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宇野 研一郎 副院長の独自取材記事

宇野胃腸内科・脳神経内科

(松阪市/松ヶ崎駅)

最終更新日:2022/05/23

宇野研一郎副院長 宇野胃腸内科・脳神経内科 main

近鉄山田線・松ヶ崎駅から北へ徒歩15分ほど、大型ショッピングモールが立つ国道166号から少し西へ入ったところに「宇野胃腸内科・脳神経内科」はある。もとは1992年に宇野伸郎理事長が「宇野胃腸科内科医院」として開業した医院で、長年にわたって外来診療と訪問診療を軸に地域密着の医療を続けてきたが、2022年4月、ALS(筋萎縮性側索硬化症)やパーキンソン病治療の経験が豊富な宇野研一郎先生が副院長に就任。これを機に脳神経内科を診療科目に加え、院名を改称。神経難病に特化した訪問診療も開始し、神経難病に詳しい理学療法士や看護師たちとともにチームで神経難病の患者を支えている。親しみやすい笑顔で受け答えする研一郎副院長に、三重県内でも珍しい神経難病の診療について詳しく聞いた。

(取材日2022年4月27日)

神経難病に特化したチーム医療で患者を支えたい

先生が来てから診療科目に脳神経内科が加わったそうですね。

宇野研一郎副院長 宇野胃腸内科・脳神経内科1

2021年の6月から訪問診療を担当し始めて、2022年の4月に副院長に就任し、脳神経内科と内科の患者さんを診させてもらっています。私はこれまでもALS(筋萎縮性側索硬化症)やパーキンソン病など神経難病を抱えた方たちの治療に携わってきましたので、そういった方たちの訪問診療も担当しています。外来で来てくれる患者さんの主訴は、頭痛、しびれ、力が入らない、物忘れなどですね。初診の場合だと、どういった疾患か見極める必要があり、診察はかなり時間がかかるため予約制としています。今まで勤務していた病院で診ていた患者さんも来てくれていますよ。理事長は内科と胃腸内科が専門なので、担当する患者さんははっきり分かれています。

今後の診療方針をお聞かせください。

今後は、去年から在宅療養支援診療所として地域医療に関わっているので、神経難病を抱える方向けの訪問診療により力を入れていく予定です。また、当法人グループでは訪問看護ステーションを開設しており、医院の診療と連携させることで、訪問看護からリハビリテーションまで一貫したサポート体制を整えられるよう努めています。三重県では神経難病に特化している医院が少ないので、介護と連携しながらきめ細かくサポートして注力していきたいですね。脳神経内科で扱うパーキンソン病やALSは、いまだ治療法がないといわれている疾患ですが、その中でも「先生に診てもらえて良かった」と言ってもらえるよう、患者さんに寄り添った診療を行っていきたいです。

先生が脳神経内科を専門に選んだ理由は何だったのでしょうか?

宇野研一郎副院長 宇野胃腸内科・脳神経内科2

実は、最初は脳神経内科に進もうとは全然考えていなかったんですよ。大学を卒業後に勤務した沖縄の病院では、救急も扱う総合診療科の医師として配属され、そのダイナミックな治療や、救急搬送されてきた方が何の病気か考えていくプロセスに興味を持ちました。次に地域医療を経験するため配属されたのが、静岡県牧之原市の病院で、沖縄の病院にはなかった脳神経内科の診療を初めて経験させてもらったんです。その病院には大学病院から来ていた先生がいて、ある日搬送されてきた患者さんの目を診て、体をコンコンと触診する身体所見だけで疾患を言い当てるんです。脳神経内科の疾患は通常、MRIやCTを使って病気を突き止めるものなのですが、その先生の颯爽と来てすぐに疾患を言い当てる姿を見て、私もこういうかっこいい医師になりたいと思い、脳神経内科を専門にしようと決めました。

看護小規模多機能型居宅介護事業所と連携

訪問診療を始めたきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

宇野研一郎副院長 宇野胃腸内科・脳神経内科3

父親が開業医をしていて、小さい頃から在宅医療を見てきたというのはありましたけど、やはり新型コロナウイルスの影響が大きかったです。新型コロナウイルス感染症が流行し出した頃、誰かが亡くなるかもしれないというときでも面会できず、亡くなってからしか会わせてもらえないとか、亡くなってからですら対面できないということがありました。今でこそ亡くなる直前には会えるようになりましたけど、そういった状況に医師として心を痛めていたんですよ。亡くなる場所は、病院でも施設でもご自宅でも良いと思いますが、本人が亡くなりたい場所で亡くならせてあげたいですよね。でも、私たちが在宅医療に対応しているということが周知されれば、頼ってくれる人たちもいるかもしれないと思い、訪問診療を始めたんです。

この医院の強みはどんなところだと思われますか?

やはり、脳神経内科で扱う疾患に特化した訪問診療のノウハウを持っている医師がいることが強みと言えるのではないでしょうか。また当法人は、2022年の3月に看護小規模多機能型居宅介護事業所を開設しており、そちらとも連携しながら医療を提供しています。グループ内で情報を共有し、連携しながら医療・介護サービスの提供をめざしています。

まさにチームで神経難病の方を支えているのですね。

宇野研一郎副院長 宇野胃腸内科・脳神経内科4

神経難病の治療や介護というのは、医師1人では何もできないんですよ。だから、看護師、理学療法士などいろんな人が関わって、チーム医療でサポートすることが大事なんです。当法人グループは、訪問看護ステーションも開設していますので、当院が訪問診療を提供している患者さんのところに、訪問看護スタッフも一緒に来てもらうことも可能です。ほかの訪問看護ステーションにお願いすることもできますが、やはりグループ内の訪問看護ステーションだと、神経難病に関する知識も共有しているので連携もスムーズです。神経難病という難しい病気を支えていますので、グループのスタッフはとても団結しています。

患者と家族の気持ちに寄り添い信頼関係を築いていく

患者さんと接する時には、どんなことを心がけていますか?

宇野研一郎副院長 宇野胃腸内科・脳神経内科5

神経難病を抱える患者さんとその家族を含めて、どんな想いを抱えどう感じているかを常に考えています。それと併せて、私の考えを押しつけることがないように気をつけています。“患者さんの話をしっかり聞く”というのは、医療の原点。その原点を見失うことなく治療をしていきたいですね。患者さんの声に耳を傾け、たくさん話しているうちに、患者さんのこともわかるようになりますし、患者さんも私のことをわかるようになっていくと思うんですよ。そうしているうちに自然と信頼関係ができていく。その結果として「先生で良かった」という言葉が出てくるわけで、この言葉は医師にとって一番の褒め言葉だと思っています。医療にはさまざまなかたちがありますが、私は神経難病の患者さんへの訪問診療を通して、人と触れ合うことの温かみや、医師という仕事のやりがいを感じます。

神経疾患の早期発見や予防のためのアドバイスをいただけますか?

患者さんご自身が症状を認めて受診するケースが少ないのが、脳神経内科疾患の特徴です。ですので、周りの人が病気の疑いに気づいたら受診を勧めてあげることが大切です。例えば、認知症でも自分で医療機関へ来る方は割としっかりしていますが、家族に連れられて来る人は、すでに症状が進んで重症化していることが多いです。手が震えていたとしても、その人が自発的に受診することは少ないので、家族や周りの人が受診を促してあげてほしいです。特に独居の方は注意が必要で、もし会いに行った時に、しびれを訴えたり、歩き方がおかしかったり、よくむせたりという症状があったら、医療機関へ連れていってあげてください。あと、認知症の場合は、患者さんが一人で受診しても解決につながらないことが多いので、必ず誰かが付き添ってあげるようにしてください。

最後に今後の目標をお聞かせください。

宇野研一郎副院長 宇野胃腸内科・脳神経内科6

今後の目標は、神経難病に特化した在宅医療で三重県一をめざすということです。当院には、いろんな縁があって神経難病に詳しい理学療法士や看護師が在籍していますので、目標に向かってみんなで頑張っていきたいですね。また当院は、三重県でも数少ない神経難病に特化した医療を介護と連携しながら行っているので、これからその分野に関わる医院や施設のモデルケースになれれば良いなと考えています。

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