鳥居 哲也 院長の独自取材記事
鳥居クリニック
(春日井市/勝川駅)
最終更新日:2025/08/05

創業は江戸時代、天保の頃。現院長の鳥居哲也先生で6代目という歴史ある「鳥居クリニック」は、長きにわたり春日井市の住民の健康を支えてきた。日本整形外科学会整形外科専門医の院長と、日本神経学会神経内科専門医である院長の弟・鳥居良太先生も加わり、整形外科、リハビリテーション科、外科、内科、脳神経内科まで、幅広く専門性の高い医療を提供している。19床の入院設備や広々としたリハビリテーション施設を備えるほか、メディカルフィットネスクラブを併設。オープン型MRIやCTなどの先進機器もそろえ、受けやすい検査や精密な診断を実現している。リハビリテーションに力を入れ、クリニック全体で予防から治療、入院、そして退院後まで患者を支援する同院の強みや、診療への思いについて聞かせてもらった。
(取材日2022年1月26日/再取材2025年6月30日)
代々地域に根差し診療。めざすは「体のよろず相談所」
こちらは創業が江戸時代という、歴史あるクリニックだそうですね。

はい。初代は江戸末期より漢方を専門に医療に取り組み、明治中期に現在地の辺りに開業したようです。代々外科を主としてきており、祖父も父も消化器外科が専門でした。私は6代目にあたり、大学卒業後の研修は主に内科だったのですが、先輩に誘われたこともあり、整形外科を専門としました。小学生の頃は「医者の息子だから頭がいいだろう」と決まって言われるのが嫌だったのですが、やはり自然に医師をめざしていましたね。後を継ぐよう言われたことはなかったのですが、私が医学部に入った時はうれしそうにしていたのを覚えています。父が急逝してしまったことを機に、2011年11月にこちらの院長に就任しました。
院長はどのようなご経歴を歩まれてきたのでしょうか。
名古屋市立大学医学部を卒業後、名古屋市の協立総合病院で2年間の臨床研修後、そのまま整形外科に在籍しました。この病院は一般的な総合病院とは少し違って、当時は紹介状なしの受診の際にかかる選定療養費を取っていなかったんです。地域の開業医と同様に湿布だけもらいに来られるような患者さんもよくいらっしゃいましたし、「大きな町医者」のような病院でしたね。そちらでの経験も、現在の診療に生きていると感じます。
整形外科、内科、脳神経内科など幅広く診療されていますが、どのような患者さんが来られていますか?

受診される方の3分の1が内科の患者さんです。当院はずっと町のかかりつけ医として診療してきましたので、生活習慣病など慢性疾患の治療で長年通っている患者さんも多いです。中には5世代、6世代と通われているご家族もいらっしゃいますよ。ただ、先代の外科の印象が強いのか、私の専門が整形外科だと知られておらず、先週も来院された方に「何科が専門なの?」と聞かれました(笑)。全体的にはご高齢の患者さんが多いですが、整形外科ではスポーツをしている小中学生や若い方の割合が高いです。当院はCTと2019年からMRIも導入し、整形外科、脳神経内科での画像診断に活用しています。これまではご紹介の上、他院へ検査を受けに行っていただいていましたが、機器導入により患者さんの利便性向上につながっているのではないでしょうか。一方で、何でもかんでもMRI検査を行うわけではありません。本当に必要な場合に検査受診を進言しています。
2025年4月からは弟の良太先生も常勤で診療を行われていますね。
はい。弟は脳神経内科が専門であり、難病指定医でもあります。小児から高齢者まで全身を診る必要がある診療科ですので、幅広いアプローチが可能です。頭痛やしびれ、脱力、めまいといった症状や、てんかんや脳梗塞、生活習慣病、認知症、パーキンソン病などの疾患の診療を得意としています。私も生活習慣病の診療を行っておりますが、患者さんにはより専門性の高い医療を提供できるようになったと自負しているところです。また、木曜日と金曜日の午前中には、寺本英巳先生の内科診療も行っています。寺本先生は呼吸器内科が専門ですが、老人医療や精神科医療に関する研鑽も積まれているんです。3人体制で、地域の方々のさまざまなお悩みに対応してまいりたいと思います。
運動療法を中心としたリハビリに注力
こちらで力を入れていることは何でしょうか?

リハビリです。当院では器具を使ったリハビリよりも手技や運動療法に力を入れ、患者さん一人ひとりに対応できる体制を整えています。現在、理学療法士9人に加えて助手もいますから、スタッフの人数は多いほうだと思いますね。院内にはクリニックが運営する「メディカルフィットネスクラブ鳥居」も併設しており、こちらではトレーナーが理学療法士と相談して組み立てた個別の運動プログラムに沿ってトレーニングを行っています。患者さんだけではなく一般の方も通っていただけますよ。生活習慣病の方にもなるべく薬に頼らず、フィットネスクラブで運動して健康な体づくりをしていただきたいと思っています。管理栄養士が常駐していますから、運動面のみならず食事や栄養面での相談も可能です。
クリニックとフィットネスクラブが協力し合っているそうですね。
当院では患者さんの情報を電子カルテで管理し、クリニックとフィットネスクラブで閲覧できるようにしています。例えば、フィットネスクラブで運動しているうちに肩が痛くなったらクリニックを受診する、生活習慣病治療のためにクリニックに通院しながらフィットネスクラブに通う、といった場合も連携がスムーズです。フィットネスクラブは父の代に始めました。父自身も運動好きで水泳やテニス、ゴルフをしており、運動のメリットについては身をもって知っていたでしょうし、治療後も患者さんを診続けたいという思いがあったのでしょう。おかげで予防から治療、入院、リハビリまで一貫して患者さんをサポートできる体制が整いました。ただ、特殊な病気には対応できないため、適宜専門的な病院や総合病院をご紹介しています。
診療の際に気をつけていることはありますか?

勤務医時代、「患者さんには具体的に今後の見通しを伝えること」と教えられ、常に心にとどめています。整形外科のケガや病気では、体は元気でもその部位だけは動かすことができず、仕事を休まなければいけない場合もあります。骨がどの程度ずれているか、手術が必要かどうか、固定期間はどれぐらいか、リハビリはいつ始めるかなど、できるだけ具体的な治療計画を示すようにしています。また、当院ではオープン型MRIなどの検査機器を導入していますが、検査を行うのは本当に必要な場合のみです。このスタンスが患者さんの安心につながっている気がしています。
地域のセーフティーネットであり続けたい
100人を優に超えるスタッフさんがいらっしゃるとか。どのように連携されていますか?

私が院長に就任する前から在籍しているスタッフが多く、中には私の学生時代を知るスタッフもいるんですよ。医療やリハビリのスタッフはもちろん、人事、事務などそれぞれの分野に、部署をまとめてくれる人材がいますので、チームワークは良いと思います。私はでしゃばらず、基本的に任せている状態です。おかげで院長就任当初から医療に集中することができましたし、父に感謝しないといけないなと感じました。皆が患者さんのことを一番に思いやり、気遣う姿は本当に頼もしく、ありがたいと思っています。
地域への思いもお聞かせください。
在宅復帰支援に取り組みたいという想いから、父の代に介護老人保健施設を開設しました。リハビリ施設やフィットネスクラブを活用し、地域の方々の病気の予防に努めていきたいと考えています。クリニックは前回の建て替えから20年たち、建物が古くなってきたので、他の施設も含め将来的に建て替えを考えています。今後も長く地域の方々に頼っていただけるクリニックであり続けられるよう、尽力していきたいです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

「ちょっと具合が悪いから診てもらおう」「どの科にかかればいいのかわからないから、あそこで相談してみよう」など、どなたにも来ていただける身近な「かかりつけ医」でありたいですね。また、入院患者さんも幅広く受け入れています。手術不要の骨折であっても自宅で生活するのが困難な方や、介護をしているご家族が休息するためのレスパイトケアも行っています。当院がめざすのは、地元の患者さんが困ったときに最初に行く「窓口」であり、地域の最終的な受け皿でもあること。これからも地域に貢献できるクリニックであり続けたいですね。