端山 暢郎 院長の独自取材記事
犬飼胃腸科
(名古屋市瑞穂区/瑞穂区役所駅)
最終更新日:2024/09/24

古くからの商店街や住宅が立ち並ぶ瑞穂区御劔町で、35年以上にわたり診療を続けてきた「犬飼胃腸科」。2016年10月から現職の端山暢郎(はしやま・のぶお)院長は、大学卒業後、故郷である岐阜県内の大学病院や総合病院で経験を積んだ後、同僚とともに一宮でクリニックを開業。その後、縁あって2015年に犬飼胃腸科の院長に就任した。現在はシニア層の患者を中心にさまざまな悩みに応じ、胃・大腸の内視鏡検査にも注力。外来診療に加えて在宅医療にも取り組むなど精力的に地域医療に取り組んでいる。「臨機応変さが自分の強み」と自身を評し、患者のちょっとした相談にも耳を傾ける端山院長に、診療に対する思いを聞いた。
(取材日2024年8月7日)
あらゆる年齢層が足を運びやすい診療所をめざす
どのような患者さんが多いですか?

高齢の方が中心で、私の専門である胃や大腸の内視鏡検査を希望するミドル世代も多い印象です。症状も、風邪、腰痛、足にたこができたなどいろいろです。また午前と午後の診療の合間には往診に出ています。時には、他院で受けた検査について「これってどういうことでしょうか?」と相談されることもあります。大規模病院の医師は多忙ですので、患者さんに説明できる時間はあまり取れないという実情があります。詳しく説明するのは、かかりつけ医である私の役割ですので、気兼ねなく聞いていただきたいですね。体調を崩してどの診療科にかかれば良いかわからないようなとき、なんでも相談してもらえる存在でありたいと思っています。
内視鏡検査について教えてください。
胃と大腸の内視鏡検査を行っていて、胃の検査は経口と経鼻の両方に対応可能です。大腸内視鏡検査ではポリープが見つかった場合、その場で日帰り手術ができます。といってもどんなポリープもすべて取らないといけないのではなく、取るべきものと取らなくてよいものを見分けることが大切です。当院の内視鏡システムは毛細血管の様子を詳しく見るための「狭帯域光観察」という技術とズームカメラが備えられていて、検査をしながら切除術の必要性を判断していきます。従来方式であれば組織の一部を取って検査を行い、結果が出るまで1週間程度待ってから切除術を行っていたのですが、そのタイムラグがないので患者さんへの負担が少ないと思います。近年、内視鏡システムを一新したことで、より精度にこだわった検査が提供できる体制となっています。
内視鏡システムにはどのような特徴があるのですか?

以前のものと比べて画質が良くなったので、小さな病変も見つけやすくなりました。現在、検査で求められているのは微小な病変の発見ですからね。血管の走行や形状なども把握しやすくなり、検査精度の向上につながっていると感じています。胃も大腸も内視鏡検査を受けるとなると、事前の絶食が必要ですし、検査自体に多少なりとも抵抗感を覚える方は少なくないと思います。当院では曜日は限定されますが、胃と大腸の内視鏡検査を同日に実施できる体制を整えていますので、お仕事で忙しいビジネスパーソンの方や、何度も受診するのが難しい方などにも検査を受けやすいかと思います。
帰宅後「あれ?」と思ったらもう一度聞きに来てほしい
患者さんと接する上で先生が心がけていることはありますか?

日頃から、患者さんと目線の高さを合わせるようにしています。かつての医師は「お医者さま」として敬われていましたが、そもそも私にとって患者さんは年上の方が中心で、皆さん人生の大先輩。医師だというだけで偉そうなのはおかしいですからね。かといってあまりへりくだりすぎるのも変かなと思うので、同じ目線の高さでお話ししたいと心がけています。丁寧な説明も大切ですが、中にはあまり詳しい説明を求めない方もいらっしゃるんです。極端な話、そういう方には「大丈夫でしたよ」で終わるかもしれない。その一言で安心して帰れますからね。反対に、特に若い人の場合は詳しい説明を聞きたい方が多いので、きちんと説明しています。いろんな患者さんとの出会いを経て、その人に合わせた接し方を通して、安心していただきたいと思っています。
丁寧に説明してもらえると、患者さんの理解も深まりやすいでしょうね。
私も気軽にクリニックを利用してもらいたいと思っていますから、気兼ねなく相談していただきたいですね。診察から帰った後に心配事が出てきたら、また来て聞いていただいて構いません。院外処方にしているのも、患者さんにとって便利だからです。例えばちょっと難しい病気で大きな病院にかかって、特殊な薬を処方された患者さんがいたとして、院外処方であれば基本的にどのような薬でも対応できます。在宅医療をしていると抗がん剤や痛み止めの麻薬が必要な方もいらっしゃいますから、どんな薬でも処方できることが何よりも大事だと考えています。「こんな薬、出せる?」というご相談もいただきたいですね。
健康を維持していく上でのアドバイスがあればお願いします。

何においても大事なのは早期発見・早期治療ですから、健診や検査は定期的に受けていただきたいですね。特に最近では若年層の消化器がんも増えている印象ですし、ピロリ菌除菌が胃がんのリスク予防につながるともいわれていますから、若いうちから検査を受けておくと良いでしょう。とはいえ、特に悪いところがなければ検査を受けるタイミングはなかなかつかめないものですよね。それなら、例えば結婚や、家族が増えたなど、人生の節目に内視鏡検査を受けてみてはどうでしょうか。若いうちに受けて問題がなければ、次回の検査は数年後でも大丈夫ですから。それと、名古屋市は対象年齢であれば胃の内視鏡検査も助成が受けられます。こういった制度も上手に活用して検査の機会をつくってもらいたいです。
地域に根差した診療所として、困ったときの窓口に
在宅医療にも力を入れていますね。

この辺りは下町ですから、在宅医療を必要とされる方が多いんです。当院は厚生労働省が定める要件を満たす機能強化型在宅療養支援診療所として、病院の取り次ぎから看取りまで一貫して行っています。在宅医療の要となるのは地域連携ですが、当地区は他のクリニックや病院との連携が非常に密接なため、専門的な検査や治療が必要な場合にも、適切な医療機関へ紹介しやすい環境だと思います。今後もより地域全体で患者さんを見守る体制をつくっていくために、医師や看護師、ケアマネジャー、民生委員だけではなく、近所の人まで巻き込んでいく、そんな在宅医療をめざしていきたいですね。
院内の感染症対策にも注力されているそうですね。
院長就任時より院内の感染症対策には気をつけてきましたが、新型コロナウイルスの流行でさらに強化しました。患者さんごとに聴診器、いすの肘掛け、ドアノブの消毒をして、待合室は界面活性剤による拭き取りとアルコール消毒を日に4、5回程度実施しています。風邪症状など感染の疑いが少しでもある場合は、通常診察室とは離れた場所にある感染症診察室に直接入室していただき、私がガウンやアイマスク、手袋などを着用して診療します。この部屋で会計や薬の受け取りまで行い、ほかの患者さんと接することなく診察しているので、何か不安な症状などがあれば事前にご連絡ください。感染症診察室は患者さんごとにオゾン燻蒸した後、20分間換気をしています。
読者へのメッセージをお願いします。

医師となり、そして当院を継承してから数年がたちますが、人生の先輩方と比べたら、私はまだまだ若輩者。これからも経験を積み、地域に根差した医療を長く続けていきたいです。この地域は連携が密接で、適切な医療機関へ紹介しやすい環境です。当院を窓口として活用いただけるとうれしいですね。もちろん消化器に関することはできる限り応えていけるよう、力を尽くしていきます。そして、地域の皆さんが困ったときに気軽に相談してもらえる存在をめざして、これからも丁寧に診察を続けていきたいと思います。