米山 知寿 院長の独自取材記事
さくらのき米山ファミリークリニック
(向日市/西向日駅)
最終更新日:2025/12/03
西向日駅から徒歩3分。レンガ造りの外観が印象的な「さくらのき米山ファミリークリニック」は、小児科、内科、アレルギー科をはじめ、在宅医療までオールマイティーに対応するかかりつけ医。米山知寿(ともひさ)院長は小児外科で移植医療などの研鑽を積む中、新型コロナウイルスの流行を機に、よりジェネラルに診られる医師になりたいという思いを強くし、在宅医療の道へ。2025年8月に同院を前院長から継承するとともに、その思いも受け継ぎ、病児・病後児保育施設の運営にも注力。医師として「人のために尽くしたい、困っている人を助けたい」という思いを貫いてきた米山院長に、地域医療にかける想いをじっくりと聞いてきた。
(取材日2025年10月30日)
新型コロナウイルス流行を機に総合的に診る医師を志す
医師をめざしたきっかけは何だったのでしょうか?

小学校3年生の時、親戚が亡くなったことが影響しています。その時はよく理解できず、ただただ身内が泣いている姿を見て「こんなに悲しむことがあるのか」と衝撃を受けました。死というものを初めて身近に感じ、それからというもの医師という仕事を意識するようになりました。歯科医師である父も「医師になってほしい」と言っていましたし、「学校の先生がいいかな」と思った時期もありましたが、やはりなれるならなろうと。父の言葉とあの時の経験が重なり、医師という道が自分の中で自然と定まっていったのだと思います。
小児外科を選んだ経緯と、在宅医療の道に転身した経緯を教えてください。
もともと子どもが好きだったというのが一つ。外科の道を選んだのは、お子さんを回復へ導いていく分野だったということが大きいですね。大阪大学時代には、移植医療に携わっていました。転機になったのは新型コロナウイルスの流行。感染対策の観点から、「移植医療をする人は発熱者を診てはいけない」という通達が来たんです。やむを得ないこととはいえ、世の中でこんなに困っている人がいるのに診察もできないもどかしさが自分の中に募っていきました。もっとジェネラルに、体も心も診られる医師になりたいと、小児外科の医局を出て在宅医療の道へ転向を決めました。
そして、こちらのクリニックを継承することになったのですね。

実は、前院長の横林文子先生とは継承の話があるまで面識はありませんでした。ですが、初めて見学に来た時の雰囲気、近隣の環境、そして横林先生が車いすで診療を続けている姿を見て、ぜひ、ここを受け継ぎたいと思ったんです。ただ当時は内科や在宅医療の経験はあるものの、お子さんをかかりつけ医として診るには経験をもっと積む必要があると感じていました。そこで、まず大阪のクリニックで院長経験を積み、他の小児科でも診療に立ち、自信と覚悟がついたため、2025年8月に継承しました。この地を選んだもう一つの理由は、私の実家がある箕面と環境が似ていたからでもあるんです。実は、学校の隣という立地も実家と同じなんですよ。
病児保育も営むファミリークリニックとして
どのような診療を行っていますか?

ファミリークリニックの名を冠しているとおり、患者さんは赤ちゃんからご高齢の方まで幅広いですね。小児科、内科、アレルギー科を診療し、私の小児外科での経験と在宅医療の経験を生かした医療を提供しています。今後、落ち着いたら小児外科的な処置も取り入れていきたいと考えているところです。設備面も充実させており、診察室が3つ、点滴・リハビリ室があり、発熱・発疹患者専用の入り口と待合も設けています。待合室には畳スペース、ベビーベッド、絵本やおもちゃ、漫画までそろえています。どの世代の方も居心地良く過ごせるよう工夫していて、駐車場も6台分あるので車での通院も便利です。
病児・病後児保育施設について教えてください。
向日市の中でも早くから開設に向けて取り組んだ病児・病後児保育施設は、先代の思いが詰まった大切な事業です。前院長ご夫妻が地域の子育てを支えたいという強い願いを持って始められたもので、新型コロナウイルス流行中は感染対策に苦労しましたが、スタッフ全員が前向きな気持ちで協力し合い、継続してきました。私自身も、この保育の場は今後も守り続けたいと強く思っています。隣に中学校、向かいに幼稚園という立地にあり、共働き家庭のニーズが非常に高いことを日々実感しています。働く親御さんが安心して仕事に取り組めるよう、今後も力を注いでいきます。
訪問診療についてもお聞かせいただけますか?

当院は「クリニックに通える間はリハビリがてら来てほしい。でも何かあればいつでも在宅診療に対応しますよ」というスタンスです。実際に訪問診療を利用している患者さんは少ないものの、今来ている方でも訪問への移行を検討しても良い段階の方が何人かいらっしゃいます。でも「通うことが健康づくりの一つになるなら」と考え、毎日来てもいいからできる方は通院してもらい、難しくなったらすぐ行くからと伝えています。長くいるスタッフから教えてもらいつつ、より深く患者さんを知っていきたい。先々代の頃から通っている方もいらっしゃるので、一人ひとりの歴史を大切にしながら診療していきたいです。
スタッフとともに温かい地域医療を届けたい
スタッフのことも聞かせてください。

信頼できるスタッフが集まってくれています。患者さんが小さい時から知っている方もいて、「昔はこうだったんだよ」と教えてくれます。私は今までのことを知らないので、そういう情報は本当にありがたいですね。私が継承してから新しく入ったスタッフもいて、みんなで協力し、患者さんにもスタッフにも居心地の良い環境をめざしています。診療後、19時頃に外に出ると隣の中学校からバスケットボールの音が聞こえてきて。実家の前が体育館だったので、その音で「ああ、懐かしいな」と安心するんです。そんな地域の中で、スタッフと一緒に働けることが幸せです。
今後についてどんな展望をお持ちですか?
前院長から引き継いだ温かく楽しい雰囲気を、スタッフみんなでこれからも守っていきたいですね。私は「地域を明るくしたい」という思いが強くて、医師から離れてパン屋さんになりたいと思ったこともあるんですよ。でも先輩から「医師免許はすごいものだから」と言われ、自分ができることはまず地域医療だな、と。だから小児外科だけでなく、もっと幅広く診られるようになりたかった。実は来春に子どもが生まれる予定で、看護師の妻のために料理を始めました。最近はいい包丁を買って、みじん切りで涙を流しながらキーマカレーを作りました。そんな家族との時間も大切にしながら、地域医療に貢献していきたいです。
読者へのメッセージをお願いします。

当院は年代問わず、ご家族皆さんで通っていただけるファミリークリニックです。赤ちゃんから高齢者まで、どなたでも気軽にご相談ください。通院が難しくなったら訪問診療でしっかりサポートしますし、病児・病後児保育にも引き続き力を入れていきます。前院長から引き継いだ「地域に根差した温かい医療」という思いを大切に、新しい風も吹き込みながら、皆さんの健康を支えていきたいと考えています。初めての方も、昔から通ってくださっている方も、「ここに来て良かった」と思っていただけるよう、スタッフ一同頑張ります。クリニックの吹き抜けから入る明るい陽光のように、皆さんの心も明るくなるような、そんな場所でありたいですね。

