「制限ではない」生活習慣改善へ
専門家と取り組む糖尿病治療
武内小児科・内科
(大阪市都島区/都島駅)
最終更新日:2024/10/16
- 保険診療
予備軍も含めると国内に2000万人以上いるとされ、まさに国民病ともいえる「糖尿病」。しかし自覚症状に乏しいこともあり、健康診断などで指摘されても放置している人も少なくないのではないだろうか。「武内小児科・内科」の武内真有院長は、日本糖尿病学会糖尿病専門医を有し、その豊富な知識と経験をもとに糖尿病の専門診療を提供。患者の言葉を否定せず、具体的な目標数値設定のほか、診察室には常にインスリン注射や血糖値が上昇しにくい甘味料などを備え、患者の要望があれば即座に実物を見せながら説明するなど治療へのモチベーションを維持できるよう工夫しているという。そんな真有先生に、糖尿病専門クリニックでの診療のメリットや、治療の流れ、他の医療機関との連携など、同院の糖尿病治療について話を聞いた。
(取材日2024年10月4日)
目次
まずは糖尿病を知り、生活習慣の改善からスタート。専門家と共に二人三脚で取り組む糖尿病治療
- Q貴院の糖尿病治療の特徴について教えてください。
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A
インスリンポンプを用いた持続皮下インスリン注入療法は当院では難しいのですが、その他の血糖値を下げるための注射薬に対応しています。近年、糖尿病に対する新しい内服薬が多く出てきており、患者さん個人個人に合わせて処方しています。また、通常の血糖自己測定器はもちろん、24時間の持続血糖自己測定器も採用しています。大阪中央病院勤務時代には同病院の健診センターで生活習慣病を指摘された方が外来に紹介されていたので、初期段階の患者さんをよく診療していました。健診で引っかかったという方も安心してお越しいただきたいですね。
- Q診療で大切にしていることは何ですか。
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A
正しい医学知識をお伝えした上で患者さんの病態と個々人の生活などに沿って、お互い話し合って診療方針を決めることを大切にしています。また疾患を解説するリーフレットや食事療法のための食品交換表などさまざまなツールを示しながら、運動療法であれば実演してみせるなど、患者さんが理解しやすいよう工夫して説明することを心がけています。インスリン注射は抵抗感が強い方も多いのですが、診察室で実物を用いて使い方を見せたり、血糖自己測定よりも細い針を使用しているため思っているより痛くないことなども含めて、説明しています。血糖値が上がりにくい甘味料なども常備し、患者さんが気になったらすぐに紹介できるように努めています。
- Q治療の流れを教えてください。
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A
まずは紹介状や健診データをもとに、前回検査時より日がたっているなら改めて血液検査を実施します。ヘモグロビンA1c、尿検査、血糖値測定は院内でできますが、それ以外の項目の生化学検査は外注検査となりますので次回来院時に結果を報告します。通院頻度は2週間に1回から3ヵ月に1回程度まで、患者さんの状態によりさまざまです。治療に関しては、生活習慣病は食事療法と運動療法が基本というのが私の考え。よほど状態が悪い場合を除き、最初からお薬を出すケースは少なく、食事と運動による生活改善からスタートしていただきます。それでも十分な改善が認められない場合に薬物療法を始めます。
- Q専門クリニックで行う治療にはどのようなメリットがありますか。
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A
糖尿病は症状がないため、気がつかないまま長く高血糖状態を続けてしまっていたり、血糖値が高くなってきているのを知りながら受診がなんとなくできていなかったりという方もおられます。合併症が進んでいない段階で見つけ、治療の重要性を適切に伝え、定期的に血糖コントロールやリスク管理をするのが糖尿病専門医の仕事だといえるでしょう。また近年は新薬の登場、欧米の糖尿病治療の動向など学ぶことも多く、個々の病態に応じて早期に適切な薬を選択して投与する知識も必要です。網膜症や腎症、神経障害など三大合併症の他、動脈硬化や心筋梗塞、がんリスク増なども考えて細やかな治療方針を定められるのも、糖尿病専門医の強みだと思います。
- Q他の医療機関との連携も大切にしているそうですね。
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A
大阪市立総合医療センターをはじめ、さまざまな医療機関に紹介しています。糖尿病は診断を受けた時点でその症状の重さは問わず入院の適用があり、血糖コントロールの悪い方などはもちろん、血糖値が安定している状態でもご希望があれば「教育入院」という形でのご紹介が可能です。また連携する各医療機関では糖尿病教室などを開催しており、患者さんが知識を得られる機会が設けられています。当院の患者さんにも教室に参加してもらい、疾患を学び、生活改善に向けてご自身に合う手法を考えていただいた上で、治療について話し合っていければと考えています。将来的には当院でも糖尿病教室を開けるようになるのが目標です。