若い女性こそ注意が必要
定期的な子宮がん検診を
南部産婦人科医院
(京都市下京区/梅小路京都西駅)
最終更新日:2025/07/09


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「がん」というと中高年以降に注意が必要なイメージがあるだろう。しかし、「子宮頸がん」は特に若い女性に増えているがんだ。増加の原因はさまざまだが、一つには予防につながるワクチンの接種率や子宮がん検診の受診率が、日本は他国と比べると低いこと。また、子宮頸がんや子宮体がん、卵巣がんなど女性特有のがんは、初期症状がほとんどなく自覚しにくいことも要因の一つだ。女性疾患の予防に注力する「南部産婦人科医院」の南部吉彦院長は、「定期的な検診が、がんの早期発見・早期治療につながります。女性の体は年齢ごとに変化しますから、普段から産婦人科をかかりつけ医に持つことも病気を見逃さない秘訣です」と話す。今回は子宮がん検診の必要性や受診のタイミングなどについて詳しく聞いた。
(取材日2025年6月10日)
目次
通常の細胞診検査からHPV-DNA検査、精密検査まで実施し、子宮頸がんの早期発見につなげる
- Q子宮がん検診は、なぜ受けないといけないのでしょうか?
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A
▲検診の大切さについて話す院長
子宮頸がんを予防するため、定期的な検診が推奨されています。子宮頸がんの原因は主にHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染。性交渉により感染します。現時点では、感染しても90%以上は約2年で消失するのではないかと考えられていますが、まれに感染が持続するケースがあり、放置するとがん化する可能性があるといわれています。初期の子宮頸がんはほとんどが無症状で、不正出血など症状が出た時には、かなり進行していることも珍しくありません。一方で、大半の症例は数年かけてゆっくりとがん化するため、前がん病変の段階で発見できれば、結果的に進行した子宮頸がんの予防となり、子宮温存も、妊娠・出産もできるといわれています。
- Q特に子宮がん検診を受けるタイミング、注意すべき年齢層は?
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A
▲年齢に関係なく発症する可能性がある子宮頸がん
子宮頸がんは20~30歳代の若年女性に多く発生するがんです。この数年増加傾向にあり、年間で約1万人が子宮頸がんになり、約2900人が亡くなっています。そこで大半の市町村では20歳以上の女性に対して公費負担で検診できる制度を設けています。京都市や亀岡市では、20歳、24歳、28歳のタイミングで市民に公費で受けられるクーポン券を配布し、検診を促しています。前がん病変からがんに進行するまでには、およそ5~10年かかるといわれますから、1~2年に1回のペースで受診すると良いでしょう。また高齢の方が発症しないわけではないので、年齢に関係なく継続した受診をしていただきたいですね。
- Q子宮がん検診ではどのようなことをするのですか?
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A
▲負担の少ない子宮がん検診を心がけている同院
検診は、内診にて子宮頸部という子宮の入り口を専用ブラシで軽くこすり、子宮頸部の細胞を集めて検査機関に出します。検診結果は3~4週間でご自宅に郵送されます。「気恥ずかしい」という人もいますが、タオルをかけて直接見ないように心がけるなどの配慮をしていますし、痛みもほぼありません。検査自体は1分もあれば終わり、着替えなどを考慮しても5分くらいで済むので、気軽に受けていただけます。検査で細胞異常が見つかった場合には、まずはHPVによるものかを調べるためHPV-DNA検査を行います。細胞異常が多く出た場合やHPV-DNA検査で陽性の場合は、前がん病変があると疑われますので、子宮頸部の精密検査を行います。
- Qこちらのクリニックでの検査の特徴を教えてください。
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A
▲子宮頸がんの精密検査も行っている
一般的に子宮頸部の精密検査は大きな病院でしか受診できませんが、当院はクリニックでは珍しく、精密検査とその後の病理診断の評価までを実施しています。健康診断や他院での子宮がん検診などで異常があった方は、当院で初診から精密検査することが可能です。精密検査では、コルポスコープという拡大鏡を用いて子宮頸部を観察し、疑わしい部位の組織を数ヵ所採取します。検査するため20~30分ほどの時間がかかりますから、電話で予約をお願いしています。また「どうしても男性医師に抵抗がある」という方のために、当院では女性医師が担当する診療時間も設けています。女性医師も子宮頸がんの精密検査ができますので、お申し出ください。
- Q子宮がん検診についてのお考えを伺ってもよろしいですか?
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A
▲患者一人ひとりに丁寧に説明し、寄り添う
現時点では、感染後の病変やウイルスを取り除く治療法はなく、子宮頸がんから命を守るための予防手段としては、ワクチン接種と定期的な検診しかありません。HPVワクチンの定期接種は、12歳から16歳まで受けることが推奨されています。ですが、対象年齢をオーバーしていても、また男性でも自費でワクチン接種をすることは可能です。ワクチン接種に慎重な親御さんもおられますが、丁寧にご説明しますのでご相談ください。また女性はライフステージごとにかかりやすくなる病気が変わります。定期的に産婦人科を受診していたことで、子宮体がんや卵巣がんが見つかるケースもありますから、お守りのように子宮がん検診を受けるといいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはピル(初回誘導料含む)/3850円~