堀井 睦 院長の独自取材記事
堀井耳鼻咽喉科
(大阪市港区/朝潮橋駅)
最終更新日:2024/08/29
朝潮橋駅から徒歩2分の「堀井耳鼻咽喉科」。1965年の開院以来、地域医療に貢献し続ける地域に根差したクリニックだ。2005年からは堀井睦先生が院長として診療を担当している。もともと内科で診療をしていた経験と知識を生かした幅広い視点と、耳鼻咽喉科の専門性を兼ね備えた診察が特徴だ。耳鼻咽喉科の一般診療はもちろん、アレルギー性鼻炎や睡眠時無呼吸症候群の治療にも力を入れる。自身の育児経験も生かした診療を行い、特に小児の鼻詰まり処置に強みがある。明るく気さくな人柄で、治療過程を丁寧に説明する姿勢を大切にする診療方針で、親子2代にわたる患者や外国籍の患者の来院も多い。スタッフとの連携も良好で、和やかな雰囲気が印象的だ。多くの患者から親しまれる理由と、診療で大切にしている想いを聞いた。
(取材日2024年7月9日)
内科での経験を生かし、患者に寄り添う耳鼻咽喉科診療
耳鼻咽喉科の医師とこちらの院長になるまでの経緯を教えてください。
医師を志したきっかけは、幼少期の体験にさかのぼります。体が弱く、よく小児科に通っていました。そこで出会った先生の患者さんの話をよく聞かれる姿勢に憧れを抱いたのです。その後、総合病院で数ヵ月ほど入院した経験も加わり、医師になる夢がさらに強まりました。大学卒業後は、まず内科の医師としてキャリアをスタートさせました。転機となったのは、耳鼻咽喉科の医師である夫との結婚です。夫は大学教授をめざす中で、私は内科から耳鼻咽喉科へとキャリアチェンジを決意したのです。恩師のもとで経験を重ね、手術や処置の技術を磨きました。1992年に堀井耳鼻咽喉科での勤務を始め、出産を経て、2005年に義父から院長を引き継ぎました。内科での経験を生かしつつ、耳鼻咽喉科の専門性を探求しながら、現在に至っています。
内科での診療経験は、現在どのように生かされていますか?
耳鼻咽喉科の診療は、中耳炎、扁桃炎、副鼻腔炎などの細菌感染症を多く扱うので、内科で学んだ感染症の取り扱いや抗生物質の使い方は特に役立っています。例えば、血液疾患や免疫疾患の患者さんは免疫機能が弱っていて感染症にかかりやすく、治療も難しい場合が多いのです。こうした方の予防や治療のために、抗生剤の選び方や使い方はかなり勉強しましたよ。細菌感染症以外でも、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、手足口病などは耳鼻咽喉科の領域で発症するので、耳鼻咽喉科はいわば「感染症の診療科」ともいえます。そしてそれらの感染症は、発熱や下痢、倦怠感など全身症状も伴うので、内科的な視点を持つことで全身状態を考慮した総合的な診療が可能になるのです。
耳鼻咽喉科の中で、特に力を入れている治療や処置はありますか?
患者さんの生活の質の向上を目的に、いくつかの治療や処置に注力しています。まず、小児の鼻炎症状への対応です。鼻水をしっかりと吸い取るための処置を重視しています。早期の適切な処置は中耳炎や気管支炎の予防にもつながります。次に、「舌下免疫療法」という治療法です。これは、アレルギー成分を毎日体に取り入れ、3年から5年ほどかけて体質改善を図る方法です。根気のいる治療ですが、体がアレルゲンに反応しにくくなることが望め、アレルギーの薬の使用をかなり減らせたり、不要になることも期待できます。さらに、診断過程の丁寧な説明を心がけています。例えば、風邪症状の診断では、喉の状態や鼻水の程度から予測される経過を詳しく説明します。中耳炎の場合は再発のリスクや治療の重要性を伝えます。このような説明により、患者さん自身が症状を理解し、治療に前向きになれるようにサポートしています。
世代を超えて、国境を超えて、親しみやすさを大切に
どのような患者さんが多く通われているのでしょうか。
当クリニックには赤ちゃんから高齢者まで、幅広い年齢層の患者さんが来院されますが、特徴的な点がいくつかあります。まず、子どもの患者さんが多い印象であることです。これには複数の要因があると考えています。大阪市が18歳までの子どもの医療費助成制度を実施していることも一因でしょうし、私自身が学校医を務めていて、子どもたちに顔を覚えてもらっていることも影響しているかもしれませんね。立地も大きな特徴です。朝潮橋駅から徒歩2分の便利な場所にありますし、自転車や徒歩で近隣からお越しになる方も多いですね。南港地区からの患者さんもいらっしゃいますね。また、この地域の特性を反映してか、外国籍の患者さんも来院されます。地域に根差したクリニックとして、多様な患者さんのニーズに応えられるよう努めています。
外国籍の患者さんへの対応で、心がけていることはありますか?
すべての患者さんに対して、丁寧なコミュニケーションを心がけていますが、外国籍の方には特別な配慮が必要な場合もあります。私自身、海外留学の経験があり、英語対応が可能なので、言葉の壁を感じることなく症状を伝えていただけます。これにより適切な診断と処置につながり、安心して通院していただけると思います。だんだんと外国がルーツの方の来院が増えてきています。さらに、クリニック全体の雰囲気づくりにも気を配っています。私たちのユニフォームはカラフルなTシャツです。「クリニックらしくないクリニック」といえるかもしれませんが、子どもたちが怖がらない雰囲気づくりは、外国籍の患者さんにとっても親しみやすい環境になっていると感じています。国籍や年齢を問わず、誰もが気軽に受診できる環境づくりを心がけています。
患者さんには、クリニックをどのように活用していただきたいでしょうか。
当クリニックは、私が院長になってから間もなく20年になり、子どもの頃に来ていただいた患者さんがそのお子さんと来院されることもあります。世代を超えた信頼関係を築けているのではないかなとうれしく思いますね。鼻や耳の処置、喉の扁桃腺の診察など、耳鼻咽喉科領域の症状であれば、どんな些細なことでもご相談いただきたいですね。また、小児科や内科との使い分けに悩まれる方も多いのですが、首から上の症状は当クリニックで、首から下の症状は小児科や内科を受診いただくのが良いかと思います。当院で対応が難しい場合は、連携している専門の医療機関を紹介することも可能です。患者さんが安心して相談できる雰囲気づくりを心がけていますので、迷った際はお気軽にご相談ください。
「来て良かった」と思える地域のかかりつけ医へ
地域のかかりつけ医として、どのような役割を果たしたいとお考えですか?
地域のかかりつけ医として、大切にしているのは、総合的な視点と患者さんへのきめ細かな配慮です。まず、地域の医療機関との連携を重視し、他の医療機関と病状相談ができる関係を築いています。一つの医療機関だけで判断するのではなく、さまざまな角度から患者さんの健康を考えるためです。また、診療のモットーは、「いつも、どの患者さんにも、来て良かったと思いながら帰ってもらえるように診療する」ことです。これは、義父からクリニックを引き継いだ時に決めた、譲れない信念です。例えば、鼻の処置を受けられた、医師やスタッフとのおしゃべりが楽しかった、適切な病院を紹介してもらえそう、説明がよくわかったなど、何か一つでも患者さんが良かったと感じられることを提供したいのです。患者さんが笑顔で帰られると、私たちもうれしくて、それを糧に日々の診療に取り組んでいます。
休日はどんなことをしてリフレッシュされていますか?
医療の現場から離れてリフレッシュすることは、患者さんにより良い診療を提供するためにも大切だと考えています。最近は、休日に声楽を楽しんでいます。合唱団に所属し、声楽のレッスンに通っているんです。また、合唱団の仲間との横のつながりも大切にしています。時には誘われて歌いに行くこともあり、そういった交流も私にとっては大切なリフレッシュの時間ですね。
最後に、今後のクリニックの運営や地域医療に関してのお考えを教えてください。
地域医療の継続性は非常に重要だと考えています。患者さんにとって、いつもの場所にかかりつけのクリニックがあることが、大きな安心につながると考えます。将来的には、診療理念を共有し、患者さんに寄り添ってくれる優秀な医師に引き継ぐことができればと思います。そうすることで、このクリニックが地域の方々にとって永続的な安心の場所になることを願っています。地域に根差したクリニックとして、これからも患者さん一人ひとりに寄り添い、信頼される医療を提供し続けていきたいです。