HPVワクチンとがん検診で予防をめざそう
子宮頸がん
ちもりメディカルクリニック
(大阪市福島区/玉川駅)
最終更新日:2023/12/06


- 自由診療
女性特有のがんである子宮がん。中でも子宮頸がんは20〜30代に発症のピークを迎える、比較的若い人に発症しやすいがんだ。しかし、初期には自覚症状が乏しく、進行してから慌てて病院に駆け込む人も少なくない。そんな現状を変えるべく、子宮頸がん予防に注力しているのが福島区にある「ちもりメディカルクリニック」の千森弘子院長だ。「子宮頸がんの原因はウイルス。ウイルス感染を防ぐことが、子宮頸がんを予防する最大の方法と考えています」と語る千森院長は、HPVワクチン接種や子宮頸がん検診を受けることを女性たちに積極的に呼びかける。晩婚化が進み出産年齢が上昇傾向にある日本で、早期発見・早期治療のためにできることは? 詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2023年10月25日)
目次
子宮頸がんは予防が望めるがん。重症化を防ぐためにもワクチン接種や定期的な検診を
- Q子宮がんにはどのような種類がありますか?
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A
▲子宮がん検診の定期的な受診が大切
子宮がんは主に2種類。子宮の奥にできる子宮体がんと、子宮の入り口である子宮頸部にできる子宮頸がんです。発症年齢や原因は大きく異なっており、エストロゲンの過剰な刺激などさまざまな要因が重なって起きる子宮体がんが40代以降に発症が増えるのに対し、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起きる子宮頸がんは20代後半から発症が増える若い人にも起こりやすいがんです。HPVは性交渉によって感染するウイルスで、性交渉の経験がある女性の多くに感染経験があると推計されています。HPVを保菌しているから必ずがんになるというわけではありませんが、検診やワクチンなど予防への意識を持っておくことが大切です。
- Q子宮頸がんに初期症状はありますか?
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A
▲初期の場合はほぼ自覚症状がなく、検診で判明することが多い
子宮頸がんには痛みなどの自覚症状が少なく、特に早期に症状が現れることはまずありません。子宮頸がん検診で、がんの前段階である細胞の異形成が見つかった人でも、無症状であることがほとんどです。しかし、異形成に気がつかず放置し病状が進行すれば、おりものの異常や不正出血などが起こり始めます。自覚症状がないうちから観察・治療を開始できればそれほど怖いがんではありませんが、がんが進行すれば子宮や周辺の組織を摘出することになりかねませんし、最悪の場合には命を落とすことも。子宮頸がんは、ウイルス感染を防止できれば予防が望めるがんです。命を守るためにも、ワクチンの接種や定期的な子宮頸がん検診を受けましょう。
- Q子宮頸がんワクチンについて教えてください。
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A
▲正しい知識を多くの女性に持ってもらいたいと話す千森院長
日本国内で使用できる子宮頸がんワクチンは、2価ワクチン、4価ワクチン、9価ワクチンの3種類です。定期接種ワクチンなので12〜16歳の女子であれば接種はすべて公費となります。また、1997年4月2日~2007年4月1日に生まれて過去に子宮頸がんワクチン合計3回の接種を完了していない女性も、キャッチアップ接種の対象となりますので公費で受けられます。子宮頸がんワクチンにはネガティブな印象をお持ちの方が多いのですが、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症を予防するためのワクチンと同じこと。その有用性は非常に高いですから、積極的に接種していただきたいですね。
- Qワクチン接種はわからないことも多く、副作用も心配です。
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A
▲リスクを少なくするため、ワクチンの接種と定期的な検診が有用
ワクチンの副作用としては、接種した部分の痛みや腫れ、発熱などが考えられますが、他のワクチンと比べて特別なことはありません。注射への強い恐怖や緊張から血管迷走神経反射による失神等を起こす可能性はまれにありますが、接種後に30分ほど安静にすることで対応可能です。これは、アレルギーなどがある場合も同様です。接種に関して不安に感じていることがありましたら、まずは事前に相談いただければ、安心できるよう配慮して対応します。
- Q子宮頸がん検診についても教えてください。
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A
▲コルポスコピーを用い、精密検査も行っている
子宮頸がん検診は、子宮頸部から細胞を採取し、異型の有無を調べる検査です。問診・視診・触診・細胞診が基本で、必要に応じてコルポスコープという拡大鏡やエコーでの検査も行います。エコー検査では、子宮頸がんだけでなく子宮体がん、卵巣がん、および、子宮筋腫などの発見にも非常に有用ですので受けておくとさらに安心ですね。細胞診では、子宮頸部の細胞を専用の器具でこすり取ります。エコー検査や細胞採取の際には、違和感や痛みを感じる人もいます。緊張して体に力が入ると、痛みを感じやすくなります。検診のポイントはリラックスすること。検診時はゆったりとした服装でご来院いただき、心配なことがあればなんでも相談しましょう。