鳥居 良太 先生の独自取材記事
鳥居クリニック
(春日井市/勝川駅)
最終更新日:2025/08/05

1841年、幕末の創業から春日井市の住民の健康を支え続けてきた、歴史ある「鳥居クリニック」。整形外科、リハビリテーション科、外科、内科、脳神経内科を標榜する同院に、2025年4月より、6代目院長・鳥居哲也先生の弟である鳥居良太先生が加わった。良太先生は日本神経学会神経内科専門医であり、春日井市民病院の脳神経内科で研鑽を積んだ後、名古屋大学大学院で医学博士を取得した脳神経のエキスパート。頭痛やめまい、しびれといった主訴をはじめ、てんかん、認知症、脳卒中の背景にある生活習慣病治療にも注力。難病指定医でもありパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症といった病気にも対応する。「どの診療科にかかったら良いかわからない」時こそ、脳神経内科の出番」と優しくほほ笑む良太先生に、診療への思いを聞かせてもらった。
(取材日2025年6月30日)
地域の人々を支える開業医に憧れて
これまで歩まれてきたご経歴や、脳神経内科をご専門とされた理由を教えてください。

脳神経内科を専門としたのは、年齢を問わず患者さんの全身を診る必要があり、総合診療に近い側面があるためです。体の一部だけでなく、全身を診て対応できる医師になりたいという思いがあります。また、僕は幼い頃からおじいちゃんおばあちゃんが大好きなんです。脳神経内科はご高齢の方に多い疾患を扱う診療科です。そのため、体のことで不調を抱える地域の方々の力になりたいという思いもあり、脳神経内科の道に進みました。大学卒業後は春日井市民病院で初期研修を行い、脳神経内科に従事しました。その後は名古屋大学大学院で医学博士となった後、再び春日井市民病院に戻り、今年4月からこちらで内科診療を担当しています。
もともと、将来的にはこちらで診療を行おうとお考えだったのですか?
そうですね。幼い頃から祖父や父の患者さんをはじめとする地域の方々に温かく接していただいたので、将来はその恩返しをしたいと思っていました。医師を志した時から、かかりつけ医として鳥居クリニックでやっていきたいという思いがありました。幼い頃、家庭では厳しい父でしたが、クリニックの院長として地域の方々に頼られる姿は印象的でした。また、周辺で開業されている先生方や患者さんから話を聞くと「すごく気さくな人だった」と懐かしいエピソードをよく聞きます。先祖代々が続けてきたクリニックを、今度は兄としっかり守っていきたいと思います。
良太先生はこちらでどのような診療を行われているのですか?

私が診療を担当しているのは、中高年を中心に特に生活習慣病を抱える方が多いですね。脳神経内科領域の主訴をお持ちの方は、春日井市民病院時代からの患者さんが引き続き来院してくださっています。当院は代々外科を主としてきており、祖父も父も消化器外科、兄は整形外科、そのイメージから、患者さんの多くは私が脳神経内科専門であることを知らない方がほとんどではないでしょうか(笑)。脳神経内科は脳神経外科とは異なり全身に関わる幅広い疾患を扱いますが、この地域には専門の医師が少なく、春日井市内で開業されているのは片手で数えられるほど。多くの患者さんが春日井市民病院に通われている印象です。私は市民病院から当院に来て、現在も市民病院と同じレベルの診療を行えている手応えがあります。皆さんにとって身近な生活習慣病は脳梗塞や脳出血といった脳卒中につながります。特に経験を重ねた分野のため、頼っていただければと思います。
年齢を問わず全身を診ることが求められる脳神経内科
脳神経内科はあまりなじみのない人も多いと思いますが、どのような診療科なのでしょうか?

脳神経内科は、脳や脊髄、末梢神経、筋肉の疾患を内科的に治療する診療科です。症状としては頭痛やめまい、手足の脱力やしびれ、物忘れや言葉の障害など。神経は全身のあらゆる機能に関係しているため、小さなお子さんからご高齢の方まで年齢を問わず、全身を診るアプローチが求められます。脳梗塞などの脳血管障害やパーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症などの神経難病、認知症、髄膜炎、てんかんなど、多岐にわたる疾患の診療を行います。全身を診る脳神経内科では、まずどこの病気であるかを見極める鑑別診断を行います。先ほど申したような「なんとなく体が怠い」といった症状があっても、最初はどの診療科に受診すれば良いかわからない場合も多いと思いますが、そんな時こそ脳神経内科の出番です。
どんな時に脳神経内科を頼るといいですか?
物忘れのように認知症が疑われる場合や、頭痛や手足のしびれ、動きにくい、ろれつが回らないなど、なんともいえない症状がある場合には、脳出血や脳梗塞の可能性もあります。日常生活の中で何らかの違和感を覚えた時には専門的な診断を受けに来ていただきたいです。中には命に関わるケースもありますし、深刻な病気ではなかったとしても、ご自身が安心して日々を快適に過ごせるよう、ぜひ受診いただけると良いですね。僕自身、友人から何となくの症状で相談されることが多いです。診察しながら患者さんの千差万別な不調の原因を推理していく脳神経内科の診療は、非常に面白く、やりがいを感じます。
検査機器も充実していますね。

MRIやCTを備えており、脳の詳細な検査に役立っています。MRI検査は、脳卒中、脳腫瘍、認知症などの疾患の発見という重要な役割を担っていますし、脳以外にも首や腰の神経、筋肉や腱も検査できるため、それぞれの症状が起きる原因を調べる際に有用です。通常であれば大きな病院にご紹介して検査を行うところを、当院で検査を完結できるのは患者さんの手間や負担の軽減に寄与できているのではないでしょうか。また、MRIはオープン型の装置ですので、閉塞感が少なく、閉所恐怖症の方でも検査を受けやすいと思います。
かかるべき診療科がわからないときこそ頼ってほしい
診療を行う上で大切にされていることを教えてください。

当たり前のことですが、患者さんをしっかり見て、話を聞くことです。ただ診断し薬を出して終わりではなく、患者さんが何に困っているのか、どうすれば悩みを解決できるか、そこに結びつけられるよう患者さんやご家族に寄り添った診療を行うことを心がけています。また、僕たち医師は患者さんの内情を何もわからないところからスタートしますので、ご自身に悩みや体の状態、生活背景などを話してもらうことが大切です。こちらから一方的に聞くだけでなく、どんどん話していただけるような関係性を築いていきたいと思います。
今後のご展望を伺います。
まずは当院に脳神経内科を専門とする医師がいることを知っていただき、地域の方々に些細なお悩みでも相談していただける存在となりたいです。また、当院にはリハビリテーション施設や19床ある入院施設も備わっていますので、診断から入院、リハビリテーションまで一貫して診療できる体制を整えていきたいと思います。脳神経内科は、お子さんだと発達障害やてんかん、若い方だと⽚頭痛、中年から高齢層には脳卒中や認知症などと、小さなお子さんからおじいさんおばあさんまでさまざまなお悩みに対応することができます。「どの診療科にかかったら良いのだろう」とわからない時こそ、僕を頼っていただきたいです。全身のどこの病気であるかを見極め、どのような病気か診断し、専門の診療科への紹介も含めて最適と思われる治療法を選択し、提案させていただきます。
最後に、地域の方々や読者に向けてメッセージをお願いします。

かかりつけ医として皆さんの健康に関する相談窓口となり、悩みの解消に向けて道筋をつくっていきたいと思います。何かお困り事がありましたら、お気軽にご相談ください。お待ちしております。