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臼井 研吾 院長の独自取材記事

臼井医院

(名古屋市中村区/名古屋駅)

最終更新日:2021/10/12

臼井研吾院長 臼井医院 main

名古屋駅より1駅の米野駅から徒歩3分。臼井研吾院長が率いる「臼井医院」は、内科、小児科、循環器内科、呼吸器内科の診療を行っている。長く大学病院で勤め、カナダに留学を経験し、内科医としての総合的な考え方を得て「かかりつけ医」としての役割を担いたいと考えるようになったそうだ。臼井院長が辿り着いたその考え方とは「特にストレスを感じた時に動く交感神経などが悪影響を与えないように、治療を行っていこう」というもの。病気を根本的に治すのは患者の体そのもので、医師はその働きを助けるためにストレスを回避し、自律的な回復を促すという。熱い話を聞いた。

(取材日2016年7月29日)

4代続く医師の家系の跡取りとして医療の世界に

医師になるきっかけは何でしたか?

臼井研吾院長 臼井医院1

僕は、4代続く医師の家系に生まれました。医師はなじみのある職業で、近隣の人たちから頼りにされている父を「すごい」とも思っていて、大学は自然と医学部に進学したという感じですね。実はスーツを着て出勤する将来にも少し憧れがありました(笑)。入学後も、一時は「他学部を再受験するかもしれない」と思っていたけれど、次第に大学内のサッカー部での練習が本格的になると、人間関係も緊密になり、それどころではなくなりました。だから、医学部に留まったのは、もしかしたら「サッカー部に入ったおかげ」かもしれません(笑)。大学を卒業してからは、母校である愛知医科大学附属病院で長く勤務した後に、当院を継ぐことになりました。

貴院には、どのような患者が来院しますか?

地元の人たちが多いですね。赤ちゃんから95歳まで、幅広い年代がいらしています。90代で歩いて来られる方など、僕の祖父が院長だった頃から来ていただいている人もいます。診療を20時までやっているのは昔からの習慣だからですね。かつては今のように救急体制がしっかりしていなかったから、それぞれの医院が比較的遅くまで地域の人たちのために医院を開けていたようです。高血圧など生活習慣病の診療で来られるケースが目立ちますね。あとは、風邪などの一般内科です。生活習慣病の場合には、数十年かけてかかった病気なのだから、数十年かけて体質を改善していくつもりで臨んでください、と食事などで長期的に頑張ってもらうことにしています。薬で数値を一時的に下げるだけでは、原因は取り除かれていないままですから。

地域の人たちの生活習慣病を悪化させないために、具体的にはどうアドバイスするのですか?

臼井研吾院長 臼井医院2

今までと同じ生活を続けるのなら、生活習慣病とは見つかってから一生の付き合いになると思ったほうが良い、とまずは事実を伝えます。その間に運動や減量などを続けて生活環境が変われば、好転するのですが。長期にわたっての習慣で病気が出たわけだけれど、早めに対応しておけば、どんな動脈硬化をどういう風に防げるのか、などと対策も伝えていきます。例えば、風邪などで来院されているけれども、生活習慣病にかかっている危険性がありそうな場合には、パッと定期検診の結果を聞いてみたりもします。「何もありません」と言ってもその言い方で何かあるな、とわかる場合もあるんです。そういう時にはきちんと生活習慣病についてのアドバイスを伝えることが多いですね。

医師は患者の回復の「手助けになる点」を見極める仕事

日頃、診察をする際に気をつけておられることは何ですか?

臼井研吾院長 臼井医院3

患者さんの痛みや気持ちに心の中で「大変ですね」と共感や共鳴をしながら寄りそう姿勢ですね。例えば、喉が痛いなら、その痛さを患者さんの立場に立って受けとめます。そこから治す手助けをするのが医療者の役割ではないでしょうか。「治す」と言うよりも「手助け」のほうに重きを置いているのですね。治るのは多くの場合には患者さん自身の力によってなのです。病気の根本を直に治す薬はありません。例えば、子どもが風邪で咳が出ているとします。咳のために寝れなかったり、食べれなかったりして、体力が落ちてしまうので、咳止めの薬を出して、咳を止めることを優先します。患者さん自らが回復していけるように、医師は間接的な助けを行います。だからこそ、患者さんには治そうという意思を持っていただきたいですね。

何が回復の「手助け」になるのかを見極めて薬などを選択していくのですね。

そうです。例えば、心不全の場合、心臓のポンプの機能が低下しているか、血圧の問題、呼吸の問題など、いろいろありますが、根本となっているストレスを取り除く治療を優先しています。あれもこれもと効きそうな薬をすべて使うというのではなくて。私の場合は睡眠時の人の状態を専門にしていたこともあるから、交感神経(自律神経の中でもストレスのかかった緊急時に働く神経)がほとんどの病気において悪さをしているな、なんて感じているところがあります。

臼井院長は、睡眠医療の認定医でもいらっしゃいますね。

臼井研吾院長 臼井医院4

はい。専門は睡眠時無呼吸症候群です。この病気の初期症状は昼間に眠いことで、重症になれば昼間に交通事故に遭う確率も高まります。長期的には生活習慣病の悪化の原因になるので、早めに治療をしていただきたいものですね。僕はこの病気を研究するために約2年間、カナダのトロント大学に留学しました。その中で、上気道が閉塞しているしているのに息を吸おうとして、陰圧がかかる「努力性呼吸」というのが睡眠時無呼吸症候群の中でも最も体に悪いと捉えるようになりました。つまり、先ほどお話ししたように、自律神経の中でもストレスがあった際に動く交感神経による悪影響なわけです。人間は、ストレスさえなくなれば良い方向に流れるので、「いかにストレスを除くのか」こそが大事なのではないでしょうか。そのように、専門を究める中から、1つの病気についてだけでなく医療全般に通じる自分なりの考え方を得るに至りました。

どこにかかっていいのかわからない患者の受け皿にも

先生は「かかりつけ医」として地域に貢献され続けていますね。

臼井研吾院長 臼井医院5

どこにかかっていいのかわからない症状を抱える皆さんの受け皿になりたいと考えています。例えば、厳密に言えば当院の診療科目ではないものの、以前には、歯が痛い、喉が痛い、手がしびれるなどと訴えられた患者さんをそれぞれ調べてみたら、循環器系の疾患をお持ちだったこともありました。症状の出方は多種多様なのです。そのため、体の異常を感じてはいるものの、どこに行ったらいいのかわからない、と悩む患者さんこそ、夜の8時までやっていて気軽にも来られる当院にいらしていただきたいですね。診断の結果、当院ではない医療機関での治療が向いているとわかれば、その後、円滑に診療を受けられるように適した病院への紹介状もお書きしますし。

お忙しいと思いますが、息抜きでされていることは何ですか?

休みの日に、渓流に釣りに出かけるぐらいでしょうか。友人と行くことが多いですが、個人でも出かけています。それが気晴らしです。釣れなくても気にしません。川の流れを感じられて、きれいな魚が泳いでいて、という環境で釣りをするプロセス自体が好きですから。

今後の展望と、読者へのメッセージをお聞かせください。

臼井研吾院長 臼井医院6

父のように地域のかかりつけ医として続けていくことですね。ぜひ、「かかりつけ医」として当院に気軽にいらしていただければと思います。幼い頃から、父が地域の皆さんからの体についての悩みを、小さなものから大きなものまで、いつも親切に聞いては最善の策を練っていた背中を見てきましたので、地域に密着した医師というのはそういうものだと思っております。高血圧などの生活習慣病を抱えておられる患者さんにしても、食事の内容を急に変えることは難しくても、長いお付き合いを前提にしてならば、少しずつ、緩やかに習慣や体調を改善していくための継続的な助言ができますからね。何代も通い続けてくださる地域の皆さんや、これから長く地域に住まわれる皆さんと一緒に、健やかに年齢を重ねていければと思っております。

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