全国のドクター8,992人の想いを取材
クリニック・病院 161,454件の情報を掲載(2020年2月23日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 名古屋市瑞穂区
  4. 瑞穂運動場東駅
  5. 奥田内科クリニック
  6. 奥田 宣明 院長

奥田 宣明 院長の独自取材記事

奥田内科クリニック

(名古屋市瑞穂区/瑞穂運動場東駅)

最終更新日:2019/08/28

67105

瑞穂運動場東駅から南へ1本入った閑静な住宅街に建つのが、開院して23年の「奥田内科クリニック」だ。デイケアセンターも手がける同院は、年齢を経ても長く付き合える地域に根ざした頼もしいクリニック。開院以来、通い続ける高齢の患者も多い。院長の奥田先生は、外科、生理学、内科学を研鑽し、その後、急性心臓疾患治療室室長を経てきたベテランドクター。開業後も臨床教授となり、現在でも大学で教鞭もとっているという奥田先生の物腰は柔らかで、言葉の一つ一つに説得力がある。「すべての医療の目的は、患者の精神的、肉体的苦痛を取り除き、安心感を与える事」と話す奥田先生。伝わる安心感は、どのように育まれたのか? 医師としての経歴や医療に対する先生の想いを聞きながらその人柄の一端に触れてみた。
(取材日2016年5月9日)

生理学的基礎が自分の医学の中心軸

なぜ医師になろうと思われたのですか?

1

私の家は祖父の代から医師で、父や兄、親戚など、周囲に多くの医師がいましたので、自然と医師の道に進みました。父も内科医でしたが、釣り道に、「鮒に始まり鮒に終わる」という言葉があるように、「内科に始まり内科に終わる」と考え、私も最初は内科を希望していたんです。ところが、学生時代にお世話になった外科の医局長から「体の中を開いて見る外科は、胸部写真を見るにしてもお腹を触診するにしても内科の勉強になる。最初に外科をやってみたらどうか」と言われたんです。「なるほど、救急にも役立つし、いざという時にも外科の知識は強みだ」と思い、外科を選択しました。学生時代にテレビで見たアメリカの医療ドラマの主人公も外科医でかっこよかったんですよ。その憧れもあったのかもしれません。

幅広い領域の診察ができますが、基盤を作ったものは何ですか?

外科の研修医時代にお世話になった教授は、生化学を学んだ方で、内分泌外科を専門とされていました。外科全般を数年経験した頃、教授から「外科は、物理的な治療を主とする医療だから、生理学で基礎的なことも学んでみたらどうか」という助言を頂いたんです。たまたま私の父の知り合いに生理学の教授がいた事もあり、生理学の研究を始めました。メディアで取り上げられる様な研究にもあたり、生理学に没頭しました。器官や組織、細胞レベルから環境との関わりまで研究する生理学は、医学の基盤。今、振り返れば、生理学で学んだ事は私の医学の中心になっています。

研究の中で医療にとっての生理学の大切さを実感したんですね。

2

生命現象を学ぶ医学の原点と悟りました。しかし、生理学の研究を続ける内に、この知識を活かせば、病人の本質的病態が理解出来るとの思いが強くなり、再度、臨床に取り組もう、と思い至ったんです。そんな頃、内科学新任教授が生理学教室にお出でになり、たまたまお話していた時、「自分は病理学の学びが内科に活かせているので、きみも外科や生理学を学んだのだから、内科でそれを活かしてはどうか」とアドバスを頂きました。最初の目標の内科に戻ったわけです。内科全般を学ぶ為、臨床だけでなく医学部や看護大学で学生講義などもしました。そこでは、病態生理からの治療やコミュニケーションの大切さを学びましたね。その後、外科の経験もある事から、急性心臓疾患治療室(CCU)を4年間任されました。

外科や生理学の経験を生かした専門の内科・循環器医療

どのようなコンセプトで開業したのですか?

3

開業するにあたって3つのS(sincerely、speedy、skillfully)を考えました。まず1つめの゛sincerely゛は、患者さんの共感を得る為には患者サイドに立って考える。具体的には、もし自分が患者であったらどう考えるか、と言う事です。そして2つ目の゛speedy゛は、言葉のとおり迅速さです。大学の臨床のように、次回受診日まで結果が分からないのでは手遅れな事も多々あります。外科の経験からも時間は大事だと痛感しています。受付から検査、診察までのスムーズな流れを考え、採血や心電図など診察に必要な様々なデータは、必要な場合20分以内には診察室で参照出来るようにしました。3つ目の゛skillfully゛は、患者さんの安心感を高めるための医学的知識の向上と考えています。知識や情報を得る為に、各種の研究会や学会に参加したり、大学ともコミュニケーションを取っています。

3つのコンセプトを元に提供されてらっしゃる医療を教えて下さい。

私自身も全ての症状を診ますが、当院は消化器専門医、呼吸器専門医、精神科専門医の医師にも来て頂き、患者さんを総合的にサポートできる体制も整えています。『早く正確に分かりやすい』診断を行いたいので、約10分程度で血液の検査ができる装置、心臓や腹部、あるいは甲状腺を診るエコー装置、動脈硬化や神経障害を迅速に診断する機器、網膜剥離や眼底出血、緑内障などを調べる眼底鏡や眼圧計、患者さんの負担が少ない経鼻内視鏡、睡眠時無呼吸解析装置や数分で解析出来る24時間心電図など、迅速診断の為の機器を整えています。患者さんが持っている不安を解消する為、迅速な検査と病気を平易な言葉で分かりやすく説明して一緒に治療していきましょう、という姿勢は常に意識しています。

ホメオスタシス(恒常性)に基づき、個々に合った最適な医療の提供を考えられてますね。

4

人間の体の細胞を包んでいる組織の諸器官は、気温や湿度などの外部環境に応じて体温、血圧などの内部環境も変化しますが、これはある一定の幅を持って安定しています。この安定を保とうとする働きがホメオスタシスです。そして、安定が保てなくなって内部環境が大きくずれることが病気です。例えば、血圧や血糖値が大きくずれると、高血圧や糖尿病となります。私はこのホメオスタシスに基づいて「この人の本当にいい状態は何だろう」という事を考えるとともに医療のガイドラインを参考にし、個に沿った医療を提供しています。開業医だからこそできる、患者各々に合った迅速な医療をめざしたいですね。

クリニックの進化と高齢化社会に向けた医療のあり方

どんな患者さんが多く来院されますか?

5

地域の方はもちろんですが、大学病院にいた頃からの患者さんが開院以来ずっと通い続けてきて下さるので、100歳を超える方もたくさんいらっしゃいます。そして、そのご家族も含め家族のかかりつけ医として慕って頂いているのは、ありがたいことです。長生きされている方々の日頃の様子から、楽しみを見つける事がいかに大事かを学びました。患者さんだけでなく、同業の医療関係者の方も診療に来て頂いているのは嬉しいですね。

デイケアセンターも併設し、地域の為に貢献されてますね。

開業してから5年ごとに新しい取り組みをしてきました。最初の5年目に法人化した事で、大学から消化管機能を研究しているドクターにも来て頂ける様になりました。現在では、消化器、呼吸器、精神科の専門医もおり、頼もしい限りです。10年目にはデイケア施設、15年目にはリハビリデイサービス施設を開所しました。ある患者さんの話ですが、私が「検査をしましょう」と言ったら「その日はデイサービスに行かなきゃいけない」と言われた方がいました。その方にとって、検査をやってごちゃごちゃ言われるよりもデイサービスで皆さんと話して健康を実感する事の方が大事なんだろうなと、そこで思ったんです。外へ出る機会を増やす事が大切だと実感し、介護施設を作るきっかけとなりました。高齢だからこそ、もっともっと人生を楽しんで頂きたいですね。

医療の目的は、患者さんへ『安心感』を与える事とお考えですね。

6

様々な医学、幅広い臨床を経験した事により、患者さんや疾患を総合的に診療できる医療の限界の先に死生学の重要性を感じます。死生学は、自己の消滅としての死に向き合い、死までの生き方を考える学問。私は日頃から安心を与えることが医学の基本だと考えていますが、高血圧の学会で出会ったお坊さんと話した時に「仏教の基本は抜苦与楽ですよ」と言われ、仏教も医学も一緒ですね、と共感した事がありました。生きている今をどのように過ごすかを、患者さんそれぞれに考えて頂けるような言葉がけは大事です。例えば、患者さんの中には少しの体調変化に動揺し、「どうしよう、どうしよう」と不安がられる方がおられます。そんな方には、死因となる病気を分かりやすく説明し、「現在死ぬような病気は見つかりません。大丈夫ですから、安心して今を楽しんでください」と話します。安心感を与えるのが医者の務めと考えています。

Access