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平野 繁 院長の独自取材記事

皮フ科大高医院

(名古屋市緑区/大高駅)

最終更新日:2021/10/12

平野繁院長 皮フ科大高医院 main

JR東海道線・大高駅から徒歩5分の「皮フ科大高医院」は、現在の院長である平野繁先生が4代目という、永年にわたって地域に根ざしてきたクリニックだ。平野先生が先代から院長を引き継いだのが1994年、以来20年にわたり地域の健康を支え続けている。「一人ひとりの患者さんを大切にする、思いやりのある診療がモットーです」と語る平野先生。一般皮膚科、光線治療、レーザー治療(美容)の3本柱の診療で、皮膚科のほとんどの治療に対応している。往診にも力を入れ、午後の診療の合間の時間を活用し精力的に地域を回るほか、近年は高齢者施設や障害者施設からの往診依頼も増えているという。そんな平野院長に話を聞いた。

(取材日2016年5月18日)

一般皮膚科、光線治療、レーザー治療(美容)の3本柱

平野先生が医院を引き継いだ時期、またその経緯などをお聞かせください。

平野繁院長 皮フ科大高医院1

実は当院は私で4代目なのです。初代からずっとこの地に根を張って開業していますので、ここでの開院歴は50年以上になります。2代目にあたる私の父が早く亡くなったものですから、私が医師として独り立ちできるまでの間、知人の皮膚科のドクターに医院をお預けしていたという経緯があります。父の代までは内科中心の診療でしたが、3代目からは皮膚科中心となり、その流れから私も皮膚科の専門医としての道を歩み、1994年4月から当院の院長に就任しました。私の代になってからも既に20年以上が経過したことになります。家系が医師の家系であったため、医師の道を継ぐのは私にとっては自然の流れでしたし、医院をお預けしていた知人が皮膚科の専門医だったので、私が皮膚科を選んだのも、これまた自然の流れに沿った選択だと思います。

診療内容についてご説明ください。

当院では、一般皮膚科、光線治療、レーザー治療の3本立てで診療を行っています。一般皮膚科は皆さんご存じの通り、アトピー性皮膚炎や湿疹、かぶれからニキビ治療、水虫、やけどまで、一般的な皮膚に関する病気に対応します。光線治療は耳慣れない言葉かもしれませんが、レーザー治療の逆の効能と考えていただくと分かりやすいでしょう。紫外線を当てて、脱毛症に対しては毛根を刺激し「増毛」の効果を促します。また足白癬に対しては紫外線の抗菌作用を利用し治療します。それに対して、レーザー治療は美容皮膚科の領域の治療で、「脱毛」が中心の療法です。

来院する患者層に特徴がありますか?また、どんな悩みで来院する方が多いですか?

平野繁院長 皮フ科大高医院2

昔は乳幼児の比率が高かったですが、地域に小児科のクリニックが増えていること、アトピー性皮膚炎の予防が進んでいることなどから、最近は各年齢層の方たちがまんべんなく来院されています。皮膚科を訪れる患者さんの特徴のひとつは、「かゆくてたまらない。とにかくこのかゆみを何とかしてくれ」や「突然、肌がかぶれてしまった。かぶれを治しほしい」といった、即効性の治療を求めるケースが多いことです。そのため、治療方針は「一日も早く症状を改善する」ことが大前提になりますね。

一人ひとりの患者を大切にする、思いやりのある診療

平野先生が診療の際に心がけていることをお聞かせください。

平野繁院長 皮フ科大高医院3

治療の結果が目に見えるので、皮膚科の場合はごまかしがききません。また、即効性が求められるため、一部を除き治療もシンプルになる傾向があります。内科の治療が、血液検査やMRIやCTスキャン、レントゲンなどを駆使して病根を特定し、計画性に基づいて治療を進めるのに比べ、皮膚科の場合はかなり異なります。もちろん、内科のように計画的に治療方針を立て、じっくり治療することもありますが、多くの場合「一日も早く治す」ことが優先されます。「理屈よりも皮膚感覚」という言葉がありますが、まさに言い得て妙な表現だと思います。しかし、まれにではありますが皮膚科の病気の中にも「皮膚がん」や「悪性黒色腫」などの重篤な病根が潜んでいることもあります。私は学生時代に、恩師から「悪性のことを常に疑ってかかりなさい」と教えを受けました。このことは現在でも肝に銘じて診療にあたっています。

院長就任以来、ずっと往診治療を続けていらっしゃるそうですね。

はい。当院は午前の診療が正午に終了し、午後の診療開始が16時30分です。急いで昼食を済ませた後に、その間の時間を往診治療にあてています。木・日・祝日は休診日、土曜は予約制のレーザー治療ですので、それ以外の月・火・水・金の4日間は連日往診治療です。当初は個人からの往診依頼が多かったのですが、もともと往診を希望する人は高齢者が多く、年月の経過とともに亡くなられる方もいて、現在は高齢者施設・障害者施設などからの往診依頼が増加しています。診療の内容は「床ずれ(褥瘡)」が多いですね。往診を依頼される方は、自力での来院が困難な方ですから、「生活の質」を上げること、日常生活をできるだけ快適に過ごしていただくことを念頭に治療しています。

美容皮膚科の治療についてお聞かせください。

平野繁院長 皮フ科大高医院4

レーザーによる脱毛治療を始めて、約10年になります。私は他人任せにできない性分なので、レーザー治療も全て私自身の施術で行っています。そんな事情から、土曜日の14時から16時までの2時間(予約制)に限定しています。患者数は平均して一日6〜7人くらいでしょうか。やはり女性が中心ですが、最近は男女ともに、美容意識が高まってきたのか男性の患者さんも増えてきていますね。

家族を思う気持ちをもって患者に接する

地域に根ざす医院として、果たすべき役割は何でしょう。また今後の展望についてお話しください。

平野繁院長 皮フ科大高医院5

まず、地域に根ざしたクリニックとしては、自分だけで患者さんのことを抱え込み過ぎないように自戒しています。医院としての身の丈をわきまえ、設備面・治療内容などで、当院での治療が無理と判断した場合は、中京病院、名古屋市立西部医療センター、市立緑市民病院、藤田保健衛生大学病院、名古屋第一赤十字病院、南生協病院など、連携している病院を紹介するようにしています。その際に患者さんに対しては事情をよく説明し、「決してたらい回ししているのではない」という点をご理解いただくように留意しています。これまでも一人ひとりの患者さんを大切にし、思いやりのある診療を行って来ましたが、今後も変わることなくこの姿勢を貫いていくつもりです。

患者さんにまつわるエピソードは何かありますか?

思いもかけず、治療をしたお子さんや年配のご婦人からお礼の手紙をいただいたことがあります。お子さんからは「感謝状」という体裁で、たどたどしい筆致ではありますが心のこもったお礼の言葉が記されていました。また、90歳を超える年配のご婦人からは、とても達筆でていねいな文章で、謝辞がしたためられていました。医師の立場からは、両者ともそれほど特殊な治療を行ったわけではなく、ごく一般的な症状の患者さんでしたが、患者さんにとっては、私の治療やそして投げかけた言葉が心に響いたのでしょうね。このお2人の手紙は、私にとって医師冥利に尽きるかけがえのない「お宝」で、今でも大切に保管し、お子さんからの感謝状は額装して飾ってあるほどです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

平野繁院長 皮フ科大高医院6

患者さんの身になって診療することが、医師にとって優先されるべき大切な心得だと考えています。特に地域に根ざしたクリニックの場合は、何代にもわたり地域の皆さんと同じ空気を吸い、戦禍や災害なども一緒に乗り越えてきたわけですから、住民の皆さんとの絆はひとかたならぬものがあります。一人ひとりの患者さんに対して「この患者さんが私の母親なら」「この患者さんが私の孫だったら」そう思いながら診療にあたれば、絶対に間違った診療は下さないし、後悔するような治療も行わないと確信しています。私が医師として独り立ちをするまでの間、当院を知人の医師にお預けしていましたが、今、私の娘が20数年前に置かれた私と同様の状況で、皮膚科の専門医をめざしています。5代目として娘が独り立ちするまでの期間、地域の皆さんとの間に立って地域クリニックとしての役割を果たし、地域の健康生活を守ることが、今の私に課せられた責務だと考えています。

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