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南部 吉彦 院長の独自取材記事

南部産婦人科医院

(京都市下京区/梅小路京都西駅)

最終更新日:2020/08/31

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75年以上の歴史がある「南部産婦人科医院」の3代目院長を務めるのは南部吉彦先生だ。大学の研究室時代は婦人科腫瘍学・病理学の研究に力を入れ、医院に勤務してから20年以上にわたって京都の産婦人科医療に貢献してきた。温厚で頼れる雰囲気の南部院長とベテランスタッフがそろうアットホームな同院では、産科、婦人科のさまざまな相談に応じている。妻の南部香成子先生も産婦人科医師であり、2人体制で女性医師を希望する患者にも対応。できるだけ自然で安全に行う分娩をモットーとし、家族で見守る出産を大事にしている。「新しい命との出会いが産科を続ける原動力」という南部院長に、医院の取り組みや出産への思いについて話を聞いた。
(取材日2020年7月28日)

ベテラン医師とスタッフが女性の悩みに親身に対応

歴史ある産婦人科だと伺っています。

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終戦直後に祖父が開業しました。それから父、私と続いていて、私が勤めてからは20年ほどになります。小学生から医師をめざし、大学の時に「新しい生命が生まれる」という他の科にはない魅力を感じて産婦人科の医師を考えました。実際に働いていてもお産の場面が一番醍醐味があると思います。新しい命の誕生の瞬間に立ち会え、お母さんと赤ちゃんが笑顔で退院されることがうれしいです。医師は私と家内の2人体制で、看護師と助産師は24時間勤務でいつでも連絡がつきます。私の自宅も医院の隣ですので何かあってもすぐに対応可能です。

どのような患者さんが来られていますか?

産科、婦人科を合わせ、女性の体をトータルに診ていますので、患者さんは胎児期の赤ちゃんから80歳過ぎの方まで幅広い年齢層が来られます。最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響で学校が休校になり、そのストレスから生理周期が乱れる学生の方も増えていますね。生理痛や生理前のいらいら、頭痛などの症状はピルやホルモン剤で軽減をめざせますし、更年期の方の症状に対しては、漢方薬が適する場合がありますので、症状に悩まされている方は気軽にご相談ください。私は大学時代、腫瘍の研究室に席を置き、その後の勤務医時代では子宮頸部異形成という子宮頸がんの前段階の治療に多く携わってきました。現在の診療でも、その経験を生かして前がん病変の人の精査と経過観察に力を入れ、手術も行っています。ほかにも膣炎や骨粗しょう症、子宮下垂による排尿障害など、多様な症状に対応しています。

ティーンエイジャーの女の子は産婦人科になかなか来にくいというイメージがあります。

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女性医師の診察時に来てもらうこともできますし、最近は緊急避妊という方法が広く認知されていて、若い人が来られるケースもよくあります。必要ない場合は内診をしないこともありますし、性交渉経験のない人は超音波のみで診ることもあります。子宮頸がんについては妊娠中に前がん病変が見つかると、ガイドラインに沿って経過観察となり、その後の治療も苦労することが多いです。20歳から30歳代の若い方や、結婚前の方もがん検診を定期的に受けてもらうことは非常に重要だと思います。できれば子宮頸がん予防ワクチンを中学生から高校1年生のうちに打ってもらうとありがたいです。

赤ちゃん、家族、女性のための多彩な取り組みを実施

「パパカンガルーケア」を実践されていると伺いました。

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今は新型コロナウイルス感染症の影響であいにく中止しているのですが、以前はご主人が分娩に立ち会われた時に上半身裸になってもらい、赤ちゃんが産まれて呼吸状態が落ち着いてから、5分か10分ほど抱っこして肌と肌の触れ合いを感じる「パパカンガルーケア」を行っていました。母性本能は赤ちゃんが産まれると自然に発生すると本にも書いてありますが、父性本能は学習だと書かれています。その一つの助けになるのではと10年ぐらい前から始めました。最初は25%の参加率でしたが、去年は75%以上が参加されています。「人生が変わりました」というお父さんもいらっしゃいました。もちろん、お母さんも出産後に早期にカンガルーケアをし、産まれてから一時間以内に最初の授乳をしてもらっています。

カンガルーケアのほかに産科で取り組まれているケアはありますか?

母親教室、安産教室、妊婦ヨガの教室を開いたり、骨盤ケアもしています。骨盤が緩んでいると赤ちゃんの頭が下がってきやすく、妊娠中に骨盤ケアや骨盤をベルトで固定することで、ある程度切迫早産を防ぐことができますし、産後は骨盤が緩みやすく、生理の調子が狂う人も多いので、そういった点からも骨盤ケアは有用だと思います。また、産後の一週間健診を開業当初から行っています。入院中は周りのサポートがありますが、家に帰ると赤ちゃんと2人だけという例もあり、初産婦さんは産後1週間ほどで育児に悩みがちです。精神的な状態をチェックするスコアも活用して、保健所との連携も徐々に進めています。このほか当院では「母乳をもっとあげたい」「卒乳をしたい」というお悩みにお答えする母乳相談も行っています。2018年より乳腺炎の重症化予防ケアが保険適用となり、助産師による乳腺マッサージも提供しています。

禁煙治療を行っている産婦人科は珍しいですが、始めたきっかけは?

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1つは喫煙を隠してピルを飲んでいる人が狭心症になったという例を知ったこと、もう1つは妊娠中に喫煙していて赤ちゃんが大きくならず、大きな病院に送った例があり、禁煙したら何とかなるんじゃないかと思ったことです。妊娠するとほとんどの人がつわりの影響でタバコをやめられるのですが、吸われる人も中にはいらっしゃいます。妊娠中の喫煙は赤ちゃんが低酸素状態になって低体重出生になりやすいですし、早産の原因にもなります。ピルを飲まれる方で35歳以上、タバコを1日15本以上吸う人は心筋梗塞になるリスクが高いので、ピルを飲みたい人でタバコを吸う方は禁煙を一緒にしましょうと話しています。最近は、タバコを吸える場所がなくなったという理由で禁煙を希望される方もいます。飲み薬や貼り薬を使ってのサポートも行っています。

できるだけ自然なかたちで家族で見守る出産を推進

診療で心がけていることはありますか?

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安全なお産をすることは非常に重要で、自然に陣痛が起こって産むのが一番良いと思っています。私は京都産婦人科医会で10年前から医療安全部会の担当もしています。できるだけ自然なかたちで産んでいただけるように努力をしていますが、いろいろな要因で、母体や胎児の安全性を考え、必要に応じて分娩誘導や帝王切開になることもありますが、その割合は比較的少ないです。最近は40歳を過ぎて出産される高齢出産も増えています。分娩時間が長くなりやすく、帝王切開率も高くなり、妊娠高血圧症候群のリスクや他の合併症を持っている人も多いため、十分に注意して診るようにしています。

産後のケアにも力を入れていらっしゃるのですね。

今は新型コロナウイルスの影響でできませんが、通常ですと、当院の病室には和室もあり宿泊室は経産婦さんがご主人や上のお子さんたちと一緒に泊まるなど、2~3人で宿泊できます。家族が誰もいなくて上のお子さんたちの面倒を自分で見たいという希望もありますが、お母さんが疲れてしまうので、できるだけ家族がサポートしていただいて、おっぱいがちゃんと出るようになるまでは赤ちゃんと2人だけのほうが良いとは思います。当院では「京都市スマイルママ・ホッと事業」という産後ケアも実施しています。退院してから育児に心配がある人、自分以外に赤ちゃんのケアを手伝う方がいない人は、制度を利用して当院の部屋で最大1週間のショートステイをして母乳の練習や赤ちゃんのケアの練習ができます。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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家族で過ごせる出産、家族で見守るお産をする施設にしたいです。新型コロナウイルス感染症の影響で面会謝絶をお願いしておりますが、その分、分娩台にスマートフォン用のクリップをつけて、携帯のテレビ電話で分娩をリモートで見られる工夫もしています。当院はオンライン診療も行っており、妊婦検診についてもこれを応用して、自宅にいるご主人やお子さんにその様子を見せながら診察することも可能です。お産に取り組む医院は減ってきていますが、今後も産科診療はできるだけ続けていきたいです。当院で診ることのできる状態の方は、いつでもどんな方でも受け入れていますので遠慮なく来てください。ご相談があれば、長年勤めているスタッフ一同もきちんと対応いたします。遠慮なく申し出てください。

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