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灰本 元 院長の独自取材記事

医療法人芍薬会 灰本クリニック

(春日井市/春日井駅)

最終更新日:2019/08/28

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春日井駅から車で5分。閑静な住宅街に「灰本クリニック」はある。内科、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科、糖尿病内科を標ぼうし、毎月数千名の患者が訪れる。2年前に女性デザイナー主導のもと医院をリニューアル。温かい色合いに整えられた院内はクリニックらしくない雰囲気でリラックスできそうだ。院長の灰本元先生は、かつて研究者の道を歩んだものの、臨床への思いを断ち切れず研修を経て開業したという情熱家だ。培ってきた実績と経験を若い開業医に伝えたいと言う。医療への情熱と、患者への思いやりに溢れた優しい目が印象的だった。
(取材日2017年1月18日)

大病院の専門性とクリニックの小回りを併せ持つ医院

クリニックの紹介をお願いします。

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当院は私と看護師、医療事務の数人でこの地に開院しました。当時は胃がんががん死の一位を占めており近隣に胃カメラを受けられる施設が少なく、皆、名古屋市内の大病院に行っていましたが、もっと気軽に受けていただくために消化器内科と高血圧を中心に診療を始めました。患者さんの増加に伴い診療科目も増え、現在は内科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、糖尿病内科を標榜しています。また、大病院と同じ水準の医療を提供するために、放射線技師と臨床検査技師の4人が常勤しており、検査機器も充実させています。毎年1cm未満の見つかりにくい小さな肺がん、乳がん、膀胱がん、肝臓がんなど多数見つけていることも当院の特徴の一つです。慢性疾患では減薬と糖質制限食(ローカーボ)に取り組んでおりますし、漢方やカウンセラーと連携した多角的なアプローチも行っています。大病院並みの専門性と、クリニックの小回りを併せもつのが当院の強みです。

どんな患者が来院しますか?

急性疾患ではただの胃腸炎よりは、もう少しこじらせた病気の方が多いですね。「お腹の調子が悪いから何の病気か調べてほしい」といった。小さながんをたくさん見つけている実績から、心配な方が検査を希望して来院する場合が多いです。若い方はアトピー性皮膚炎と喘息が多いですね。皮膚科ではなかなか治らない方が漢方の煎じ薬をもらいに来ることがほとんどですよ。一番多いのは高血圧。次に糖尿病、ほとんどがゆるやかな糖質制限食を希望する方です。

医療設備について教えてください。

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内視鏡では経鼻の胃カメラと大腸カメラ。腹部、心臓、頸動脈、下肢動静脈のエコー。放射線検査機器では、CT、バリウム検査、デジタルレントゲンを備えており、診断結果は院内ですぐにわかります。大腸内視鏡検査は私が行います。平均挿入時間が男性で4分半、女性で6分半くらいで、早いほうだと思います。それ以外の検査は各分野の専門技師が行いますが、当院には大学病院で10年以上勉強を積んだ優れた技師がそろっています。彼らは画像を読み解く能力が高く、見つかりづらい小さな初期がんも見つけてくれるのです。当院では患者さんの放射線被ばくをなるべく減らすため、腹部ではCTよりもエコー診断に力を入れています。紹介先はその地区で私が信頼できる技術を持つ先生方に送りますので、私の母校出身ではない医師も多いです。そしてその先生と私が尊敬し合っている関係を作ることが患者さんの安心感を生みます。

慢性疾患は薬に頼らず食事や運動で改善

慢性疾患での減薬の取り組みについて教えてください。

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例えば、一般的に「骨粗しょう症の予防にカルシウムを摂りましょう」と言われるでしょう。ところがカルシウムを飲み続けることで心筋梗塞のリスクが増加するという論文がイギリスの医療雑誌に載ったんです。胸やけを抑える薬も心筋梗塞、肺炎、腎不全になるリスクも高まるとか。抗生剤も飲めば飲むほど糖尿病の発症率が上がるという、12年かけて70万人を調査した論文が昨年発表されました。理由は、腸内細菌が狂うからということがわかってきたんです。今のところ安全と思われるのは血圧の薬とコレステロールの薬。どうしても必要な薬は出さなければいけないけれど、できるだけ投薬数を減らすようにしています。骨を丈夫にしたかったら、薬より太陽を浴びて運動するのがいちばんです。

糖質制限食(ローカーボ)を早い段階から取り入れていますね。

十数年前からローカーボを取り入れています。これにより血糖値は劇的に下がり、糖尿病薬は減ります。私は数多く来院する糖尿病患者のデータをきちんと整理し、毎年ローカーボの論文を海外専門誌へ書いています。糖尿病に合併する高血圧やコレステロールをきちんと管理していれば脳卒中や心筋梗塞で亡くなる可能性はほとんどありませんので、当院の糖尿病患者さんが亡くなるのはほとんどががんです。予後が悪い膵臓がんでもサイズが小さければ2年以上生きれます。糖尿病患者さんをがんで死なせないということが今の私のやりがいです。

漢方薬や心理的アプローチについて教えてください。

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開業以来、当院では積極的に漢方薬を取り入れてきました。しかし、ここ25~6年の西洋医学の進歩で、漢方の優位性は少なくなってきています。たくさん生薬を使うと自然破壊につながりますから、できれば西洋医学の薬を使ったほうがいいと私は考えています。今、一番多く漢方を処方しているのがアトピー性皮膚炎と慢性の咳です。アトピー性皮膚炎は精神的ストレスと深い関係があるとわかってから、私も臨床心理を15年以上勉強しています。毎週カウンセラーと相談しながら症例にあたり、検討し、反省を繰り返して今でも勉強を続けています。心理の勉強はアトピー性皮膚炎の治療だけでなく、患者さんとのつながりやスタッフさらに家族とのつき合い方まで、本当に役立っています。

若い開業医に伝えたい。正しい事をやり続けるのが医師

医師を志したきっかけと、開院までの経緯は?

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小学校の同級生のお父さんが開業医でした。私が小学校6年生の頃、しょう紅熱にかかったことがあり、母がその先生に往診を頼んだんです。夜中の0時過ぎに自宅にいらしたのですが、疲れ果てた姿で玄関に立っていたと母が感慨深く言っていました。当時、近くに医師が全然いなかったから、外来診療の後であちこち往診して回ってきたんでしょう。その姿勢が町医者の理想の姿だと思うのです。そんな姿に感銘を受けて医師を志したのですが、大学卒業後、私が籍を置いたのは病理学を研究する場でした。研究して、結果をまとめて論文をたくさん書いて。このまま定年まで続けて良いのかと考えていた30歳の頃、その先生の顔が浮かんできました。「自分は町医者になりたかったんだ」と、思いを新たに臨床に戻る決心をし、それから研修を重ねて開院しました。

開業を志す、または開業したての若いドクターにメッセージがあるそうですね。

私の経験を伝えるとするなら、まずは診療技術を磨くことです。性格も大事ですが技術は医師として当然ですから。次に、専門外の分野の腕の良い医師と交流をもつことです。自分が内科なら、主に外科の先生などね。他の分野の先生と個人的な付き合いをして、自分の患者さんを安心して紹介できる関係を作っておきましょう。開業医の実力は、いろいろな場面で患者さんに安心感を与えらえるかで決まりますから。また、専門分野が一つだけというのはリスクがあります。例えばローカーボが浸透していけば糖尿病は減るかもしれませんから、糖尿病だけでやっていくのは危険ですよね。だから、開業医といえど10年、20年後までの疾病構造の変化を見据えて、開業後勉強して3つくらい専門分野を持っていたほうが将来患者が減るリスクを回避できます。そのためには10~20年後にどのような疾患が増え、逆に減るという情報を海外論文や研究者から集めることが大切です。

今後の展望について聞かせてください。

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私はもう数年で引退するつもりでいますから、医院は息子に任せようと思います。その後は、食事と運動に関する施設を作りたいと考えています。現在二人の常勤管理栄養士がいて、すでにローカーボ食の指導では世界でも知られている施設になっています。それに加えて理学療法士や作業療法士の力を借りて循環器や呼吸器のリハビリ、手術後のリハビリ。働く世代の腰痛や肩こりにも対応する施設です。中年から自分の骨格や筋肉の弱点を知ってストレッチしたりトレーニングすれば60代、70代になっても転んだり骨折したりしにくい体になるかもしれません。骨皮筋ドックがあってもいいと思うんですよ。薬をできるだけ使わないで、食事と運動でなんとか健康を保つ。実現したら楽しいですね。

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