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藤澤 稔 院長の独自取材記事

藤沢医院

(知多郡東浦町/石浜駅)

最終更新日:2019/08/28

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「乳がんの不安を抱える多くの患者さんの受け皿として尽力したい」と穏やかな口調で語る「医療法人藤樹会 藤沢医院」院長の藤澤稔先生。消化器外科、乳腺・甲状腺外科を専門とし、内視鏡検査や乳がん検診に力を入れている。地域に根付いたクリニックを守りながら、消化器内科、乳腺・甲状腺、外科、肛門疾患、感染症内科と診療範囲をひろげ、地域に貢献している。2013年に院内を改装し、花柄の壁紙やピンク色のカーテンで優しい雰囲気に。今回は、藤澤先生に、地域医療に対する熱い思いを語ってもらった。
(取材日2017年7月29日)

乳腺外科を中心に、患者の物語に寄り添った医療を提供

乳がん検査に力を入れていらっしゃるのですね。

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大学病院での22年間のうちの11年間は乳腺を専門にしており、現在は日本乳癌学会乳腺専門医の資格を持っています。当院での乳がん検査は、火曜日から金曜日の決まった時間で行っており、電話での予約制としています。当日受診希望の方も診察の合間に待っていただく形で可能な限りすぐに検査できるよう努めています。長年、乳がん診療を経験させていただいておりますので、乳腺科を受診される患者さんが「早く検査してほしい」といった不安や焦りを持っていらっしゃることは身に染みて分かります。少しでも早く不安・焦りを取り除けたらと思い、この方法を取り入れています。

診療の際に一番大事にしていることは?

当院で働いている職員の中で、私が患者さんに対して一番優しくなければいけないと思っています。話し口調、話すスピードに気を付け、またプライベートなお話も聞くようにしています。これは、恩師である児島邦明先生が仰られていた「ペイシェントファースト(患者さん第一)」という言葉に基づいています。当院は、父から受け継いだ昔ながらの紙カルテですが、些細な日常会話からお話しいただいたことも記録しています。例えば、「孫とどこに行った」や「ゴルフのスコアが92だった」など。そうすると、次にその患者さんが来院されたときにどんな方かわかるようになるので、「今日はどんな話をしようか」と頭の中でイメージできます。信頼関係がなければどんなに良い治療をしても、良い薬を出しても意味がないと思っておりますので、患者さんのお話をきちんと聞くことを心がけています。

地域のクリニックとしてどうありたいとお考えですか?

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東日本大震災があった年の日本乳癌学会で「Narrative Based Medicine」という言葉を聞きました。Narrative=物語、という意味ですが、患者さん一人ひとりに生活と物語があり、それに基づいた医療を提供するというお話で、僕にとっては目から鱗でした。患者さんそれぞれの性格、生活背景、家族構成などを考えた上で、治療は人それぞれ変わってきます。薬を選ぶにしても、個人個人でいろいろ対応の仕方を変えていくのが私の役目だと感じています。開業から4年たち、やっと父から引き継いだ患者さんの性格やご家族や背景などさまざまなことがわかるようになり、的確に一言二言でお伝えできることも増えました。今後も、患者さんの物語に寄り添った診療をしていきたいですね。

自分の患者さんは自分で看取りたい。それが私の役目

在宅医療に積極的に取り組んでいらっしゃるのですね。

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在宅医療においては、緩和ケアなどで薬の使い方も学んできたので、末期がんの方でも、看取りまで引き受けたいと思っています。今まで在宅医療でお看取りした後に、お孫さんたちが笑顔でおじいちゃんの体を拭いてあげたりする光景も何度も目にしました。亡くなられたときは当然悲しいのですが、次第に、ご家族が笑顔になっていく。それも在宅看取りならではのことです。

「看取り」について考えるきっかけとなった出来事があるそうですね。

私が駆け出しの研修医のときに、担当の胃がん術後の患者さんが合併症で退院できなくなりました。患者さんが最期の日を迎えた夜に、恩師は一緒に医局で泊まってくれました。ご臨終を伝えたとき、涙ながらに恩師へ感謝の言葉を話されたご家族の姿を見て、その時に「自分の担当患者さんは自分で看取ろう」と心に決めました。大学病院や総合病院では、夜中の看取りは当直医が行うことがよくありますが、ご家族にとっては、担当の先生が看取るのと知らない先生が看取るのでは、心に残る印象が全く異なると思います。患者さんのご家族の心のケアをするのであれば、最期の看取りまで立ち合いたいというのが私の考えです。

恩師から受け継いだことが先生の中で生きているのですね。

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私の恩師の一人は、当院のホームページにもお言葉を頂いている順天堂大学附属練馬病院院長の児島邦明先生です。「看取り」のきっかけを作ってくださったのが児島先生なのですが、先生から外科医の基礎から医学部の学生や若手研修医の指導方法まで多くを学びました。先生のもとで「臨床」「教育」「研究」を頑張った経験は、今の私の基本そのものになっています。もう一人の恩師は私の父です。父は亡くなる2年前に十二指腸がんで体重が10kg以上減る手術を受けたのですが、退院後もお腹にドレーンというチューブがまだ入っていました。驚いたことに、父は退院翌日に痩せこけた顔を隠すためにマスクをして外来で診察を始めたのです。夜中も日曜日も断ることなく診療していた父ですが、この時ばかりは「あっぱれ」と思いました。父から医師としてああしろ、こうしろと指導を受けたことは一度もありませんが、私はその背中を見て、あるべき医師像を学びました。

困っている患者の受け皿になりたい

先生はなぜ医師を志されたのですか?

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周りから「医師になれ」と言われたことは一度もなかったのですが、5歳くらいの頃から自然と医師になりたいと思い始めました。父は開業前、消化器外科の医師として病院勤めをしており、私が小学4年生の時にこちらで開業しました。この建物が自宅兼クリニックなのですが、手術も入院も対応していたので、夜中でも呼ばれたら診る24時間、救急病院のような感じでした。当時は父がほとんど自宅にいない状況でしたが、子どもながらに、診察している、手術している、救急車が来た、と様子がわかり、大きくなるにつれて父がいなかった理由が具体的に見えてきて、「こうやって頑張っていたんだ」と。目の前で展開される光景を見て、自分も医師になりたいという気持ちがどんどん強くなっていきました。

患者層を教えてください。

この地域の高血圧、糖尿病、消化器系の慢性的な症状を抱えた高齢の方がほとんどで、乳腺科を受診される患者さんは遠くからもお見えになりますが、まだ少ないだろうと思います。今は80〜90代の方も頑張って歩いて来院されていますが、いずれ在宅医療を希望された場合は私がお伺いしなければと思っています。それは父が歩いてきた道ですし、「自分が担当した患者さんのがんが再発した場合やそれ以上の治療が難しい場合は、自分で看取りたい」という意志は、現在の在宅医療につながっています。自分が外来で担当している患者さんが歩けなくなり、在宅医療を求められたら、看取るまでが私の仕事だと思っています。

最後に読者にメッセージをお願いします。

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私は、いつ、どんなご相談をいただいても引き受けたいと思っています。特に乳腺は総合病院だと予約待ちが長いことがよくあるので、当院ではいつでも検査できるように努めています。また、患者さんにお伝えしたいことは、何より早めの検診が大事だということです。乳がんは早期発見により、治る確率が大幅に上がる病気です。有名人が乳がんになったニュースが流れると、検査に来られる方がどっと増えますが、普段から乳がんに気を付けてください。当院は、この地域で乳がんを診ることができる唯一のクリニックとして、悩んでいる患者さんの受け皿になれればと思っておりますので、何か不安なことがあれば気軽に相談してくださるとうれしいです。

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