藤田 幸久 院長の独自取材記事
藤田医院
(京都市上京区/今出川駅)
最終更新日:2026/05/26
呼吸器疾患を専門とする藤田幸久院長は、「藤田医院」の3代目院長。喘息やCOPDなどの疾患にアプローチを行う医師だ。大学、大学院、勤務医時代と長く呼吸器疾患の診療に専心し、その道を究める形で同院を継承。京都市全域や遠く離れたエリアから来院する患者など、広く呼吸器疾患の診療にあたっている。呼吸器系疾患、特に喘息のコントロールは吸入や日常生活が大きく関わっているため、吸入指導、禁煙指導や生活指導を重要視し、同院でトレーニングを行った信頼を置くスタッフと意思疎通を図りながら、診療を行っている。インタビューでは、呼吸器の病気により日常生活に困っている患者の治療を行うことで、苦しみを早く取り除き、発作が起きにくいよう喘息をコントロールしていきたいと何度も話してくれた。
(取材日2020年3月27日)
喘息治療における変革期に診療に携わる
院長に就任されるまでのご経歴を教えていただけますか?

祖父と父の背中を見て自然と医師をめざしてきました。私自身は京都府立医科大学を卒業して、市中病院で勤務医をしていました。その後京都府立医大の大学院で診療を行いながら学生生活を送りました。以来呼吸器疾患治療の一線に身を置き続けていましたが、父が亡くなった後9ヵ月ほど閉院していたこちらを継ぐことにしました。9ヵ月間閉院していたため、父の診療所を継承したという気持ちは薄く、むしろ一から新たに診療所を開いたという気持ちのほうが強かったです。継承して24年目ですから、勤務医より開業医としての時間のほうが長くなりましたね。呼吸器の病気だけを診るのではなく高血圧や糖尿病といった病気を含め、日々地域のさまざまな患者さんの診療をしています。
どのような患者さんがいらっしゃるのでしょうか。
近隣だけでなく、京都市一円からいらっしゃっていますね。呼吸器とか喘息の看板を掲げていますので、やはり咳、喘息、息切れにまつわるお悩みをお持ちの方がよく来られます。咳が止まらないとか、喘息の発作が出たとか、それから息切れの相談も受けます。高齢化に伴って肺気腫と呼ばれるCOPDも増えていると感じます。今はインターネットで調べられますから、さまざまな方が来られます。
勤務医時代に喘息の治療法に大きな変化があったとか。

継承前の4年間は、現在の兵庫あおの病院にあたる国立青野原療養所におり、私が医師になった頃からは喘息治療の変革期でした。それまで、気管支喘息は気管支が縮むことによって起こるという考えが主流でしたので、気管支を広げるための治療法に専念していました。それが、気管支が縮むことが根本原因ではなく、気管支にアレルギー性の炎症が起こり、その結果、気管支が縮むこと、炎症を抑えるには吸入ステロイドが有用であることがわかってきました。もともとステロイド治療はありましたが、経口や注射で副作用が大きいため継続が難しく、第一に取られる治療法ではなかったのですが、薬の投与方法が吸入薬になったことで大きく変わりました。副作用が出にくくなり、長期の継続治療をするのでなく、喘息が出ないようにコントロールを図る方向性に変わりました。呼吸器疾患はいまだ発展途上の学問なので、この先も劇的に変わっていくのではないかと思います。
患者がこれまでどおりの生活が送れるよう向き合う診療
喘息の患者さんへの具体的な治療や指導はどのようにされているのでしょうか。

喘息の治療では、患者さんに合った薬を考え、吸入指導を行います。吸入器の種類はさまざまで、使い方や形によってその患者さんに使いやすいものとそうでないものがありますから、それらを見極めた上で選択・指導します。初めての患者さんだと、吸入器のモデルを使った指導を行います。まずは医師と看護師が使うところを見てもらい、その後患者さんにも実践してもらいます。また、勉強会を開催するなどして近隣の薬局とは連携を図っていますので、院外薬局での処方の場合は薬剤師さんに指導してもらい、吸入状況を確認することもありますね。さらに、治療には禁煙などの基本的な生活習慣もとても重要。喘息コントロールが良好でない場合は、生活習慣の変化をヒアリングしたり、正しい吸入ができているかを再チェックしたりしています。患者さん自身が病気への理解を深めることも治療の鍵になるため、治療前の説明も時間をかけて丁寧に行っています。
在宅での酸素療法もされていらっしゃるのですね。
そうですね。通院されている方が在宅での酸素療法に切り替えていかれる場合や、古くからの結核などの場合、訪問診療を行っています。そんなに多くの患者さんのところへは伺えないのですが、ニーズは常に一定程度あると感じています。
先生が治療で大切にされているのはどのようなことですか?

質の良い医療を維持しながら、当たり前のことをしっかりやる。見逃さない。プロとして努力することは当然ですが、医療においては結果を出すことが重要です。けれど、診断のための理由のみで検査を行うと患者さんに金銭的負担が出てしまいます。一方症状の原因を知りたいと思うのは当然です。その辺りを考えながら、検査の順番や項目を考えつつ的確に診断して、快方という結果を求めることですね。先ほども申し上げたように、現代では医療によって喘息をコントロールを図ることが可能となってきました。少しでも早く楽になれる治療を常に考えています。ただすべての病気が治るわけではありませんし、一発で診断がつくわけでもありません。なるべく負担を軽減しながら、診断と治療を行っていくことに努めています。また、信頼していただける診療も心がけており、診察の最後に「何か聞いておきたいことはないですか」とお声をかけることも、大切にしています。
日々の積み重ねから結果を出していきたい
他院との連携はどのようにされていますか。

医療資源は有限ですから、役割分担は全国どこでも必要な体制ですよね。病院は入院にある程度特化して、地域のクリニックは外来を担う。とはいえ、当院は内科診療も行っていますがすべての領域をカバーできるわけではありませんしCTなどの施設は持っていません。肺がんなどケースによっては、その都度適切な病院へご紹介しています。京都第二赤十字病院、京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院をはじめとする各病院、ご希望があればその他の病院にも紹介状を書いています。信頼できる高次医療機関と顔の見える関係を築いており、患者さんの紹介や、病院からの逆紹介もスムーズに行えています。この意味でも、アクセスの良い医療機関だと思っています。
スタッフの方々との関わり方や分担はどのような感じですか。
勤務医の頃と現在で、診療に対しての想いは変わらないですが、やはりスタッフを持って運営するという面では考えることは増えますよね。診療の質を保ちながら患者さんに対して結果を出すことが第一にありますので、それを実現させるためにはスタッフにどう伝え、何をしてもらえばいいか。喘息の患者さんへの吸入指導を以前は私がやっていましたが、これをスタッフに任せることにしました。吸入が喘息の治療を左右するという話をしっかりと伝え、指導をお願いしています。患者さんが不愉快な思いをされないよう、接遇も治療の一環だという点もよく理解してくれているので助かっています。私だけではできることは限られますのでスタッフに任せられることはスタッフに任せ、患者さんに良い医療を提供できる体制をつくっていくことを重視しています。
先生の代になって24年目。この先の展望などお聞かせください。

日々、丁寧な診療を重ねて結果を出していくこと、呼吸器の病気を抱えていてもなるべく普通の生活が送れることですね。一人ひとりの患者さんを大切に、手を抜かず、一定レベルの医療を提供する。そして、何でも相談してもらえる医者でありたいと思っています。喘息や咳、息切れで困っている方を対象に根拠のある医学情報と病気の知識をより深く持ってもらおうとホームページ上で患者さんに知っていただきたいことを書いています。患者さんが情報を求める背景には不安があるからだと思います。診療の中で多くの方が抱く不安を受け止め整理し、それに応え不安を軽減することも大事です。呼吸器疾患においては一度飲めば完治が期待できる薬は感染症以外ではありませんが、病気のコントロールをしっかりと行うことはできるようになってきました。当院のスタッフとともに、良い病気のコントロールをめざしましょう。

