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植谷 忠之 院長の独自取材記事

植谷医院

(名古屋市南区/桜本町駅)

最終更新日:2019/08/28

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地下鉄桜本町駅2番出口から徒歩1分の住宅地にある「植谷医院」は、この地で開院にして実に70年以上。2016年に就任した植谷忠之院長は勤務医時代、循環器内科部長として専門的な治療を行ってきた。院長は「開業医として専門だけに絞らず、患者さんが求めることに応えることが一番大事」と小児科も標榜し、診療時間外もできる限り応対するなど、地域に貢献したいという思いがひときわ強い真面目な人柄。専門である循環器に加え新たに定期的な訪問診療や栄養指導も始めるなど、診療の幅が広がっている。開業の経緯から、高齢の患者に対する配慮、プライベートなことまで多くを聞いた。
(取材日2016年6月2日)

高齢者は、筋肉の衰えを防ぐため食事制限より運動を

外観も素敵で、中庭を設けるなどこだわった設計ですね。

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当院はもともと祖父が1940年頃この地に開業しました。父が後を継ぎ、私は富山大学卒業後、愛知県内や三重県の病院、名古屋大学の医局などを経て2004年に中部ろうさい病院に勤めはじめました。ここと距離的に近かったこともあり、土曜日などにはときどき診療の手伝いに来ていたんです。建物が老朽化し、私も子どもが生まれて賃貸マンションが手狭になったこともあり、2011年に医院を建て替えて2階を自宅としました。まず待合室がかなり広くなり、患者さんのプライバシー保護のため、中待合と診察室はある程度隔てて診察室も増やしました。感染のおそれがある患者さんが待つ部屋も別に設け、私がその部屋に診察に出向きます。中庭をつくったのは、上から光が差し込むようにするためです。おかげで室内が明るくなりました。駐車場が20台分できたこともよかったです。

患者さんはどんな方が多いですか。

一番多いのは生活習慣病の方ですね。高血圧、糖尿病、高脂血症、脂質異常、大体これらの疾患を併せ持っておられます。あとやはり私が専門が循環器なので、心筋梗塞や心不全など心臓病の方が主な患者さんになります。この地域は高度成長期に工場地帯として発展し、その頃働き盛りの人たちが今、大体80代。市内の中でも高齢化が進んでいるんです。私は12年ほど中部ろうさい病院にいたのですが、その頃から引き続き診ている方もあります。2階が自宅なので、夜間など急な患者さんでも対応できます。妻は看護師で、昼間は週2日ほど手伝ってくれるのですが、そういった緊急時も協力してくれます。たまに「薬をなくしたから出してほしい」とおっしゃる方も。だから父の代からの院内処方も引き継ぎ、自宅にいればできる限り対応しています。

生活習慣病の患者への指導はどのようにされていますか。

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50~60代前半の太り気味の方などはカロリー制限が必要なのですが、当院は70~80代が多いんです。そうすると、厳格な食事制限はあまりよくないのではないかと思うわけです。というのは、加齢により筋力の衰えが進むので、特に女性の方は骨も弱くなり、骨粗しょう症になって転倒して動けない状態になってしまう恐れもあります。ですから血糖値を管理するよりも、とにかく動くことが大事で、むしろ肉は食べたほうがいい。年々、患者さんの年齢層が上がり、例えば入院して病気は治っても足腰が弱くなってその後動けなくなってしまうというケースが多いと感じています。高齢になると、どれだけ歩けるかということが非常に大切です。ただ、月に1~2回の診療で、その方が実際どれほど運動しているか把握するのは難しく、ご家族や訪問看護の人たちと相談して、ということが多いですね。

症状、薬をわかりやすく伝え、最適な診療を心がける

家ではどういった運動をやるといいでしょうか。

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人によってまったく違いますね。ご自身の体調、症状によります。1つの目安としては、週に150分の適度な運動をということがいわれています。例えば1週間のうち5日間は1日30分、運動できる人はしましょうと。仕事などで忙しく日常生活と別に運動の時間をとることが難しい人は、一駅手前で降りて歩くとか、エレベーターを使わず階段でということである程度補えます。歩くのにつえが必要なお年寄りの場合は、家でできることを少しずつ、座ったまま足を上げたり下ろしたり、部屋の中で足踏みしたり、そういうことでもよいかと思います。

患者側が意識を持ち続けることも難しいですね。

そうですね。厳しい指導をして目標が達成できたとしても、その後ずっとリバウンドと戦っていくことは大変で、ずっと意識を持ち続けるために目標をそんなに高くせず、体重もゆっくり減らしていくのがいいのではないかと思います。当院では大体半年かけて体重の5%ぐらい減らそうとお伝えする場合が多いです。50kgの方だと半年で2.5kgですね。常に意識していることが大事であり、結果についてはあまり言わないほうがいいかなと。体重が減らなくても運動すればいいですよとも言っています。禁煙相談も行っているのですが、禁煙するとほとんどの人は食事の量が増えて太るんです。そういう場合は、まず禁煙してから食事を検討していきましょうと話しています。その人の状態を見て、何を優先するかを考えるのが大事ですね。

高齢の患者が多いとのことでしたが、診療で工夫されていることはありますか。

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最初に話したように病気を複数持っている方が多く、自分が何の治療を受けているのか認識されていない場合もあるんです。そこで今年から、飲んでいる薬やその理由、受ける検査の意味などについて紙に書いて患者さんに渡すことを始めました。カルテとは別に一人ひとりの患者さんの症状、薬を整理して、検査やレントゲンの結果など治療の流れのようなものを作り、当院の資料とします。また原則1つの病気について1枚の紙にまとめたベースとなる文章を用意し、患者さんにはわかりやすいように資料化してお渡しします。ご自身の病気をよく知らない方もいらっしゃいますからね。食事や運動、お風呂など日常生活の注意点や、予防接種についてなどを記載した紙ですが、文章は紙の半分ぐらいに抑え、イラストも添え、患者さんに理解しやすいように記述しています。

一番大事なのは地域の患者の要望に応えていくこと

先代から長く通われる患者さんが多いのでしょうね。

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はい。父の患者さんを中部ろうさい病院にいる私が治療したことも結構ありました。「先生の息子先生に診てもらったよ」とうれしそうに話していた患者さんもいたそうです。当院で父が診て、中部ろうさい病院で私が診て、また今は当院で私が続けて診ている、という感じで、ご家族3代にわたって来てくださる方もいます。10年ほど前に、中部ろうさい病院で心臓の血管を広げる難しい治療をした方がいるのですが、その方が近所にお住まいなんです。勤務医時代は、退院された患者さんのことを今頃どうしてるかなあと思うこともありましたが、開業医だと患者さんの元気な姿をずっと見ることができて、うれしいですね。その方は犬を飼っていらして、うちの子どもが散歩についていくこともあるんですよ。

たいへんお忙しい中、休日はどのようにお過ごしでしょうか。

祖父が三重県の出身でまだ家もありますので、休日には家の手入れも兼ねて家族で出かけています。子どもは小学校高学年の女の子2人と中学年の男の子の3人です。山奥なのでバーベキューをやったりしますよ。最近、父が喜寿を迎えたので、家族で相談して動物好きな両親に子猫を贈りました。プレゼントする日まで子猫はしばらく家にいたのですが、妻も子どもたちも情が移ってしまい、両親が旅行の時などに預かると、うちじゅう大騒ぎです(笑)。子どもが生まれてからしみじみ思うのですが、子どもに教えられることは本当に多いですね。

今後の展望など教えてください。

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新しく考えているのは、心臓関係の疾患のリハビリを実施していくことと、管理栄養士による栄養指導を定期的に行っていきたいということです。訪問診療もニーズが多いので救急だけでなく定期的に行うことを始めました。当院は循環器が専門ではありますが、あまり絞りすぎないようにしたいですね。祖父の代からの患者さんがあってこれまで育てていただいたという気持ちがあり、展望というには小さなことかもしれませんが、地域の皆さんが何を求めていらしてくださるのか、それに応えていくのが後を継いだ者として一番大事な気がするんです。小児科も専門ではないですが常に勉強しており、専門医に行く前に相談に来られる方もあります。これからも地域の皆さんの信頼を損なわないよう診療を続けていきたいと思っています。

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