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土井 孝浩 副院長の独自取材記事

土井内科

(宇治市/三室戸駅)

最終更新日:2022/11/18

土井孝浩副院長 土井内科 main

京阪宇治線の三室戸駅、宇治駅から徒歩7分の場所にある「土井内科」は、この地域で3代にわたって続くクリニック。現在は日本循環器学会循環器専門医の土井孝浩副院長が中心となり、父であり糖尿病が専門の院長との二診制で地域の健康を守り続けている。土井副院長は、中核病院や大学病院で研鑽を重ねた循環器内科のエキスパート。循環器疾患や一般内科から糖尿病などの生活習慣病までその診療範囲は幅広く、同院の2階には心臓リハビリテーション施設を設け、心臓病患者の運動指導や地域住人の健康づくりにも力を注ぐ。そんな土井副院長に、同院での取り組みや体力維持の大切さ、患者や地域に寄せる思いなどをじっくりと語ってもらった。

(取材日2022年6月27日)

豊富な経験・知識と専門性を地域に還元していきたい

こちらにはどのような患者さんが来られますか?

土井孝浩副院長 土井内科1

院長である父が日本糖尿病学会の糖尿病専門医ということで、もともと糖尿病患者さんの割合が非常に高いのが当院の特徴でした。長い方では祖父の代から通っておられる患者さんもいて、現在もやはり中高年からご高齢の患者さんが中心ですね。私の専門は循環器ですが、そもそも糖尿病と循環器は関連が深く、父の負担を減らすべく私も糖尿病の診療も行い、現在は管理栄養士による食事指導や外部施設との連携などを組み合わせながら対応しています。循環器に関してもご高齢の患者さんが中心ですが、小児の循環器疾患の場合は同じ宇治市内で開業している専門の先生と連携を取りながら診療を進めるケースもあります。

先生が循環器を専門にされた経緯を教えてください。

私は京都大学医学部の出身で、最初に勤務した同大学医学部附属病院では糖尿病を専門に学びました。その後、滋賀県立成人病センター(現・滋賀県立総合病院)で循環器科のエキスパートだった故・玉井秀男先生と出会い、医師としての心構えや矜持を学ばせてもらいました。そこから循環器科に魅力を感じ、さらに研鑽を積みたいと考えて北九州市にある社会保険小倉記念病院(現・小倉記念病院)の循環器内科に飛び込んで延吉正清先生に師事。カテーテル検査や治療を数多く経験しながら狭心症や心筋梗塞の疾患を取り扱い、並行してペースメーカーの治療も経験するなど、一通りの技量を身につけることができました。そこからまた京都大学大学院へと戻るわけですが、新たな治療に注目が集まり始めた時期にあって、偉大な先生の下で仕事ができたことは今も私の誇りです。

現在の診療で心がけていることは何でしょうか?

土井孝浩副院長 土井内科2

あくまで患者さん本位の診療を提供することですね。当院では看護師のほか、検査技師や管理栄養士、薬剤師などが一丸となって医療にあたっていますが、もしご希望があれば他の病院への転院やセカンドオピニオンも気軽にお勧めしています。大切なのは、ご自身にとって一番いい方法を見つけていただくこと。患者さんの利益を一番に考えておりますので、何か気になることがあれば気軽にご相談いただければと思います。ちなみに私自身、現在も京都大学医学部附属病院などから要請をいただいて手術に出向いています。先端医療の空気にふれておくことで、専門領域での感覚や知識を常にブラッシュアップしていきたいという思いがあるからです。それをここに通っておられる患者さんに還元し、地域の中で高いレベルの医療を提供できるクリニックを今後もめざしていきたいと思います。

併設の心臓リハビリ施設で手厚い運動指導を展開

2階には広々とした心臓リハビリテーション施設がありますね。

土井孝浩副院長 土井内科3

高齢になって身体能力が下がって動けなくなると、生活の質が一気に下がってしまいます。そこにもっと注目してほしいというのが私たちの思いです。私は学生時代から野球が好きで、30代の頃に試合で膝の靱帯を切って3度も手術を受けました。体力づくりの重要性を身をもって体験したことがきっかけとなり、運動をしながら治療に取り組める場として用意したのが心臓リハビリテーション施設です。心臓病のある人は、運動せず安静に過ごすことが当たり前のように思われていた時代もありましたが、最近では「体力をつけることが心臓を助ける」という考え方が一般的になりつつあります。心臓が事故を起こさない範囲で運動を行い、体力をつけていくことで健康寿命を延ばしていく。それが心臓リハビリテーションのめざす目標です。

具体的にはどのような運動を行うのでしょうか?

心臓リハビリテーション室は、体操エリア・マシンエリア・ウォーキングエリアに分かれており、体操エリアでは準備運動やゴムチューブを使った軽い筋力トレーニング、スクワットなどの自重トレーニングのレクチャーが受けられます。ただし、日常の運動習慣がここで完結するわけではありません。あくまで日頃の運動成果をチェックする場であり、また、皆さんとわいわい盛り上がりながら運動ができるコミュニティーの場であるとイメージしてください。心臓リハビリの指導を行う専門スタッフのほか、専従の看護師、運動負荷検査などにあたる検査技師など、チーム一体で運動指導にあたっています。一人ひとりができる範囲を見極めながら手厚くサポートしますから、誰でも安心して取り組めると思いますよ。

心疾患のある人しかリハビリ施設は利用できないのでしょうか?

土井孝浩副院長 土井内科4

フレイル(虚弱)と心不全は密接に関わっているため、もし患者さんに心不全などの症状があれば心臓リハビリの保険適用が可能です。しかし心疾患でない一般の方であっても、生活習慣病などを予防・改善していくという目的があればメディカルフィットネスという形で運動指導を受け、リハビリに取り組むことができます。リハビリテーションという言葉は、もともとは「本来の状態に戻す」という意味。診察で大切なのは、日頃の運動はどうしているか、1日にどれくらい歩けばいいかなど、患者さんの状況を細かくチェックし、具体的な目標を示していくことです。故障した野球選手がもう一度グラウンドに立ちたいと願うように、今の生活をどのレベルまで戻したいのかを具体的にイメージしながら希望を持っていただければと思います。そのためにはまず何より、私自身が絶対に諦めないことが肝心と心得ています。

一人ひとりが充実した社会生活を実現するために

こちらは3代続く医院だと伺いました。

土井孝浩副院長 土井内科5

もともと母方の祖父がこの地で診療所を営み、私の父が1992年に土井内科を開業しました。開業前から大学病院などで忙しく働く父を見て育ったせいで、小学生くらいまでは医師になりたくありませんでした。父は休日もなかなか家で過ごすことができず、普段の夕食も家族と一緒に取れない。自分が家庭を持った時に、そんな仕事に就いているのは嫌だと思ったのが正直なところです。ところが年齢を重ねて進路を考える中で、なんとなく父と同じ道を進むべきではないかと。それで京都大学医学部へ進学して医師になり、さまざまな勤務を経て2003年に大学院で再び京都大学に戻った頃に、ゆくゆくは当院を継ごうと考えるようになりました。

お父さまの院長先生は80歳を超えておられるそうですね。

普通なら介護に入ってもおかしくない年齢ですが、父はまだ元気でバリバリの現役です。以前と変わらず頭の回転も早く、少し耳が遠くなったくらいで本当にすごいことだと思いますね。父親という意味でも医師という意味でも大先輩ですから、今も手本にさせてもらっています。壁越しに聞こえてくる父と患者さんとのやりとりに耳を傾けていていると、「なるほど」と盗んで参考にできることもたくさんありますよ。でも、今の父だからこそできるトークもあるわけですね。今の私には、まだまだ無理かもしれません。10年後、20年後になれば、私の考えも世の中も変わっていることでしょう。それが成長であり、進歩というものではないかと思います。

最後に、地域の方へ向けたメッセージをお願いします。

土井孝浩副院長 土井内科6

現代は寿命100歳の時代。まだまだ先は長いんです。ただ、その一方で健康寿命とのギャップが課題となり、新型コロナウイルスの影響でまた広がりつつあります。それに負けることなく地域の皆さんの満足な社会生活をめざし、その方法を常に探っていきたいと考えています。どの診療科であっても、医療の目的は結局そこにあるわけですね。糖尿病や狭心症、心不全、不整脈という病気が具体的にどういうものか、一般の方が知らないのは当然のこと。難しいことをわかりやすく説明するのが私たちの役割です。病気に関する専門的な治療も、健康生活のためのアドバイスも、気になることがあればどうぞ安心してご相談ください。

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