乳房のしこりやかゆみなど
症状がなくても定期的な乳がん検診を
なかつかさ足立医院
(京都市西京区/桂駅)
最終更新日:2023/03/09


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患者数は年々増えており、近年は40代後半の発症が目立ってきているという乳がん。実は乳がんは、がんの中でも自分で触って発見できるがんであり、早期に治療を始めることで根治もめざせる点が大きな特徴である。早期発見のためには乳がん検診が有用だが、日本の受診率はまだまだ低いと話すのは、乳腺疾患の豊富な治療経験を持つ「なかつかさ足立医院」の中務克彦先生。「気になる乳房のしこりや分泌液、かゆみや張りなどの違和感といった、乳がんの進行に伴って起こりやすい症状を自覚している人はもちろん、症状がない人も定期的な乳がん検診によって病気を防いでいくことが重要です」という。今回、乳がん検診の有用性やタイミング、実際の検診の流れなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2020年7月6日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qこちらの乳がん検診ではどのような検査を受けられますか?
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A
マンモグラフィを使った検査と、エコー検査を受けていただけます。マンモグラフィは初期の乳がん、エコー検査はしこりができている乳がんの発見に役立ちます。また、乳腺が萎縮していない若い世代の乳がんは、マンモグラフィの画像では見つけにくいケースもあるので、両方の検査を受けることでがんの発見率が高くなると考えられます。当院では、それぞれの検査の特長を生かし、検査の精度を一層向上させるために、マンモグラフィで撮影した画像を見ながら、医師がエコー検査で気になる部分を重点的にチェックします。検査の精度をさらに向上させるためには、可能ならば2つの検査を同じ医療機関で、同じ医師のもとで受診されるのがお勧めです。
- Q何歳頃から検査を受けるべきでしょうか。
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A
京都市では40歳の女性に無料クーポン券が届くほか、40才以上の女性は2年に1回、マンモグラフィの乳がん検診の費用が免除されます。検査は当院のような指定医療機関で受診でき、初めての人でも「市の乳がん検診を受けたい」と電話予約していただくだけでかまいません。自治体では2年に1回の受診が推奨されていますが、実際に診療していると「1年ごとに受診していれば予後はもっと良かった」と思うケースは少なくありません。特に家族に乳がんの方がおられる場合は、慎重を期して毎年受診するのが理想です。また若い世代の患者数が増えていることもあり、医師の立場でいうとできれば30歳からの習慣にしてもらいたいですね。
- Q乳がんになりやすい要因や自己触診について教えてください。
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A
乳がんは、食生活の欧米化や肥満、遺伝的な要素、晩婚化など、さまざまな要因が関係しているといわれており、発症率が高くなるのは40代後半から。まさにその年代の女性は仕事でも家庭でも大切な存在であり、早いステージで病気を防いでいく必要があります。また検診と並んで重要なのが自己触診です。しこりや乳頭の分泌物がないか、乳房に触れてチェックする癖をつけましょう。また、かゆみや張りなどの乳房の違和感、生理が終わって乳房がやわらかくなった時に痛みのない硬い塊を感じる場合は、すぐに乳腺外科を受診してほしいです。もちろん自己触診だけで判断するのは危険なので、初期症状がなくても定期的な検診を習慣化してください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1検査予約・問診
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待ち時間をできるだけ短くするために、診療は基本的に予約制となっている。ただし、当日予約にも対応しているので、心配なことや気になる症状があるなら、受診を先延ばしにしたりせずに検査を受けるようにしよう。また、市民検診や職場の健康診断などで要検査の指摘を受けた場合も、すみやかに受診することが大切。当日は、受付で簡単な問診票を受け取り、必要事項を記入して医師による問診を待つ。
- 2医師による問診で詳細に症状を把握
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問診票に記入した内容をもとに、医師が聞き取りを行う。しこりなどの症状の有無や程度、家族の乳がん経験者の有無、これまでの検査経験についても尋ねられる。乳がん検診が初めてという場合や乳がんを心配している人の場合は、受診時に緊張していることも多く、落ち着いて検査が受けられるように丁寧な説明や言葉がけが行われる。緊張しているとマンモグラフィ検査がうまく行えないので、リラックスすることが肝心だ。
- 3マンモグラフィ検査
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妊娠中でなければ、検査着に着替えてマンモグラフィ検査を受ける。検査は、マンモグラフィ検査について専門的なトレーニングを積んだ女性技師があたる。患者も女性の技師を希望する人が多いそうで、知識・経験が豊富な同性の技師の存在は心強いだろう。患者が緊張していると、医師が診断しやすい画像が撮れないこともあるので、患者の緊張をほぐして、鮮明な画像を撮るのは技師の手腕によるともいえる。
- 4エコー検査
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マンモグラフィの画像はすぐに診察室に送られ、医師が検査画像を確認しながら、エコー検査、視診・触診を行う。その結果、がんの可能性が高いと診断されれば、病理検査が行われる。病理検査は局所麻酔下で行われ、所要時間は5分から10分程度。ここまでの検査を1日でできるのは、小回りのきくクリニックの大きなメリットといえる。エコー検査で異常を確認できないケースでは、MRI検査を行って診断を行うこともある。
- 5検査結果説明
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検査、診察の結果はすぐに患者に伝えられる。一方、病理検査を行った場合は、検査結果が出るまで1〜2週間かかる。乳がんの病理検査は難しく、正確な診断のためには病理専門の医師との密接なコミュニケーションが必要となるそう。乳がんの確定診断がついた場合は、希望する病院に紹介されて手術を受ける。クリニックの医師が病院に出向いて手術を行うこともあるそうだ。手術後の診療は、クリニックで受ける人も多い。
自由診療費用の目安
自由診療とは乳がん検診/6000円~1万1000円