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半田 容子 院長の独自取材記事

八事クリニック

(名古屋市昭和区/八事駅)

最終更新日:2021/11/22

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八事駅から徒歩7分。「八事クリニック」。アンティークの家具が印象的な院内は落ち着いたカフェのような空間。にこやかに迎えてくれる院長の半田容子先生は、話をしているうちについ悩みを相談したくなるような、女性ならではの優しさや温かみのあるドクター。名古屋大学で学んだ漢方の専門知識を生かし、心だけではなく体も含めた全人的な治療を目標としている。「治してあげるというより、治すお手伝いをしていきたいんです」と語る半田先生に、東洋医学との出会いや自身の学びを生かした独自の治療方法、開業医としての思いについて話を聞いた。

(取材日2016年6月16日)

東洋医学との出会い。心と体、全体の健康を考える

来院される方のお悩みについて教えてください。

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人それぞれですが、うつや不安、緊張、不眠での悩みが多いです。平日は介護や育児で悩む主婦の方、自営業の方、土曜日は仕事のストレスを抱えているビジネスマンが多く、対人関係や家庭でのパートナーや嫁姑の関係がうまくいかないという方もいらっしゃいます。最近は腹痛や頭痛など体の調子が悪くていろいろな病院へ行っても原因がわからず、最終的に当院に来られるというようなケースもありますね。「なんとなく調子が悪い」というときには漢方の出番。東洋医学で「未病」と言いますが、病気の前段階の症状を改善するために、当院では漢方治療にも力を入れています。

漢方を処方するのはどんな症状のときですか?

患者さんの症状や希望をお聞きした上で処方しますが、当院ではまず漢方薬をお勧めしています。というのも、心療内科や精神科で処方するほとんどの薬を服用している方は運転禁止という法律が制定され、前日の夜に服用した場合も翌日は運転できなくなってしまったから。漢方薬なら問題はありませんので、まずはそちらを試していただき、効果がみられなければ西洋医学の薬に切り替えるようにしています。最近はPMS(月経前症候群)の症状で悩む方が増えていますが、若い女性はこれから妊娠・出産を経験する可能性がありますから、依存性も含めてなるべく体に負担をかけないほうがいいですよね。漢方薬の一つに甘麦大棗湯というものがありますが、その成分は麦やナツメなど身近なものばかり。普段目にするような食物が原料でも、その配合によってパニック発作や涙が止まらないなどの症状に適したりするんですよ。

東洋医学を取り入れた経緯をお聞かせください。

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漢方治療に力を入れ始めたのは7年ほど前。もともと開業時から多少扱っていましたが、私自身も年齢を重ねて、仕事や生活の中ですごく疲れてしまう時期がありました。病気になる前になんとかしたかったので、近くにあった漢方内科を受診して、その良さを実感しました。それがきっかけで名古屋大学で漢方研修医として専門的に学び始めました。東洋医学は「体の気が巡れば病気にならない」という考え方で、そのために漢方薬といった手段があります。その考え方を取り入れて、食事も含めた生活全体の話をお聞きするなどして、「メンタルヘルス」だけではなく「ウェルネス」という体全体の健康を意識した診療を行うようになりました。

患者に合わせたオーダーメイドの治療を

ご自身の経験が今の治療方針につながっているんですね。

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精神医学とともに東洋医学は奥が深く、私自身も学ぶことが楽しいです。実際、患者さんの生活全体をお聞きすることでその人に合ったアプローチの方法も見えてくるようになりました。例えば「眠れない」と悩む患者さんにも、睡眠剤を処方する前に話を聞き原因を考えて根本から改善できるように促すんです。原因が就寝前のスマートフォンだったというケースもあって、生活習慣を見直すだけで薬の量が減ることもあります。あとは4年ほど専門的なトレーニングを受けた精神分析も治療に取り入れています。それは患者さんのこれまでの歴史を縦糸、発病時点のきっかけや環境を横糸と考え、一つの人生や状況を一枚の織物のように俯瞰して治療の糸口を探すというもの。現代医学に東洋医学や精神分析療法の視点を組み合わせ、患者さんに合わせたオーダーメイドの治療ができるようにしています。

診療の際に心がけていることは何ですか?

その方なりに頑張ったのに報われなかったという気持ちを持って受診される患者さんが多いように思います。ですからその気持ちを少しでもねぎらうようにしています。また、できるだけマイナスの言葉を使わないようにしています。以前ほかの病院で私自身が受診した際、不安な気持ちから先生の言葉に敏感になったり、待ち時間や診察時間のことが気になったり、患者さんの立場になって改めてわかったことがありました。精神的なお悩みの方には特に言葉が与える影響は大きいため、否定的な言葉よりプラスに受け取ってもらえる言い方をしようと思ったんです。精神科というとハードルが高くなってしまいがちですが、当院は入院施設のあるような大規模病院とは役割も違うと思っています。少しでも社会生活を楽に送れるように、スタッフも含め患者さんに親身に寄り添い、気軽に相談に来てもらえるような場所になれるよう心がけています。

心に残るエピソードを教えてください。

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以前、患者さんに「病気になって良かった」と言われたことがありました。病気から学びを得て、さらに人生経験が深くなったと。長年いろいろな方と接してきましたが、やはり患者さんが日常の小さなことに幸せを感じられたり、前向きに考えられるようになることが一番うれしいです。当院では初診の際になるべく時間をかけてお話を伺うようにしており、「診察室を出た時点でだいぶ良くなった」と感じていただくことを心がけています。通ってくださる方の生活を見守ったり、症状が良くなっていく姿を見られることにもやりがいを感じます。

精神科のハードルを下げ、患者に寄り添っていく

医師を志されたきっかけは?

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高校生の時にボーヴォワールというフランスの女性哲学者に傾倒して、その影響から「女性も自立だ!」という意識がありました。もともとは建築家に憧れていましたが、その当時、女性の建築家は珍しく、働ける職場がほとんどなかったんです。そこで、長く続けられて人の役にも立てる医師の道を選びました。精神科を選んだのは学生時代のつながりがきっかけです。同級生から精神科関連の読書会に誘われて、そこに参加してから周りに精神科に関心のある人が増えていって影響を受けたことが大きいですね。体を入れる家を作る建築家から、心を入れる器に関わる精神科医になったということでしょうか。いずれにしろ容れ物です、名前の容子と関係があるのかもしれませんね。

開業に至るまでの思いをお聞かせください。

二十数年前ですから私が開業した時には心療内科という分野はなく、ほとんどが精神病院でした。どこに行けばいいのかわからない方たちがいらっしゃったんです。以前、精神病院に入院されていた年配の患者さんが、病気が治った際に「私の友達にもこうなった人はたくさんいたけど、みんな命を絶ってしまった」とおっしゃったんです。早く治療すれば対処できるものなのに、昔はご近所の目もあってなかなか病院にかかれなかったのでしょう。だから、もっと精神科のハードルを下げて相談しやすい場所をつくりたかった。最近は近隣の方も多く来院され、治った後もちょっとしたお悩みを相談しに来る方もいらっしゃるので、徐々に身近な存在になってきているのかなと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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生きていればいろいろなことが起こります。つらい出来事や症状や病気は、今までのやり方ではもう無理ですよという体からのメッセージだと思います。症状の意味を考え、自分の心や生活を見直すことが大事だと思います。ピンチはチャンスです。またできるだけ良いエネルギーを取り入れて、日々を穏やかに楽しく過ごしていただけたらと思います。私も医院の近くにある興正寺の敷地内で、毎日森林浴をして癒やされています。樹齢何百年の大木がたくさんあって、空気がきれいなんです。ある中国人の先生が、人間は数日食べなくても死なないが空気がなければすぐに死んでしまうとおっしゃっていました。考えてみれば食べ物も日光や空気、水から育っているものです。なるべく自然の良いエネルギーを取り入れてストレスをデトックスすることが心の健康にも大事です。今後も東洋医学の分野をさらに極めて、心身ともに健康になれるお手伝いをしていきたいと思っています。

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