松崎 修二 院長の独自取材記事
まつざき小児科
(宇治市/木幡駅)
最終更新日:2026/09/02
1994年に開院し、2024年に30周年を迎えた「まつざき小児科」は、京阪宇治線・木幡駅からすぐのビルの2階にある。物腰やわらかな松崎修二院長はその人柄だけでなく、大規模病院で長く新生児集中治療室(NICU)に携わってきた実績や、医師としての経験が豊富な点も強みだ。小児腎疾患の治療を得意としているが、専門性にとらわれずに小児科疾患全般を広く受け入れたいという想いから、あえて積極的にはアピールしないのも院長らしい。診療では「子どもは小さな大人ではない」の言葉を念頭に、異変がどこから来ているのかを注意深く見極めることを心がけている。「些細な不安でも気軽に相談に来てほしい」と話す松崎院長に、同院の診療について聞いた。
(取材日2025年6月25日)
30年以上地域に愛される、はと時計がシンボルの医院
開業までさまざまなご経験を積まれたとお聞きしました。

関西医科大学を卒業後、同大学院に進学し博士課程を修了。付属病院などで診療経験を積みました。特に新生児集中治療室(NICU)での日々は、とにかく忙しい毎日でしたね。当時は未熟児に使用できる機器もほとんどなく、産科で生まれたばかりのリスクの高い子を車で搬送しながら処置するというスタイル。呼吸の様子を確認したり体温が下がらないよう温めたりと、一刻を争うような状態の新生児をたくさん診てきました。NICUだけでなく一般病棟にも長く勤めていたので、生後すぐのお子さんから対応でき、小児疾患全般に経験が生かせることも強みです。
来院する患者さんはどんな症状の方が多いですか?
多いのは、アレルギー疾患や感染症などです。私の専門は小児腎疾患ですが、あえて専門性を前面に出すことはせず幅広く対応しています。せっかく当院に来ていただいたのに診られませんとお断りするのは、不安にさせてしまいますから。病気に対する意識も保護者によってそれぞれ違いますし、中には「こんなことで連れてきてすみません」と言われる方もいますが、子育てで困っていることでも何でも全体的にサポートしたいと思っています。また、最近は心の病気が体の病気を引き起こしている子が増えていると感じます。起立性調節障害とひとくくりにされることも多いですが、そこから不登校につながるなど深刻になる場合もあります。適切な医療機関に紹介することも含め、子どもも親もしっかりとケアできるよう症状をじっくりと聞くことから始めています。
院内のこだわりや人気の場所を教えてください。

入り口から緩やかなスロープになっていて、天井に雲をイメージした装飾をしているのがお気に入りです。待合スペースのはと時計は、現在3代目。毎正時と毎時半に音が鳴ると、子どもたちが走って見に行くんですよ。子どもの頃に来院した方が親になり、自身の子を連れてくることもよくあるのですが、はと時計の音に「懐かしい」と言ってくれていて、変わらないことも大切なのかなと感じています。また、診察室からマイクで次の患者さんを呼ぶスタイルも長年同じです。私にはその姿は見えないのですが、元気な声でうれしそうに「はーい」と返事をする子どもたちが、当院のいつもの風景です。
年齢を考慮した会話で患者本人から症状を引き出す
開院から30年がたち、時代や患者の変化を感じることはありますか?

1994年開院なので、平成の初期から令和まで世の中は大きく変化してきましたが、いつの時代も変わらないのは赤ちゃんの世話の大変さ。初めての子育てには不安なことも多いと思います。いわゆる核家族化で祖父母が近くにいない方もいますが、その分、子育てに積極的に参加している父親をよく見るようになったのも一つの変化ですね。お風呂に入れたりおむつを替えたり普段からしっかりと子どもに向き合っているので、症状もきちんと聞き出すことができるでしょう。
子どもと接するときに心がけていることはありますか?
症状を聞くときはまず、お子さんに話しかけることを意識。うまく伝えられなければ保護者の手助けが必要なこともありますが、小学生にはすべて自分から話してもらうようにしています。また、診察室に入ってきた時と帰り際にハイタッチ、新型コロナウイルス感染症の流行以降はグータッチが恒例です。1歳ぐらいならちゃんとグータッチができますし、先日来院した高校生の子は、話が終わってもなかなか出ていこうとしないので不思議に思っていると「先生、グータッチは?」と言われて。成長してもコミュニケーションとして定着していたのだと、30年たって新たな発見を得た気分でした。勤務医の頃は日々の業務に追われてそんな時間すらありませんでしたが、開院から続けてきたことがちゃんと伝わっていたのだとうれしかったですね。ちなみに、妻からは「診察中は生き生きとしていて、実に楽しそう」と言われました。私にとって、この仕事が天職なのでしょうね。
診察で大切にされていることを教えてください。

「子どもは小さな大人ではない」ということです。大人と子どもでは同じ風邪でも対応が違いますし、年齢を考慮した症状の聞き方が必要です。大人ならある程度ご自身で重い・軽いが判断できますが、お子さんはくまなく見なければいけません。もし本人が「おなかが痛い」と言っていたとしても原因は別だったということも考えられますから。信用していないわけではなく「他にも何かがあるかもしれない」と思いながら見落としのないよう注意深く診察しています。
相談したいと思った時が相談時
診察は院長一人でされているのですね。

はい、診察は私一人で行い、看護師もいないので予防接種や採血などは保護者に抱っこしてもらう必要があります。今では珍しいようですが、そのほうがお子さんもリラックスして受けてもらえると考えています。そして、何となくいつもと違う「Not doing well」の子の診察には、保護者の知恵が必要です。いつもより食べる量が少なかったとか、そんな些細なことから全身を診てみたら病気が見つかることがあるかもしれません。子どもが自分自身で言えない症状をどのようにくみ上げ、取りこぼさないか。治療の判断が私一人に委ねられていることを肝に銘じながら、お子さんと向き合うようにしています。
保護者の協力も大切なのですね。
毎日お子さんに接している親のセンサーが頼りですから。そして、つっけんどんに追い返されることはないだろうと信頼してもらえるような関係性を作っておくことも重要です。私はあまりしゃべるのが得意ではないほうですが、お子さんと同様に保護者ともコミュニケーションはできるだけ重ねるようにしています。「何となく」を放置せずしっかりと診察し、何もなければ「結果オーライだったね」でいいんです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

相談事は箇条書きになるようなものではありません。うまく言葉にできないけど聞いてほしい、相談したいと思った時が相談時。一人で悩む方に安心をどうすれば共有できるかなと考えながら、日々診療にあたっています。最後は人と人のつながりなので、どんなに小さな子でも懐いてくれるとか安心してくれるとか、そんな信頼関係を深めていければと思います。小さなことでも構いませんので、ぜひ何でもご相談ください。

