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宮澤 裕治 院長の独自取材記事

みやざわクリニック

(名古屋市千種区/覚王山駅)

最終更新日:2019/08/28

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地下鉄覚王山駅・池下駅の両方から徒歩数分でアクセス良好な「みやざわクリニック」。院長の宮澤裕治先生は開業医としてはそれほど多くない日本肝臓学会認定肝臓専門医という肝臓の専門家。そして漢方のエキスパートである。一人ひとりの患者の症状をどうやって改善するか、都度考えぬいた末にたどり着いたのが漢方だという。もちろん「漢方ありき」ではなく、プライマリケアとしてバランスのとれた総合診療を進めるなかで、一つのツールとして使用する。だが、その漢方への探求心と情熱は、物静かないでたちからは想像もつかないほど熱意にあふれる。「漢方は自らに与えられた福音」と語る宮澤先生の魅力を探ってきた。
(取材日2017年6月17日)

「肝臓」と「漢方」の二本柱に出合うまで

先生はどうして肝臓を専門にされたのですか?

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大学卒業後4年ほどで専門分野を選ぶとき、自分は将来、総合診療医になりたいという希望がありました。そのために、肝臓を専攻するのがいいのではという指導医の勧めもあってこの道に入ったのです。博士号を取る際には肝臓の病理学を専攻しました。病理学はどちらかというとミクロの世界、一方の総合診療はマクロの世界です。ミクロを知ることでマクロを診る見識がより深くなったと感じますので、非常に良かったと思います。その後、病院の肝臓病の担当医師として第一線で働いていた時、過労から体調を壊してしまいました。少しスローダウンしようと思ったときに、縁あって中区で開業することになり、ひっそりと始めました。静かなスタートでしたが、次第に忙しくなりました。その後千種区に移転となりましたが、たいへん幸せな結果になったわけです。だって、総合診療に携わりたいという自分の夢が叶ったのですから。

漢方とはどのように出合われたのですか?

研修医時代に、漢方を熱心に研究する先生に出合い、その影響を受けていました。自分で本格的に取り組むようになったきっかけは、開業して、ある心身症の患者さんを診たときです。その方は、体の働きをつかさどるいわゆる「気の流れ」の問題によって症状がなかなか取れなかったのです。何か良い方法はないかと考え漢方で治療してみたところ、その方に合って改善がみられました。以来、いろいろな勉強会に参加したり、詳しい方に習ったりして、漢方を研究するようになりました。西洋医学の否定ではなく、患者さんお一人お一人の症状を改善したいと難問を解き明かす中で出合った「漢方という選択肢」でした。「なんとかしたい」という気持ちから入っていったのです。

そのほかに、先生の診療に影響を与えたエピソードはありますか?

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医師になって、研修で最初に勤務した病院での経験は、私の医師人生に大きな財産を残しました。すごかったですよ。夜間救急で一晩に200人くらいの患者さんを診るとか、72時間寝ずに働き続けるとか、なかなかできない経験をさせてもらいました。怒られた回数も数知れず。でもこれは自慢できることですが、何をやったらいけないのか、ということをたたき込まれました。苦労したという気持ちはなく、本当に感謝しています。

「根掘り葉掘り」聞いた話にたくさんのヒントがある

診療上大切にしているのはどんなことですか?

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私が大事にしたいのは症状を改善し、苦痛を取り除くということ。そのために行っているのがしつこい問診です(笑)。時間をかけて「根掘り葉掘り」聞きます。例えばあなたが、今日の昼ごはんを食べて急に気分が悪くなったとします。「それは何口目でしたか?」「食べてからどのくらいたちましたか?」「その前にあなたは何をしていましたか?」「お昼は何を食べましたか?」「最近のあなたの悩みは何でしたか?」といった具合です。中には根掘り葉掘りきくのを失礼に感じる方もいるかもしれませんが、多くの患者さんはたくさん話してくださいます。そこには治療のためのヒントが詰まっている。ここまでで9割9分診療方針が定まります。その上で気になる点を検査で調べています。

漢方は長期的な視野で体質を改善させるもので、即効性はないと一般的には考えられていると思います。

そんなことはありません。時には数分で効果を発揮することもあります。ただ、そのためにはやはり「見立て」が大事になる。どこをどう変えればいいのかを、徹底的に探ります。例えばおなかが痛いと駆け込んできた患者さんがいました。苦しんでいる方にくどくどと質問はしませんが、少し問診してあたりをつけてから触診し、痛みのきっかけがわかったので、それに対応する漢方薬をその場で処方したところ、30分ほどで楽になり帰られました。その方に関しては、痛みの原因自体は別途治療が必要ですが、その原因に対しても漢方で治療できます。漢方のこうした作用があることがあまり知られていないのは、身体の不具合を全体的に調整するという分野に西洋医学がタッチしてこなかったからなんですね。

そうやって見立てられた患者さんの治療は、やはり漢方中心に行うのですか?

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必ずしもそうとは限りません。当院へ来る患者さんの中には「漢方で治したい」と希望されてくる方が多いですが、明らかに漢方でないほうが良いと考えられる場合には、西洋医学のお薬を処方することもありますし、お薬を出さないこともあります。「西洋医学の薬は飲みたくない」という患者さんには無理にお願いはしませんが、漢方のことをよく知る私が、「漢方よりこちらのほうがいいと思う」とお伝えすると、ポジティブにとらえて信じていただけることが多いですね。言葉というのも、安心していただくための大きな要素。自分が話したことを、相手がどうとらえているか、理解していただけているかどうかを考えながら話すようにしています。

漢方とは「喜び」である

今後の夢があれば、お聞かせください。

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漢方の作用については、まだ現代科学的な理論としては確立されていません。西洋医学的なエビデンスに基づく理論の構築が難しいのです。どちらかというと、職人仕事になっているところがあります。私自身も「自分は職人である」と自負していた時期があるのですが、やはり理論は必要ですね。ですから、私は自分のやっていることをできるだけ論文にまとめるようにしています。いつか本にできたらうれしいですね。80歳くらいまでにはできるかな? それから、当院で使っている漢方薬はエキス剤が中心なのですが、そろそろ煎じ薬も手がけてみたいと考えています。煎じ薬はエキス剤に比べ効果が強いといわれていますので、使い方はさらに注意が必要です。また投薬には薬剤師の協力も不可欠ですが、やはり漢方を究めていく上で、ぜひ挑戦すべき分野だと考えています。

患者さんにお伝えしたいことはありますか?

いま、「治る」と言うことを知らない患者さんが多いと思うのです。がんとか、傷とか、目に見えるものを治す技術は進歩しました。でも、例えば風邪をひいた。明日大事な用事があるから今夜中になんとかしたい、と思っても、それが可能だと信じている人は少ないのではないでしょうか。どうせ治らないなら診断書だけ書いてもらって職場に出したい、と言われる方も少なくありません。医者に希望を持たなくなっているのでしょうか。しかし、漢方などを使って症状を軽くすることが可能なケースも多々あります。私たちは頑張りたいのです。患者さんの治る力を引き出すため精一杯やります。それが私たちの仕事です。ただ、医者の可能性を引き出すのは患者さん。とにかく「この症状を治してほしい」と言ってきてください。

先生にとって漢方とはどんな存在ですか?

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「喜び」ですね。患者さんにも喜んでいただけるし、自分が勉強していて幸せを感じるのです。この年齢になっても、まだまだこれからが楽しいと思えるのだから、私は本当に幸せだと思います。これは漢方によって与えられた福音。「肝臓」は過去から現在にいたる私の大切な財産であり、「漢方」は未来へ向かう私の希望です。これからも探求を続け、一人でも多くの患者さんに良い結果をもたらすことができればと思っています。

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