診療をしているクリニックなんですね。

前身の小林胃腸クリニックでは、検診で引っかかった方の胃腸の検査としてバリウム検査、胃・大腸の内視鏡検査などを中心にやっていたんです。そのクリニックを僕が継承することになり、地域の方の声にお応えする形で専門の先生にお願いして、診療項目を増やしてきました。僕は消化器内科が専門分野なので、内科・消化器科はもちろん、整形外科や心療内科、漢方専門の外来、脳波検査も行っています。それぞれ予約制で、外来の時間が限られているんですが、少しずつ地域の皆さまにも浸透してきて、今は検査だけでなく、かかりつけ医として外来の患者さんにもたくさん来ていただけるようになってきました。また、在宅診療やターミナルケアにも力を入れています。
さまざまな科に対応されていることの、メリットをお聞かせください。
不定愁訴といわれる症状や胃腸の症状に対しては、心療内科の分野が原因になっている場合も多いんですよ。検査をしても内科的には問題がないけれど、胃が痛んだり、ムカムカや胸のつかえが治らないという方はたくさんいらっしゃいます。そういった場合、心療内科の先生と連携して、心理的な問題の解消を図ることで症状の改善が期待できる場合があります。また、漢方も専門に学んだ先生がいますので、症状に合わせた処方や飲み方をお伝えすることが可能です。ですから、漢方での治療を希望される方が遠くからいらしてくださったりもしていますね。一つの症状に対してさまざまなアプローチをかけられるというのはメリットになるんじゃないかなと思います。
どんな患者さんが多いですか?

この地域に古くからあるクリニックということで、近隣にお住まいの皆さんが通い続けてくださっていて、現在は高齢の方が多くおみえになります。在宅で診させていただいている患者さんの中には100歳の方もいらっしゃるんですよ。また、最近は近くに引っ越してきた若いファミリーも家族ぐるみで来てくださるようになってきました。ただ、混雑し待ち時間もできてしまうことがあるのですが、お一人お一人丁寧に診察や治療にあたるよう心がけております。それから検診を希望される方。会社などの検診で再検査が必要だと言われた方や企業健診などでいらしてくださる方も多いです。定年退職された人が「在職中にここで検診を受けていたから」と遠方から検診のために来てくださることも多く、非常にうれしく思っています。
自覚症状が少ない病気だからこそ、積極的な検診を
内視鏡を使っての大腸検査には抵抗がある人が多いのでは?

検査に関しては苦手意識をお持ちの方も多いですし、特に大腸の検査に関しては嫌だとおっしゃる方が非常に多い検査です。しかし、大腸の病気というのはなかなか自覚症状が出にくく、自分で大腸がんの可能性に気づくのは難しい。ですから、一度受けておいて損はない検査なんですよ。ポリープに関しても、自分ができやすい体質かどうかはなかなかわかりません。自分では大丈夫と思っていらっしゃる方でも、2mmや3mmの小さいポリープが見つかることは多々あります。そういったポリープを放っておくとがん化するリスクがあるんです。知らないでいて、自覚症状が出たときには進行していることも多い。ですから、少なくとも検便で異常が見つかったら放置をせずに、早めに検査を受けていただきたいと思います。
検査は痛みを伴うのでしょうか?
検査に関しては大丈夫という方と苦手とおっしゃる方、反応が両極端ですね。正直に申し上げて違和感や痛みを感じる方はいらっしゃいます。できるだけ麻酔は使わないでの検査をお勧めしていますが、必要に応じてごく弱い麻酔を使用する場合もありますね。「どうしても怖い」という場合は、納得いくまでご相談いただけたらと思います。健康のために行う検査ですので、できるだけ苦痛が少ないように配慮したいと考えています。痛みや違和感の感じ方も人それぞれですから、お一人お一人に合わせた方法で行っていけたらいいなと思っていますし、嫌がることを無理やりすることはありませんので、安心して検査を受けてもらえたらと思いますね。
定年退職後、検診から足が遠のいてしまう方も多いのではないでしょうか。

そうですね。自覚症状がない場合、わざわざ「検診に行こう!」とならないものだと思います。ですが、できれば1年に1度でも検診を受けて、自分の体の状態を把握していただけたらなと思いますね。定期検診の内容自体はそんなにハードな検査は含まれていません。身長・体重の測定だったり血液検査が中心になりますので、面倒がらずに受けてもらいたいなと思います。また胃の検査は、慢性疾患をお持ちの方はもちろん、ピロリ菌がいると診断された方は除菌をしてから定期的に胃の検査をしていただいたほうがいいでしょう。検便で何度か異常が出た方、ポリープができたことのある方は大腸の検査も毎年か2年に1度くらいは受けてもらったほうが安心だと思います。早期発見であれば後遺症が少なく済むこともありますので、やはり早めに検査を受けることは大切ですね。
地域のかかりつけ医として、地域医療に貢献し続けたい
先生が診療する際に気をつけていることを教えてください。

基本的には、当院は地域のかかりつけ医だと思うんです。小さな診療にも対処していく。その中で必要な治療、検査をできるだけ自分のところでやるのがクリニックのスタンスですね。「何かあったらあけぼのさんに相談してみよう!」という場所でありたいと思うんですよ。相談されたときに「それはうちで聞く話じゃないから」といったことがないようにと思っています。どんな相談でもきちんと聞いて、適切に対応していく。必要があれば必要な病院を紹介して、場合によっては市役所の窓口を紹介して……といった具合に、患者さんのためにどうするべきかを一番に考えて動く。僕は人の役に立つ仕事をしたいと思って医師になったのだから、自分の知識や技術、人脈を惜しみなく地域の皆さんに提供することをいつも考えるようにしています。
先生が医師になって良かったと思うのはどんなときですか?
もちろん、患者さんが元気になってくれることが一番ですよね。ただ、最近では在宅医療をしていて、終末期を自宅で過ごされる患者さんのところに行くことも少なくありません。在宅でのターミナルケアに関しては、病院で提供する医療とはまた違い設備の整っていないご自宅でのケアとなります。それだけに患者さんご自身にも、ご家族の皆さんにも、できるだけ不安なく、過ごしていただくことが大切だと思うんですよ。ですから、ご本人やご家族とよくコミュニケーションをとりながら最期の時を迎えて、その時「いい看取りのお手伝いができたのかな」と思えたら、それも医師の喜びの一つになるのかなと思います。
最後に先生の今後の夢、展望を教えてください。

一つはこのクリニックがこれからもこの地域で愛されて、続いていくこと。なんでも相談できる場所としてここにあり続けること、地域の中で信頼される医療機関であり続けることが目標です。それから、将来婦人科の検診もできるようにしたいなと考えています。今は婦人科の領域はここでは診ることができないですが、そこにも対応できたらもっと多くの患者さんの健康維持に貢献できるんじゃないかと思うんです。せっかく検査に来てもらえたのであれば、2つのクリニックに行くことなく当院ですべての検査ができれば、もっと多くの方が気軽に検診を受けられるのではと思うんです。より多くの方の健康の手伝いができるようにしていきたいなと思っています。

