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洪 尚樹 院長の独自取材記事

洪内科クリニック

(名古屋市東区/千種駅)

最終更新日:2021/10/12

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千種駅から歩いてすぐの場所に位置する「洪内科クリニック」。院内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、赤や白のポップな色合いのソファが並ぶ待合室。海外の医院を参考にしたというインテリアは日本ではあまり見かけない色使いが印象的で、プライバシーに配慮され、緊張が解きほぐれるような温かみを感じさせてくれる。院長の洪尚樹先生は、名古屋大学で医局長まで務めた経歴の持ち主。とはいえ、冗談を交えながらざっくばらんに話してくれる様子はとっても気さくで、その実力と人柄を求めて、県外からも多くの患者が訪れるというのも頷ける。そんな洪院長にクリニックの治療方針や糖尿病治療にかける熱い想いなどを語ってもらった。

(取材日2016年2月24日)

患者と丁寧に向き合う糖尿病治療専門のクリニック

赤や白のソファが並ぶ待合室のインテリアが印象的ですね。

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クリニックを開院する際に、海外の医院設計に関する本などを読んで参考にしました。待合室はリラックスしてもらえる空間にしたくて暖色を基調に、そして診察室は清潔感のあるグリーンや白を基調にしています。待合室のソファはイタリア製のデザイナーズチェアで、海外の高級車のシートと同じレザーが使われているんですよ。病院の待合室というと長椅子が置いてあることが多いですが、長椅子では一人ひとりの患者に丁寧に向き合うという当院の方針が伝わらないと思ったんです。それで、一人掛けのソファを採用しました。また、院内は2つの診察室と栄養指導室、検査室などがすべて独立した造りになっていて、中待合いは置いていません。プライバシーに配慮しているのもアメリカの医院に近いかなと思います。

開院する際に、この場所を選んだ理由はありますか?

名古屋大学に長く在籍していましたので、大学の近くがいいかなというのがありました。また、クリニックに来る患者さんの8、9割は糖尿病などの慢性疾患の患者さんで、遠いところから通院されている方も多いんです。岐阜や三重、兵庫、奈良など県外から来る方もいますので、JRと地下鉄が乗り入れていて交通の便がいい千種駅の近くというのはぴったりの立地でした。

医師をめざしたきっかけを教えてください。

私は幼いころは病弱だったんです。しょっちゅう風邪をひいたり、高熱を出したりして入院することも珍しくありませんでした。そういう意味では病院は幼い頃から身近な場所でしたね。そのころの記憶はずっと残っていて、大人になっていつしか困っている人を助けることができる医師という職業に魅力を感じるようになりました。

糖尿病治療を専門とすることになった経緯を教えてください。

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名古屋大学で糖尿病の勉強、研究を始めたのが最初です。卒業後はすぐに大学の医局に入り、大学院で勉強をしたのも糖尿病でした。当時はまだ糖尿病を専門とする医師が少なく、臨床の歴史も浅かったので、自分たちのやっている臨床研究は常に先駆けでした。また、糖尿病は、合併症の手術をするときは外科、糖尿病患者が出産をするときは産科、目の疾患があれば眼科……というように、すべての科が関わっていますので、内科以外の先生からも治療について相談を受けることが多く、ますます研究にのめり込んでいきましたね。結局、大学に15年ほどいて、大学病院の医局長にもなりましたが、大学病院は教育や研究の役割を担う機関でもあり、論文が重視される風潮がありました。臨床を大切にしながら自分らしい治療を実現したいと思いがあり、糖尿病治療を専門とするクリニックを開院しました。

無理のない治療で病気と共存を

先生の治療方針を教えてください。

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糖尿病治療というと、血糖値を下げることが声高に言われますが、数値を下げるために投薬をしすぎると、動脈硬化を進ませる原因になることもあります。動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことになり大変重大ですよね。そのような「木を見て森を見ない」という治療は横行しがちですが、一番肝心なのは、患者さんが生涯を通して重大な症状を起こさずに生活が送れるよう無理のない治療をすることです。また、糖尿病では、網膜症、腎症、神経障害が三大合併症と言われ恐れられていますが、実際にこういった症状が起きるのは治療が遅れてしまった場合の最終段階です。今は検診制度が整っていて早期治療が行われていますし、いい薬がたくさんあるので、数値に必要以上に捉われて、恐れる必要はありません。診察のときはいつも「もっと気軽に考えていいですよ」とお伝えするようにしています。

患者さんと向き合う際に心がけていることはありますか?

患者さんからは「先生はあまり怒らないですね」とよく言われますが(笑)、糖尿病は完治するものではなく、一生付き合っていく病気ですので、食事療法にしても生活改善にしても、一人ひとりの患者さんにあった、無理をせず長続きする方法を提案しています。糖尿病は生活習慣病と言われてしまいがちですが、実際は1型と2型があって、2型はほとんどが遺伝に起因します。日本人の糖尿病患者の95%は2型ですから、生活習慣の悪い人がなる病気とは言えないんです。ですから、生活を無理に見直すのではなく、体質に合わせて、食事や運動など改善できる範囲で長続きする方法を探して、薬も上手に併用しながら、病気と共存してもらいたいと思っています。

今までで印象深い患者さんはいますか?

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大学病院時代に糖尿病の合併症が深刻化して足が腐ってしまった患者さんを治療したことがあります。その患者さんは外科で足の切断手術をすることになっていて、それまで内科で引き取ることになったのですが、どうしても切るのが嫌だとおっしゃっていました。そこで、患者さんの元へ毎日2回、回診に通って、30分から1時間ほどかけて壊疽(えそ)した箇所を削って治療をしました。削ると新しい皮膚が再生されるのですが、それを1年半、休むことなく続けたところ、症状が軽減して切断せずに済んだのです。時間はかかりましたが、とても喜んでもらえましたね。1日も休むことなく治療をしていましたので、その頃を知る大学病院の先生からは、「1年中いつも病院にいて熱心だったよね」と言われましたね。見てくれている人もいるんだなと、うれしかったのを覚えています。

豊富な経験と知識を伝えて、糖尿病治療の底上げに貢献

先生は海外の学会にも積極的に参加されていますね。

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海外の学会に行くと糖尿病治療の世界的な変化やトレンドが顕著に分かるんです。アメリカの学会ではいつも最先端の研究発表がなされます。インパクトを重視するあまり、消えていく論文も多いですが(笑)、最新の研究に触れられるので興味深いですね。一方、ヨーロッパは臨床を重視するところがあって、地道に時間をかけた臨床をもとにした研究が発表されるので勉強になります。傾向がまったく異なるので、年に一度はアメリカ、ヨーロッパ、それぞれの学会に足を運ぶようにしているんです。

診療後やお休みの日は何をされていますか?

診療後は健康のために週に3,4回、1時間ほど歩いていますね。地図と連動したアプリを使って、どこをどう歩いて消費カロリーはどれくらいだったかなどをチェックしています。開業してからは自由な時間はあまり持てませんが、趣味は昔からいろいろあって、本を読んだり、映画を見たり、鉄道や旅行も好きです。娘がサンフランシスコに住んでいるので、正月とゴールデンウィークにはアメリカに行って、娘や孫に会うのを楽しみにしています。鉄道好きは子どものころからで、よく時刻表を眺めて鉄道に乗るシミュレーションしていましたね。今でも地方で講演がある時などは、時間があれば飛行機を使わず新幹線に乗ったり、寝台特急に乗ったりして移動しています。

最後に今後の展望を教えてください。

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治療の標準化をしていきたいと思っています。今は糖尿病を治療する医師が増えていろんな医師が独自の治療をしていますが、間違った治療をしても、その結果が出るのに少し時間がかかりますので、患者さんには分かりづらいんです。当院で治療できる患者数にも限界がありますし、まだまだ分からないことも多い病気ですから、みんなで情報共有をして、患者さんが日本中のどの医院にかかっても同じレベルで良い治療が受けられるよう、糖尿病治療を標準化するシステムを構築していきたいと考えています。私は糖尿病治療をずっとやってきましたので、その知識や経験を生かして少しでも貢献できるよう、専門医を集めて講演をすることは今でもありますが、もっとたくさんのことを伝えていけたらと思っています。

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