森川 圭造 院長の独自取材記事
森川整形外科医院
(小牧市/小牧口駅)
最終更新日:2026/10/14
名鉄小牧線・小牧口駅から徒歩約12分。1968年の開業以来、半世紀以上にわたり地域の整形外科診療を担っている「森川整形外科医院」は、乳幼児から高齢者まで、幅広い年代の運動器症状に対応している。2005年に医院を継承した森川圭造院長は、長く大学病院で臨床・研究・教育に携わった経験を背景に、科学的根拠をもとに患者の状態を見極め、必要な治療を提案することを重視。手術が必要な場合は近隣の医療機関へつなぎ、その前後のリハビリテーションにも対応している。大学病院で培った経験を地域の診療に生かす森川院長に、整形外科診療で重視していることや、地域のクリニックとしての役割を聞いた。
(取材日2026年8月21日)
大学病院での臨床・研究・教育の経験を地域診療へ
まず、これまでのご経歴について教えてください。

愛知医科大学を卒業後、愛知医科大学病院で整形外科の診療に携わってきました。大学病院では臨床・研究・教育の3つが求められますから、私も診療だけでなく研究や教育に取り組みました。研究では、海外の研究施設に勤務して骨の形態や骨折の治療の過程について学んだ経験があります。また、大学で講師として学生の教育にも携わりました。今でもその経験を生かし、診療を中心にしながら、必要に応じて学会で発表したり、医療系の専門学校で整形外科について講義したりしています。こうした活動は、日々の診療で行っていることが本当に妥当なのかを振り返る機会にもなっていますね。
こちらの医院を継承された経緯を教えてください。
当院は、1968年に父が開業しました。私はもともと医院を継ぐことを意識して整形外科医になりましたので、大学病院に長く勤めていましたが、いずれはここに戻ってくるつもりだったのです。2001年に建物をリニューアルしたタイミングで父と一緒に診療するようになり、2005年に継承しました。勤務医として病院で診療してきた経験から、クリニックでも整形外科として必要な機能はきちんと持たせたいという考えがあります。リハビリテーションの環境を整えてきたのも、その一つですね。
現在は、どのような患者さんが来院されていますか?

生後数ヵ月の赤ちゃんからご高齢の方まで、幅広い年代の方が来院されます。赤ちゃんでは、発育性股関節形成不全の二次検診として、小児科や産婦人科、保健センターなどから紹介を受けることがあります。小中高生になると、スポーツによるけがや故障などの相談もありますし、働き盛りの世代の方も来院されます。ご高齢の方の主訴として多いのが腰痛や膝などの関節痛ですね。赤ちゃんから高齢の方まで診るのが整形外科です。だからこそ、何か一つの領域に特化するというより、運動器に関するさまざまな症状をまず診て、状態に応じて必要な治療につなげていくことが、地域の整形外科における役割だと考えています。
科学的根拠をもとに、必要な治療を見極める
先生が考える、地域の整形外科の役割とは何でしょうか?

私は、病院と地域のクリニックが、一つの診療体系としてつながっていると考えています。病院には手術を担う役割があり、クリニックには外来で診断し、治療や経過観察、リハビリテーションを行う役割があります。クリニックで対応できるものは私たちが診て、手術などの治療が必要な場合は近隣の医療機関へ紹介します。そして手術後にリハビリテーションが必要なら、またこちらで担当するといった一連の流れをスムーズにつなぐことが重要なのです。クリニックだからといって「手術をしないで治療すること」をめざしているのではありません。必要な治療を見極め、適切な医療機関へきちんとつなぐことも、地域のクリニックが担う役割だと思っています。
診断や治療方法を決める際、大切にされていることは何ですか?
科学的根拠に基づいて診断し、治療することです。よく「医師の勘」と言いますが、実際には多くの経験や、過去の医師たちが積み重ねてきたデータが背景にあると思うのです。ですから独自の方法に走るのではなく、これまで蓄積されてきた医学的な根拠を重視しています。ただ、根拠を示すだけではなく、患者さん自身に納得していただくことも必要です。なぜ痛むのか、なぜこの治療を行うのかを、なるべく難しい言葉を使わずに説明し、ご自身の状態を理解していただけるよう心がけています。医療は医師だけで成り立つものではありませんから、患者さんが何を求めているのかも理解し、納得して治療を受けてもらえるようにしています。
実際の診療では、患者さんの状態をどのように見極めているのでしょうか?

まずは診察をして、症状や体の状態から重症度を判断します。その上で必要に応じてエックス線や超音波検査を行います。超音波検査は筋肉や靱帯などの状態をリアルタイムで確認できるので、日常の診療でもよく使っていますね。そうした検査結果だけでなく、患者さんの症状や生活背景なども含めて、どの治療が適しているかを考えます。軽症であれば薬物療法や物理療法で経過を見ることもありますし、機能が落ちていれば理学療法士による運動療法を行います。さらに重症度が高ければ、手術も選択肢になります。手術に不安を感じる方も多いと思いますが、決して最後の手段とは限りません。その後の生活を考えて手術をしたほうが良いと判断すれば、その理由も含めてきちんとお伝えします。
治療の先まで見通した、リハビリテーションと地域連携
リハビリテーションは、治療の中でどのような位置づけなのでしょうか?

整形外科では、痛みの改善だけでなく、低下した筋力や体の機能の回復をめざすことも、大切な治療の一つです。そのため、症状や治療の段階に応じたリハビリテーションが必要です。手術の前後にリハビリテーションを行うこともあります。例えば膝が悪くなり、「痛いから」と歩くことを避けるようになると、膝の周りの筋力も落ちていきます。その状態のまま人工膝関節の手術を受けると、筋力の低下が術後の回復に影響することがあります。そのため、手術の予定が決まったら、手術日から逆算し、筋力をつけた状態で手術に臨めるようにすることをめざしてリハビリテーションを行います。手術後も状態を見ながら継続します。医療保険による運動器リハビリテーションの期間が終わった後も、必要な方には介護保険による通所リハビリテーションにつなげています。
理学療法士などスタッフとは、どのように連携されていますか?
定期的にカンファレンスを行い、エックス線画像などを見ながら疾患の状態や治療について話しています。理学療法士から相談を受けることもありますし、画像から何がわかり、どのようなリハビリテーションが必要なのかといった背景まで共有するようにしています。リハビリテーションの手技そのものは理学療法士の専門ですが、その前提として、どのような疾患で、体のどこに問題があり、どのような治療を経ているのかまで理解した上で、リハビリテーションを行うことが大切です。大学病院時代から教育に携わってきましたし、今も専門学校で整形外科を教えていますので、その経験は院内でも生きていると思います。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

私たちがめざしているのは、「一度の治療で痛みが取れる」といった魔法のような医療ではありません。今の状態をきちんと評価し、なぜこの治療が必要なのかを説明しながら、医学的に妥当な方法を選んでいくことです。治療には時間がかかる場合もありますし、手術が必要になることもあります。それでも治療の見通しを理解し、患者さんと医療側がお互いに信頼して進めていけることが重要だと思っています。腰や膝の痛み、けがなど、運動器のことで困ったことがあれば、まずは相談していただきたいですね。クリニックで対応できることはしっかり行い、必要なら適切な医療機関へつないでいきます。

