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渡邉 賢治 院長の独自取材記事

渡邉医院

(京都市上京区/今出川駅)

最終更新日:2021/05/19

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今出川浄福寺バス停を下車し、約30m。静かな町並みの中にある「渡邉医院」は、約90年3代にわたって肛門疾患に特化した医療を提供する、肛門科専門のクリニックだ。玄関には創業以来、たくさんの患者を見守り続けてきた「肛門科」の看板が掲げられ、四季折々の風情が感じられる庭、京都に古くからある木造和風の町屋造りの雰囲気を残した院内と、昔ながらのクリニックの姿が残る貴重な空間が広がる同医院。その一方でSNSなどによる情報発信も欠かさない現代的な一面があるのが非常に興味深い。今回は「何年診療していても、まだまだ成長できるし学びが尽きない。それが医師の仕事の面白さです」と笑う渡邉賢治院長に、さまざまな話を聞かせてもらった。
(取材日2020年2月5日)

祖父から三代、90年以上続く肛門科専門のクリニック

クリニックの看板からもわかるように、歴史を感じるクリニックですね

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当院を開院したのは私の祖父。次に父から私へと3代続くクリニックです。年数にしておよそ90年。長らく地域の皆さまに支えられて、今日まで診療を続けてまいりました。ただ、開院当初からこの場所だったわけではなく、実はこの場所で3箇所目。この建物は阪神淡路大震災をきっかけに安全性を考えて立て直して約25年になります。はやりのクリニックのような現代的な建物ではありませんが、木造の和風建築で、中庭があって、井戸があって……と古き良き日本を感じられるような空間ではないかと思います。言うなれば「おじいちゃんのお家」といった雰囲気ですので、リラックスして過ごしていただけるとうれしく思います。

どのような患者さんがいらっしゃるのでしょうか?

痔をはじめとする、お尻の病気についてお悩みの方が性別、年齢問わずいらしてくださっています。下は赤ちゃんからいらっしゃいますし、高齢の方ももちろんいらっしゃいます。来院いただいた方が「こんなに若い人が多いとは思わなかった」とよくおっしゃるのですが、お尻の病気というと「高齢の男性の病気」と思っている方は少なくないと思います。でも、実際にはそんなことはありません。妊娠出産を機に悩んでいる女性も多いですし、小さなお子さんの排便に関する悩みも皆さんが想像するよりもずっと多いんですよ。当院は19床の入院設備もありますので、お子さん連れで入院される方もいらっしゃいますし、皆さんの「肛門科」のイメージよりも「ほのぼのとした空間」ですよ。

お子さん連れで入院できるとは驚きですね!

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当院は和室のお部屋がありますので、お子さん連れで一緒に入院し、畳の上でゴロゴロしながら過ごすことができます。出産後、お子さんが小さいうちに手術してしまえば、その後はお尻の痛みにとらわれずに子育てに励めますのでお勧めです。肛門科に入院している人は、お尻の症状以外は健康的な人ばかりなので、小さなお子さんに感染するような病気を持っていることもほとんどありません。そのため小さなお子さんがいたら病棟のアイドル。廊下をトコトコ歩いていても、みんなにこにこと眺めたり声をかけて遊んだりしています。最近では日帰り手術を希望されることも多いのですが、術後数日だけでも入院していただくと、身体が休まり、術後の回復にもいいように思いますので、ぜひ入院を検討してもらいたいなと思います。

医療を提供する前に、まずは患者への心配りを

患者さんと接する時、心がけていることはありますか?

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言葉には気をつけていますね。特に「もっと早く来ないとダメじゃないですか」などとは言わないようにしています。なぜならお尻の病気は、基本的には命に関わるようなものではないことがほとんどだからです。命に関わらないのであれば、患者さん自身が「不自由だな」と感じたり「治したいな」と感じた時が受診のベストタイミングだと私は考えています。患者さんは受診するまでに悩み、不安な気持ちを持って受診してくださいます。私たちは医療機関ですから、その気持ちを傷つけるようなことをしてはいけません。医療を提供する前に、まずは患者さんへの心配りを忘れないことを大切にしていますね。

では、治療にあたって大切にしていることは?

「患者さんが求めていることを知ること」です。私たちはお尻の病気について学び、多くの経験を積んでいます。患者さんに比べれば、知識も豊富です。でも、だからと言って、「私たちがしたい治療」を提供するだけになってしまうのは違うと考えています。患者さんの症状、生活環境、願っていることは実にさまざまです。私たちは患者さん自身ではありません。だからこそ、驕ることなく、丁寧に患者さんの声を聞き、希望を確認していくことが何よりも大切です。現在は手術、保存療法などさまざまな治療法があります。その中から患者さんにとって最適な方法を選んでいただけるように、治療方法を提案し、説明することを丁寧にしていかなくてはいけないと思っています。

ブログやSNSなど、情報発信も丁寧にされているんですね。

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現代は情報が多い時代です。ただ、その情報は珠玉混合。肛門科は受診しにくいと感じる人も多いので、まずはインターネットで検索する人も多いでしょう。そこで目にする情報はというと、恐怖心を煽り必要以上に心配になってしまうようなもの、間違っているものがたくさんあるなと感じます。私はそういった情報を目にするたびに「この状況を放置しておくことは医師として良くないのではないか」と感じるようになりました。そこで、「自分で正しい情報を公開していこう!」とブログを始めたのがきっかけです。気がつけばSNSにも手を広げ、あれこれとやっていますね。オンラインでやれることは、実際の診療に比べれば多くないですが、一人でも多くの方が受診したり、必要以上に悩まずに済むきっかけになったらうれしいです。

医院への信頼を大切に安心できる医療を提供したい

栄養士によるレシピも提供されているのだとか。

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お尻の悩みの原因の一つに排便障害が挙げられます。排便障害の改善には適切に薬を使用することはもちろんなのですが、自然に自分の力で排便できればそれに越したことはありません。そのため、バランスの良い食事をすることは大切なことです。しかし、そのことを理解していても具体的なアイディアを出すのは難しい。そこで栄養士さんにお願いして、より良いレシピを考えてもらっています。

医師として、またクリニックとして、今後取り組もうと思っていることはありますか?

当院には高齢化社会が進めば、寝たきりや認知症といった問題は避けて通れなくなると思います。そういった方々の中にも、お尻の病気で悩んでいらっしゃる方は少なくありません。施設への入所にあたって、治療が必要な方もいらっしゃるでしょう。そういった方々に必要な治療を届けられる方法はないかな?と考えるようになりました。まだまだすぐに実現できるものではありませんが、いろいろと考えていきたいです。

かかりつけ医が推奨される中で、良いかかりつけ医を探すコツはありますか?

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時々、患者さんの中に「自分の力を過小評価しているな」と感じる方がいらっしゃいます。確かに医療従事者は、医療に関する知識が皆さんよりも多いかもしれません。でも、治すのは皆さんの体です。だから「なんとなく言ってることがずれてるな」とか「いまいち納得できないな」と思ったら声をあげていいんです。質問したり、意見を言ったりして、それでも納得できなければその病院に行くのはやめればいい。「自分の判断する力を信じて大丈夫だよ」と、私は皆さんにお伝えしたいですね。1つの肛門科しか受診してはいけないという決まりはありません。「ここなら大丈夫だな」「任せられるな」と思う場所を見つけてほしいなと思います。

それでは最後に、読者や地域の皆さまにメッセージをお願いします。

私がこの病院を継ぐことになったのは、父が病に倒れたことがきっかけでした。当時の私は、肛門科の医師として修練を積んでいたわけではなく、消化器外科の若手医師の一人でしかありませんでした。そんな私を患者さんたちが温かく迎え入れてくれたのは、ひとえに祖父や父が積み重ねてきた渡邉医院への信頼があったからだと思います。そうやって、私を受け入れてくれた地域の皆さんには感謝しかありません。これまでもそうでしたが、これからも当院を訪れてくださる皆さんの信頼に応えられる医療を提供し、皆さんに安心してもらえるような場所でありたいと思っています。今後もますます精進し、皆さんのお役に立てることを願っています。

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