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出馬 晋二 院長の独自取材記事

出馬クリニック

(大阪市天王寺区/鶴橋駅)

最終更新日:2021/10/12

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JR環状線・近鉄大阪線・大阪市営地下鉄千日前線の鶴橋駅からすぐにある「出馬クリニック」。1942年の開業以来、3代にわたって同じ場所で地域に根差した診療を行ってきた。現在の院長、出馬晋二先生は、父の代でいったん閉院していたクリニックを、何とか復活させたいと力を尽くし、2002年に再開を果たした。他の病院での勤務も兼ねながら、時間をかけ丁寧に患者と向き合う姿勢が評判となり、遠方からも多くの患者が訪れている。そんな熱い思いを持った出馬晋二先生に話を聞いた。

(取材日2017年9月5日)

地域に根差し、女性の一生を見守るドクター

こちらは1942年開院の伝統あるクリニックだそうですね。

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もともと祖父が、お産も扱う産婦人科の病院を開業していたのですが、父の代でお産が減ってきたときに小さなクリニックに変えました。しかしその後、父が脳梗塞で倒れ、いったんクリニックを閉めたんですよ。でも、祖父の代から60年近く、ずっと地元に密着してきたクリニックですし、僕も大学は埼玉医科大学に進みましたが、それ以外はずっとこの天王寺区で生まれ育ってきたので、いつか医院を再開したいと思っていました。大学卒業後は大阪医科大学附属病院に勤務し、出向して枚方市民病院や生駒総合病院、蒼生病院など複数の病院で経験を積みました。経験を生かして2002年にこのクリニックを再開、現在も他の病院での勤務とかけ持ちなのですが、何とか3代にわたるクリニックを続けることができています。

産婦人科の医師になろうと決めた理由は何ですか?

何科に進むか進路に迷ったときに、父から「産婦人科は内科的要素も外科的要素もあり、何より出生から子宮がんなどの病気で亡くなってしまうところまで、人の一生に関わりながら診ていける科である」という話を聞き、父と同じ産婦人科の道を選ぶことを決めました。大学で勤務医をしていた時は、子宮頸がんに対する「円錐切除術」というレーザーを用いた手術を専門に担当していました。初期の子宮頸がんやがんになる一歩手前の「異形成」という段階において、子宮を温存しながら治療できる手術です。小さなクリニックでもできる手術ですが、職人のような細かいテクニックが求められ、僕自身こだわりを持ってやっていました。現在、当院では円錐切除術はやっていませんが、委託医として籍を置いている「大阪がん循環器病予防センター」と「大阪府医師会保健医療センター」で定期的に手術を担当しています。

「子宮頸がん」と「子宮体がん」は、どのように違うのですか?

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子宮がんは2種類あり、1つは子宮の入り口の表面に腫瘍ができる「子宮頸がん」、もう1つは子宮の奥に腫瘍ができる「子宮体がん」です。同じ子宮のがんでも、症状の現れ方や罹患しやすい年齢は異なり、子宮体がんは不正出血などから気づくケースもありますが、子宮頸がんは初期段階では自覚症状がないことがほとんどです。症状があったら皆さん検診を受けようと思うと思いますが、子宮頸がんは出血や痛みが出てからではすでに進行していることが多いため、無症状でも定期的に検診を受けることが重要になってきます。子宮頸がんは子宮の入り口に発生するがんなので、患部の細胞を直接観察することができ、乳がんなどの他のがんに比べて発見しやすいといった特徴があります。早い段階で治療が開始できれば、比較的治療しやすいがんであると言えます。

精神的なケアも行う産婦人科のホームドクター

子宮頸がん検診の啓発に力を入れておられるとか。

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子宮頸がんは婦人科領域で最も多いがんで、国内では年間約4000人もの方が子宮頸がんで亡くなっています。ですが、日本の検診受診率は先進国の中でも極めて低い状況にあります。国や地方自治体も補助を行って受診を促していますが、なかなか受診率アップにつながっていません。子宮頸がんはワクチンもありますが、副作用のことばかりが報道されて、疑問視する声が多いのが現状です。受診率が上がらない理由としては、婦人科の内診に抵抗を感じる人が多いこともありますが、子宮頸がんが命に関わる病気だという意識が低く、「自分は大丈夫だろう」と楽観的に考えている人が多いことも1つではないでしょうか。子宮頸がんでつらい思いをする人を減らすためにも、検診を啓発することが産婦人科医師の使命だと感じています。

クリニックではどんな診療が受けられますか?

当院では、婦人科検診、生理不順、婦人科系疾患、更年期の不調、妊娠指導などを行っています。受診される方の多くは、何らかの悩みや不安を抱えて来られているわけですから、それを少しでも和らげられるように、治療やお薬だけでなく、精神的なケアもできるよう心がけています。特に更年期障害で悩んでおられる方は、ホルモンの変化だけではなく、ストレスが関係していることも多く、時間をかけてお話ししていくことで不安や病状の軽減を図ります。次に来られたときに、前回と顔つきが変わっていることもあるんですよ。時間をかけて説明していくのは効率的ではないかもしれませんが、患者さんが笑顔になれるクリニックでありたいです。

産婦人科診療で心がけていることは何ですか?

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「どうしてその検査が必要なのか?」「なぜこんなふうに治療を進めるのか?」患者さんにとって一番の不安は、「わからないこと」です。診療では、どんな意図で検査をし、どういう目的の治療なのかを、できるだけわかりやすく伝えるようにしています。また「セカンドオピニオン(第2の意見)」として必要な情報を提供することで、納得して手術や治療に専念できるようにお手伝いしています。最近はインターネットで手軽に情報が得られるようになりました。特に妊娠や出産、婦人科の病気の話は情報が錯そうしていて、皆さんが惑わされているように思います。病名で検索しても、症状の現れ方は一人ひとりで違うし、同じ治療法がどの人にも当てはまるとは限りません。不確実な情報に頼るよりも、安心して相談できる産婦人科のホームドクターをもってほしいと思います。

納得のいく治療で、患者を笑顔に

出馬先生の診療スタンスをお聞かせください。

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直ちに治療が必要な疾患が見つかった場合は、「こうしたほうがいい」とこちらから強く提案しますが、子宮筋腫や更年期からくる不調のように、治療の選択肢がいくつかあって、経過観察で済む病気の場合は、その方のライフスタイルや希望を聞いて、どうするのが一番良い方法か一緒に考えていくようにしています。大きな病院だとどうしても1人の患者さんにかける時間が短くなり、専門的な話を一方的に伝えるだけになってしまいがちですが、患者さん一人ひとりの気持ちに寄り添い、時間をかけて治療を進めていけるのは、小さなクリニックだからできることです。たとえ精密検査や手術が必要な病気が見つかったとしても、最初に訪れたクリニックで丁寧な説明を受け、病気や治療について理解できれば、患者さんも安心して治療に挑めると思うのです。

趣味や、休日の過ごし方についてお聞きします。

若い頃はバンドを組んでいて、よく歌っていましたが、今は忙しくてできなくなってしまいました。たまにカラオケに行って歌うくらいです。運動なら、ゴルフに行くことはあります。以前は、放送局の人が声をかけてくださって、ラジオ番組にも出演していました。自分がラジオ世代で、昔はよくラジオを聞いていたから、「やってみないか?」と言われて「楽しそうだな」と思って挑戦しました。2006年から2008年頃のことですが、ブースに入って話をし、収録するのが楽しかったですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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「まさか20代でがんになるなんて」と、皆さん思われていることでしょう。しかし、子宮頸がんは若年層に多い病気で、40歳以上の発生率が減少している一方で、20代から30代では増加傾向にあります。これまで1度も子宮頸がんの検診を受けたことがなくて、妊娠を機に初めて訪れた産婦人科で検査を受け、そこで病気が発覚することも実際にあります。妊娠中にがんが進行するような場合は、母体の安全を考えて、そこで出産を諦めなければならなくなります。子宮頸がんは発見が遅れると、子どもが産めなくなり、最悪の場合は命まで奪われてしまう怖い病気ですが、早期に見つかれば円錐切除術で子宮を温存し、妊娠、出産できる可能性を残せます。先ほどもお話ししましたが、初期段階では自覚症状がないため、早期に病気を見つけるには検診を受けるしかありません。若い方は特に、定期的に検診を受けてほしいと思います。

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