中耳炎など隠れた病気が見つかることも
耳鼻科医院で行う耳掃除
はやかわ・すずきクリニック
(春日井市/勝川駅)
最終更新日:2023/04/11


- 保険診療
普段家で何げなく行っている耳掃除。多くの人は自己流で、家にある道具で耳掃除をしているが、耳鼻科医院でも耳掃除ができるのを知っているだろうか。「耳あかの掃除だけで耳鼻科に行ってもいいの?」と思う人もいるかもしれない。そんな疑問に対し、「病気が隠れている場合もあるので、耳掃除ぐらいでと構えずに気軽に受診してほしいですね」と答えてくれたのは、「はやかわ・すずきクリニック」の早川宗規院長。日本耳鼻咽喉科学会の耳鼻咽喉科専門医資格を持つ早川院長に、耳掃除で耳鼻科にかかるメリットやタイミング、セルフケアのポイントなど、詳しく話を聞いた。
(取材日2021年2月12日)
目次
取りにくい耳あかは無理に取ろうとせず耳鼻科医院に委ねよう。耳掃除だけでも気軽に受診を
- Q耳あかがどうしても取れないときはどうしたらいいですか?
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A
▲耳あかは無理に取る必要はないという
耳の中には細かい神経が通っているので、無理をして耳あかを取ろうとすると強い痛みを感じますし、出血して外耳炎になることもあります。特にお子さんは耳の中が狭いものですから、耳あかが奥にあって、取ろうとすると痛がる場合は耳鼻科で取ってもらうのが一番いいですね。小さいお子さんは、耳をよく触っていたら耳あかが詰まっているサインかも。見かけたら受診してください。大人の場合、耳に症状を感じたら無理に取らずに受診しましょう。例えば耳がポーンとした感じになる、聞こえにくいといった場合、耳あかが奥で完全に詰まっている可能性があります。また、突発性難聴や中耳炎でも似たような症状が出ますので早急に受診しましょう。
- Q頻度や適した道具など、自分で耳掃除をするときのポイントは?
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A
▲定期的に耳鼻科へ相談
道具はやわらかい綿棒を使うのがお勧めです。お風呂から出た後ですと、耳あかがやわらかくなるのでいいですね。綿棒を奥まで入れずに耳の中の1センチ以内でとどめて、ぐるっと円を描くようにかき出します。耳あかは基本的に自然と外に排出されるようになっていますので、耳がかゆいとか詰まっている感じがなければ、まず大丈夫です。頻度は週に1回くらいにとどめてやり過ぎないようにします。耳あかはネバネバして湿り気のあるタイプの人と、乾燥してカサカサしたタイプの人がいますが、特に湿り気のある耳あかは自分で取りづらいので、セルフケアと並行して定期的に耳鼻科で取ってもらうのがいいでしょう。
- Q耳掃除で鼓膜を破いてしまう恐れがあると聞き心配です。
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A
▲患者や家族の話をしっかりと聞いてくれる院長
耳かきの竹の棒は鼓膜を傷つけてしまいやすいので、やはり綿棒で取るようにしていただくのがいいですね。綿棒であれば鼓膜まで傷つけてしまうことはめったにありませんから。万一鼓膜に穴が開いた場合は抗生剤を服用していただきます。穴が小さければ1ヵ月ほどで自然に閉じていくことが多いですが、閉じなければ手術になることもまれにあります。お子さんがおられる方は、ぶつかってきて深く入ってしまうこともありますので、そばにお子さんがいないことを確認してから行いましょう。親御さんがお子さんの耳掃除をされる場合も、お子さんがなるべく落ち着いている時にしていただいて、難しいようでしたら無理をせず耳鼻科にお越しください。
- Qこちらで耳掃除を行う際はどのように配慮されていますか?
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A
▲広々とした待合室
お子さんの場合は「今から耳を触るよ」と言いながら始めるなど、なるべく怖くないよう、不安にならないよう、何か処置をする前には声をかけています。耳掃除は顕微鏡を見ながら行うので、耳の中の様子が画像に映るんですね。その画像を一緒に見ながら耳あかを取りますので、安心いただけるのではないかなと思います。あとは、なるべく痛くないようにということにも気を配ります。1回でどうしても取れなければ、無理に取ろうとせず2回に分けて行います。耳あかをやわらかくするお薬がありますので、お家で点耳していただいて、ある程度耳あかをふやかしてから来ていただいています。
- Q耳掃除でクリニックを受診するタイミングを教えてください。
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A
▲耳垢の状態も気にかけてみよう
例えばお子さんですと、耳あかを除去後に中耳炎が見つかるケースもあります。できれば2ヵ月に1回くらいは受診いただくとチェックできるのでよいですね。湿性で取りにくい耳あかの方や、ご高齢の方も耳あかが詰まりやすいので、定期的に来ていただくとよいと思います。また、耳あかの色がおかしいとき、例えば黒い耳あかの場合は、外耳道真菌症の可能性があります。耳がかゆくて仕方ない、耳だれが出るといった症状で、ご高齢の方によく見られますね。あと、黄色い耳漏が出る場合は外耳道真珠腫かもしれません。中耳炎が悪化して耳の中で炎症が起きた状態です。ご自身の耳あかの状態も気にしていただいて、変だなと感じたら受診しましょう。