高橋 知生 院長の独自取材記事
医療法人 高橋医院
(半田市/亀崎駅)
最終更新日:2022/06/21
JR武豊線亀崎駅から徒歩12分、のどかな住宅街の一角に「高橋医院」は位置する。高橋知生院長は幼い頃よりこの地で育ち、医師となった後、父から医院を継承。落ち着いた丁寧な話しぶりから、優しい人柄がうかがえるドクターだ。自身の立ち位置を“振り分け医”と称する高橋院長。診療を通して適切な医療へと振り分けることが自身の役割であると考え、日々診療にあたる。「あえて専門性を打ち出すのではなく、患者さんにとって『何でも相談できる相手』でありたい」と語る高橋院長に、これまでの歩みから診療に対する思いまで、じっくりと語ってもらった。
(取材日2018年5月14日)
父から医院を受け継ぎ、育った町を医療で支える
医師を志したきっかけを教えてください。
医師だった父の影響です。当院は私が幼い頃に父が開業したクリニックで、私も幼少期よりこの地域で育ちました。入り口近くや、建物沿いに植えられた桜の木は、父が私の小学校入学に際して植えてくれたものなんです。地域の開業医ではありますが、父は外科が専門だったこともあり、外来診療では内科の診療だけでなくケガの処置や整形外科に関連した治療も多く対応していました。今も日常的なケガの治療が多いですし、リハビリテーション機器も置いておりますので、利用される方もいらっしゃいますよ。また当時は入院施設もありましたので、盲腸の手術など入院を伴う手術にも対応していました。私も幼い頃は診察室を覗きに行っては、医師としての父の姿を間近で目にしていました。そうして自然と、「自分も父のような医師になりたい」と思い描くようになりました。
そして医師となった後、1994年より診療に携わることとなったのですね。
はい。私が診療に加わった頃には、すでに入院施設などは廃止していましたので、外来診療がメインとなっていましたね。当初は父と2人で診療にあたり、だんだんとクリニックを受け継いでいきました。私自身、医師を志した当初は、父のような開業医になりたいという思いもあって内科の医師をめざしていたのですが、お世話になった先輩方の影響や、何より父の影響もあって、大学時代から勤務医時代にかけては、消化器外科を専門としていました。そのおかげもあって、ケガの処置は得意としていますし、腹部の超音波検査などは、当時の経験が生かされるところだと感じています。
この辺りは院長が育った地域でもありますが、以前と比べて変化などありますか?
以前は田んぼばかりでしたが、ここ2~3年にかけて新しい住宅が増え、若いファミリー層が増えてきている印象です。親子一緒に通う患者さんもいますし、父の代から通う患者さんが、お孫さんを連れて診察にいらっしゃる、ということも最近は多いです。そういった意味ではお子さんからご高齢の方まで、患者さんの年齢層は幅広いかなと思いますね。午前診療終了後から午後診療が始まる17時までの間に、往診にも対応しています。父の代から、平日の診療は20時まで行っているので、仕事帰りにちょっと診てもらいたいと飛び込びでいらっしゃる方も多いですよ。
対話を大切にして、適切な医療に振り分ける
診療時に心がけていることは何ですか?
ありきたりなことではありますが、患者さんの様子をしっかり見ながら、こちらから聞くべきことをしっかり確認し、その上でじっくりと患者さんのお話に耳を傾けること、といったところでしょうか。診療でははじめに、いつから、どんな症状が始まったのか、といったことを順を追ってお聞きします。お子さんの場合も、ご自分でお話しできるようであれば、まずはお子さん本人に話を聞きますね。最初は慣れていない環境に怖がってしまうお子さんも多いですが、次第と慣れてくると自然とお話しできるようになりますね。中にはお母さんより先に診察室に入ってきて自分から話し始める子もいるんですよ。お話を聞く、と言っても時間はかけすぎず、短い時間で聞くべきことを聞いて、余裕があれば世間話と言いますか、普段の生活についてのお話を、私がうんうんと聞いている感じですね。
普段から何でもお話ししやすい雰囲気をつくられているのですね。
そう思っていただけていたら、うれしいのですが(笑)。やっぱり、検査だけして処方をする、ということはしたくないですからね。何げない日常のお話の中にも、患者さんの生活習慣が垣間見えますので、それを生活習慣に関するアドバイスに生かしています。例えば「最近、朝の時間に散歩に出るようになった」なんて話が出たら、運動に関するアドバイスはいらないかな、とか。他にも、すぐに診察してもらいたいということではないけど、ちょっと気になる症状がある、といった場合にお話を聞けるように、お電話での相談にも対応しています。限られた情報となりますので、アドバイス程度にはなりますが、時には診察を促したり、救急外来に行くことを勧めたりすることもあります。何でも相談できる立場でありたいと思いますし、何でも診るのが自分の役割だと思っていますので。
一言に「何でも診る」といっても、簡単なことではないと思いますが……。
私は、自分のことを“振り分け医”だと思っているんです。何かを専門とする医師、ではなく。開業医として、私にできること、わかることには、やはり限りがあります。だからこそ、専門的な検査や治療が必要な患者さんを、適切な医療機関へしっかり送り届けることが、私の役割。そのきっかけをつくるためには、まず「何でも相談できる」立場であることが欠かせないと思います。患者さんを他の医療機関へ紹介する際に心がけているのは、現状をきちんとお伝えすることです。今どういった状況で、どこまでわかっているのか。そしてこれからどんな検査が必要となるのか、といったことを説明して、不安なく患者さんが検査を受けられるように心がけています。安心して「念のため」の検査を受けてもらって、そこで問題ないとわかれば、それが一番良いことだと思いますからね。
小さなきっかけから良い方向へ導く役割を担っていく
院内には掲示物やリーフレットなどがたくさんありますね。
私と、あと看護師や事務スタッフが気になった物を、掲示したり置いたりしています。診察時間の間は、当然ですが私は診療につきっきりなので、その他のことはスタッフの皆さんにフォローしてもらっています。父の代から働くベテランさんがほとんどで、患者さんにとっても慣れ親しんだ方々と感じてもらっているのではないかと思います。もしもスタッフの皆さんがいなくなってしまったら、一番困るのは私かもしれません(笑)。それくらい、クリニックのことを見渡して動いてくださる方々なので、とても助かっています。
日々の生活習慣などで注意すべき点、アドバイスなどあれば教えてください。
基本中の基本は、適度な運動を習慣づけることですね。あとは、食生活に気を配ること。糖分や塩分を控えるなど、当たり前のことではありますが、当たり前だからこそ気をつけるべきことと思います。意識的にウォーキングに励んだり、うどんやラーメンのスープを飲むのを控える、といった「ちょっとした改善」を意識するだけでも、違いは大きいもの。反対に、何もしないままですと、どうしてもお薬の種類や量が増えることにもなりかねません。それはそれで患者さんにとっては良いことではないですよね。取り組みやすい方法からで大丈夫ですので、ちょっと意識してもらえるといいかなと思います。そして、ちょっとした違和感程度であっても「何かおかしいな」と思ったら、なるべく早くクリニックを受診してください。何もないに越したことはありませんが、そこで何か見つかる可能性もありますからね。
読者へのメッセージをお願いいたします。
何か健康上の悩みや症状を抱えているのであれば、遠慮なさらず気軽に足を運んでください。その後、必要に応じた振り分けは私が責任を持って行いますので。治療を終えて、患者さんが「おかげさまで、良くなりました」と報告しに来てくれることがあり、うれしい限りです。何でもできるというわけではありませんが、適切に振り分けて、良い方向に導くお手伝いはできるかと思いますので、何でもご相談ください。