南部 吉彦 院長の独自取材記事
南部産婦人科医院
(京都市下京区/梅小路京都西駅)
最終更新日:2025/06/20

昔ながらの街並みが残る住宅街に位置する「南部産婦人科医院」は、長い歴史を持つ産婦人科医院。南部吉彦院長は、「これからも地域に役立つクリニックでありたい」と、産科や婦人科、不妊治療、女性内分泌内科まで幅広い分野をカバーし、女性の人生をサポートし続けている。現在は分娩受付を一時中止しているが、妊婦健診や産後のベビーマッサージ教室は継続しており、地域の妊産婦のよりどころであることに変わりはない。また、罹患者が増えている子宮頸がんの検診やワクチン接種にも注力し、初めての健診やワクチン接種の不安には、丁寧な説明で寄り添う。現在は親子3代で通う患者もおり、あらゆる年代の女性の健康に寄り添う同院の診療や、これまで紡いできた地域への想いについて、南部院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年5月12日)
歴史あるクリニックとして地域の女性の健康をサポート
歴史のある産婦人科医院だそうですね。

当院は、1938年に初代院長が産婦人科診療所を開設し、1945年に産婦人科単科病院「南部病院」となって以来、長年にわたり地域医療に携わってまいりました。1999年10月には私が3代目として院長に就任し、「南部産婦人科医院」として新たなスタートを切りました。開業当時から変わらず、私たちの目標はロゴマークに表現されているように「女性のすべてのライフステージ」、すなわち胎児期、新生児期、少女期、思春期、性成熟期、壮年期、更年期、老年期、すべてをサポートできる医院であることです。ありがたいことに、親子3代で通ってくださる患者さんも多く、診察中にご家族のご相談を同時に受けることもあります。地域の女性にとって、自分自身やご家族の健康について気軽に相談できる場所でありたいと、常に思っています。
診療内容について教えてください。
産婦人科は、産科・婦人科・不妊治療・女性内分泌内科まで、非常に幅広い分野を扱う診療科です。これまで、女性の妊娠・出産・育児、そして産後の心身の健康維持をサポートしてきましたが、残念ながら2025年3月より分娩の受付を一時中止しております。赤ちゃんを取り上げることは私にとって大きな喜びでしたので非常に寂しいですが、引き続き妊婦健診や出産後のベビーマッサージ教室などを通じて、妊産婦の皆さまのサポートを続けていきたいと考えています。婦人科領域では、子宮筋腫、子宮内膜症、月経困難症などの検査・治療、不妊・不育症のご相談、更年期・老年期の不調への対応など、女性の身体に起こるさまざまな症状に対応しています。あまり構えず、気軽にご相談いただければと思います。
妊婦健診について詳しく聞かせてください。

妊娠中は、喜びと同時にさまざまな不安が生まれる時期だと思います。私たちは、妊婦さんの心と体の変化に寄り添いながら、ご家族とともに安心して安全なお産を迎えられるようサポートしていきます。妊婦健診では、尿検査、体重・血圧の測定、おなかからの診察と4D超音波画像検査、内診、経膣超音波検査を行っています。USBメモリーをご持参いただければ、赤ちゃんの心音を含む4D超音波画像のデータをお持ち帰りいただけますし、健診の翌日からクラウドで画像データをダウンロードすることも可能です。ご家族でご来院された際には、一緒に超音波画像をご覧いただくこともできます。ベテランの助産師も常にフォローいたしますので、安心してご受診ください。
子宮頸がんの検診や予防接種に注力
今後、注力したいと考えていることはありますか?

今後は女性特有のがん検診、特に子宮頸がんの検診や予防接種に注力したいと考えています。子宮頸がんは若い女性にも多く発生するがんで、増加傾向にあるがんです。多くのがんは原因不明ですが、子宮頸がんは性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)によって発生することがわかっています。しかし、HPVウイルスに感染しても、ほかの性感染症のようにおりものや外陰部の変化など初期症状はほぼありません。その上、女性の50~80%は生涯で一度はHPVウイルスに感染している可能性があるといわれています。つまり、子宮頸がんは女性にとって非常に身近な病気だということ。自治体でも検診クーポン券の配布や助成が行われているので、ぜひ定期的に検査を受けてもらえたらと思います。
検診やワクチンに抵抗のある人、不安を感じている人は多いのでしょうか。
産婦人科の受診には、恥ずかしさや不安を感じる方も多いと思います。特に初診の際には、戸惑いがあるのは当然です。当院ではそうしたお気持ちに十分に配慮し、丁寧に対応しております。当院には女性医師が担当する時間もありますので、男性医師に抵抗がある方も安心ですよ。また、ワクチンに関しての不安にも丁寧に説明しています。HPVワクチンの定期接種は、小学6年生から高校1年生までの5年間に受けることが推奨されています。現時点では、感染後にできた病変やウイルスを取り除く治療法はなく、子宮頸がんから命を守るためには、ワクチン接種と定期的な検診が予防手段となります。ぜひ、親子でご相談にいらしてください。
子宮頸がんの精密検査にも対応されているそうですね。

子宮がん検診で異常が見つかった場合は、その異常がHPVによるものかどうかを確認する「HPV-DNA検査」を行います。この検査は産婦人科でのみ実施可能で、結果はおよそ10日で判明します。HPV-DNA検査が陽性、または細胞診でASC-US以上の異常所見がある場合、LSILやHSILと判定された場合には、コルポスコープと呼ばれる拡大鏡を使用した精密検査を行います。当院での検診で異常が見つかった方はもちろん、会社の健康診断や他院での検診、自己HPV-DNA検査で異常のある方も、初診から精密検査を受けていただけます。検査はすべて予約制ですので、まずはお電話にてご相談ください。
気軽に受診できる地域の「かかりつけ医」をめざして
更年期や老年期についてはいかがですか?

更年期障害に対しては、ホルモン補充療法、プラセンタ療法、漢方療法などを用いて治療を行っています。症状は人それぞれ異なりますので、お一人お一人に合った対処法を一緒に考えていきます。また、骨粗しょう症の検査・治療、尿漏れなどの排尿障害、子宮下垂・子宮脱・膀胱下垂の診断および保存的治療にも対応しています。「生理が終わったら婦人科には縁がない」と思われがちですが、決してそんなことはありません。ご自身の体と一生付き合っていく中で、不調を我慢することで症状が悪化し、治療が難しくなることもあります。通院が難しい方にはオンライン診療もご利用いただけますし、お薬は院内処方で郵送も可能です。早めの相談で快適な日々を過ごしてください。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
病院を受診するときは不安がつきものだと思いますので、どんな患者さんもアットホームな雰囲気でお迎えするよう心がけています。また、どんなに些細なご質問にも、誠意を持って丁寧にお答えするよう心がけています。自分の体に起きていること、これから起きるであろうことを知ることは、自分の大切な体を守ることにつながります。特に若い世代の患者さんは、これから妊娠・出産の時を迎える可能性がありますから、自分の体に丁寧に向き合ってほしいなと心から思っています。婦人科=内診が必要というわけでもありませんし、まずはワクチン接種や我慢していた生理痛の相談でも構いません。一人でも多くの女性の「婦人科のかかりつけ医」になれるよう、安心できる場所であり続けたいです。
それでは最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

繰り返しになりますが、女性の皆さんが「気軽に受診できる」「気軽に相談できる」婦人科でありたいと思っています。妊婦健診や婦人科疾患の診断・治療はもちろんですが、不妊の相談や避妊の相談、検診や精密検査、ワクチン接種など、どんな些細なことでも構いません。「おかしいな」「心配だな」と思うことがあれば、一人で悩まずに相談してもらえたらうれしいです。また、出産後の親子を対象に、助産師によるベビーマッサージ教室と育児相談会を開催しています。分娩は一時中断していますが、イベントを通して地域の子育てサポートを続けていきたいと考えています。今後も、地域の女性に寄り添う医療に邁進いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
自由診療費用の目安
自由診療とは緊急避妊薬(1回1錠内服)/6600円、性感染症検査(淋菌、クラミジア、腟カンジダ、細菌など)/7150円、プラセンタ注射(1アンプル)/1430円