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鬼頭 正人 院長の独自取材記事

きとうクリニック

(名古屋市守山区/守山自衛隊前駅)

最終更新日:2020/04/01

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守山自衛隊駅から徒歩6分。古くからある住宅街の一角にあるモダンな建物が「きとうクリニック」だ。鬼頭正人院長は「とにかく患者さんの話を聞く」ことを重視し、医師がそれに集中することができるように、電子カルテ入力専門の医療秘書まで採用している。この町で生まれ育った2代目。ユーモアあふれる話しぶりからは、地域の人々と深い絆で結ばれた先生の愛情が感じられ、高齢者の多い町で絶大な信頼を得ている様子がうかがえる。インタビューでは、医療の内容はもちろん、地域や患者に対する思いをたっぷりと語ってもらった。(取材日2016年3月31日)

地域住民の高齢化に対応し、デイケアや訪問看護も提供

こちらのクリニックの歴史を教えてください。

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私の父が、1951年に今の場所のすぐ隣で外科医院を開業しました。私は大学病院に勤めていたのですが、1992年に父が亡くなったため、後を継ぐことになり、この場所に移転新築しました。昔は入院病棟もあったのですが、より地域のニーズに合った医療を提供していこうと思って病棟は閉鎖し、旧クリニックのあった場所も活用して通所リハビリテーションやデイサービス施設を運営するようになりました。当院の患者さんも高齢化し、介護保険も始まりましたから、デイケア、訪問看護、居宅介護支援事業所を併設し、在宅療養する患者さんのサポートに力を入れています。

先生は、なぜ、医師をめざされたのですか?

子どもの頃から父が働く姿を見ていましたので、自然に医師になる道に進んだのですが、父は外来も入院も往診もして常に多忙でしたから、私自身は実は開業医にはなりたくなかったんです。だから大学病院に残っていました。しかし、父が亡くなった頃は、この地域にクリニックが少なかったんですね。ここで患者さんを診ていくかかりつけ医が必要だと思って戻ってきました。その頃から比べると、地域の開業医の数は倍になりましたが、それでも守山区は人口比で計算すると名古屋市内で一番、開業医数が少ない区です。いずれ地域に戻って貢献しなければならないという思いはありましたし、今は強くそう思っています。私が継いだ24年前からの患者さんもいらっしゃいますから、感慨深いものがありますね。

守山区はどんな地域で、貴院ではどんな医療を提供されているのですか?

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高齢者率が高くて、特に独居の高齢者が多い地域ですね。当院の周囲は昔からの古い住宅地ですが、若い人がどんどん出て行ってしまって、高齢者だけが住む町になりつつあります。高齢者は通院できない人も多いですから、私も時々往診に行っていますし、当院併設の訪問看護ステーションはかなり多くの在宅患者さんの看護を引き受けています。私が自身で訪問診療をお引き受けしているのは、昔から当院で診ている患者さんや大学病院から依頼されたがんのターミナルケアの患者さんですね。通所リハビリテーション施設は定員40人で、常勤の理学療法士がいてさまざまなリハビリテーションを実施しています。ここでは、例えば要介護2の人を要介護1に、要支援2の人を要支援1に回復させるといった自立支援の機能訓練に力を入れ、利用者さんの日常生活が少しでも楽になるよう努力しています。

患者の目を見て話を聞くために、カルテは秘書が入力

地域の人たちも、昔なじみの先生が診療してくれて喜んでおられるのでは?

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そうですね。私の小さい頃をよく知っている人が多いですからね。腕白だったから、こちらが恥ずかしいですよ(笑)。長くはお待たせしたくないので、診察はできるだけ手早く進めたいと思うのですが、ご高齢の患者さんはとにかく話を聞いてほしいという人が多いんですね。どうしても時間がかかってしまいます。ちょっとした話の中で気になることはカルテに記録しておきますが、後から役に立つことが多いです。病気の半数以上はストレスが原因なのではないかと感じます。特にこの辺りには独居の高齢者が多いので、話すことで少しでも楽になってくれればいいなと思っています。また、診察中に言いにくいような意見も聞きたいと思って、待合室には投書箱も設けています。例えば、駐車場や駐輪場の整備とか、受付の対応など、投書を参考に改善したことはたくさんあります。

先生は警察医もなさっていると聞きましたが、どんなお仕事ですか?

守山警察署の警察医をしています。検案という仕事を、私がお引き受けしていますが、亡くなった人の6割はいわゆる孤独死なのです。ですから、ご高齢の方の不安というものがよくわかりますね。東日本大震災の時は、全国各地の医師会から被災地の医療支援のために医師が派遣されましたが、私は名古屋市医師会の救急医療担当理事でしたから、当時、名古屋市医師副会長だった杉田先生と一緒に、第一陣として、3月13日から仙台市の遺体安置所で被害に遭われた方の検案を行いました。普段、検案しているのはほとんどがご高齢の方なのですが、ここでは、子どもさんや若い方々も驚くほど大勢亡くなられていて、胸が締め付けられる思いでした。ボランティアですが、こういうときに少しでも役立つのが医師だと思っています。検案のような仕事も地域医療の一環なのです。

普段の診療では、どんなことを心がけていますか?

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とにかく、患者さんの話を聞いてあげるということですね。聞けば、なぜ、そういう病気になったのかわかることもあります。患者さんをお待たせしないようにすることも大事ですが、やはりよく話を聞くことが大切だと思います。待ち時間が多少長くなっても、本当に体調が悪い患者さんは待ってくれています。「病は気から」という言葉があるように、実際、メンタルな原因から痛みなどの身体症状が出ているという患者さんが多いのです。逆に、特に時間をかけて話を聞いている患者さんは体の病気がないことも多いので、注射してほしいとか、薬だけもらいたい、リハビリをやりたいなどと言ってきても、簡単には許しません。当院は電子カルテを採用していますが、私などは自分で入力していたら、患者さんの目を見て話ができません。ですから、話をしっかり聞くために、当院では電子カルテ入力専門の医療秘書を雇っています。

独居高齢者の不安を少しでも和らげたい

先生のご趣味は何ですか?

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子どもの頃から40歳ぐらいまで乗馬が趣味でした。自分の馬を持っていたんですが、体力が続かなくなって止めました。大学生の時はカーレースにはまって、全日本選手権で3位になったこともあります。今は、そんなに熱心にやっているわけではないんですが、年に1〜2回、レースに出ています。1995年ぐらいから鈴鹿サーキットのレースドクターを務めていたこともありまして、年に7〜8回は仕事でサーキットに通っていました。私が代表をしている名古屋レーシングクラブの主催レースが年3回、鈴鹿であります。車をいじるのも好きです。今はイギリスの古い車でレースに出ていますので、ネットで部品を購入しては自分で修理していますよ。

院長先生以外に、専門の先生が診療されることもあるようですね。

整形外科、リウマチ、消化器でそれぞれ専門の医師に来ていただいています。患者さんのニーズは変化しますし、医療はどんどん進歩していますから、新しい知識や技術を入れていかなければ、置いていかれてしまいます。大学から先生に来ていただいて、そこで私も聞いて勉強させていただいています。治療のマニュアルがどんどん新しくなっていますから、患者さんのために知らなければならないことがたくさんあるのです。レントゲンや内視鏡などの医療機器もできる限り更新していくようにしています。例えば血圧脈波検査装置で動脈硬化の程度を検査するようなこともできるようにしています。

これからの展望をお聞かせください。

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総合アミューズメント施設(笑)ではないんですが、独居の高齢者が行くところがないので、そういう方々を預かるような施設を作りたいなと思っていますが、なかなか難しいですね。有料老人ホームを開設するのにも大変なお金がかかりますからね。ハードだけでなくソフト面、そこで医療と介護を提供する態勢を整えるのも簡単ではありません。私は患者さんたちとそれほど年も離れていないので、病気の悩みだけでなく、お金や家族に関して相談をされることも多いんです。聞いてあげるだけで解決できないことがほとんどなのですが、そんな患者さんたちが安心できるように、何か役に立ちたいと考えています。

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