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大鹿 裕幸 院長の独自取材記事

大鹿内科医院

(名古屋市千種区/自由ヶ丘駅)

最終更新日:2019/08/28

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地下鉄名城線・自由ヶ丘駅から車で5分ほど、新旧の住宅地が広がる町にある「大鹿内科医院」。院長は呼吸器が専門の大鹿裕幸先生。父の時代から約50年続く地域のクリニックだ。同院は超高齢化時代を支えんとする訪問診療にも積極的に取り組み、自身の専門性も存分に発揮。優しい眼差しで、古くから通う地域の人々やその家族を中心とした患者たちのみならず、介護関係の連携スタッフたちからの信頼も厚い。マジックが趣味というお茶目な一面も持ち、多くの人に慕われる大鹿先生の、診療への思いなどを聞いてきた。
(取材日2017年6月13日)

コツコツと働く父の背中を追って医師に

先生が医師になられたきっかけを教えてください。

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私が小学校2年生のときに、父がこの医院を開設しました。住居もこちらでした。父は質素で地味な昔気質の人間で、私はコツコツと働くその姿をずっと見て育ちましたので、医師を志したのは自然な流れでした。ただ、最初からここを継ぐという明確な意思を持っていたわけではありません。医師になって15、6年経ったとき、家族の意向もあり、この医院を引き継ぐことになりました。本当は改装や立て直しも考えましたが、そのままの形となっています。その父はいま91歳。3年ほど前に腰を悪くして現役引退しましたが、それまでずっと一緒に診療していたんですよ。

呼吸器に興味を持たれたのはなぜですか?

病院での研修医時代に最初に師事した指導医が呼吸器の専門でした。そこで、一緒にいろいろな病気を診るなかで、レントゲン写真1枚を見て、そこからいろいろなことを推測していく世界に面白さを感じたのです。いまでこそCTやMRIなどさまざまな画像診断がありますが、当時はまずレントゲンでした。呼吸器の病気には、肺がん、肺炎、結核、喘息などいろいろあります。今も昔も、胸のレントゲンで異常が見つかれば、まずがんか結核を疑うわけですが、ときどき珍しい病気が見つかることもあります。私が勤務した大同病院も八事日赤(名古屋第二赤十字病院)も、呼吸器には力を入れていましたので、いろいろな症例を経験させてもらいましたし、学会発表なども度々行いました。

最近力を入れている病気は何かありますか?

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呼吸器の開業医としてよく他院からもご紹介を受けるのは、長引く咳の識別診断で、喘息や感染症に加え最近注目を集めているタバコ病(COPD)などです。特に咳喘息などの診断は難しく、最終的には他疾患の除外と、症状の原因が明らかでない場合に、特定の疾患を想定して行う診断的治療になることもあります。最終的にしつこい咳から解放されて患者さんから感謝されたときは専門の医師としてお役に立ててよかったと思います。また、睡眠時無呼吸症候群にも注意しています。潜在患者さんはかなり多いと思います。簡易型のPSG(ポリソムノグラフィー)を使って、ご家庭での睡眠の質や睡眠中の呼吸状態を評価する検査は当院でも対応しています。すべてが治療対象というわけではありませんが、社会問題にもなっていますから、こうした簡易検査でスクリーニングし、異常があれば病院で詳しい検査をお願いしています。

在宅医療に大きなやりがいを見出した

医院の代替わりにあたり、何か新しい試みなどはありましたか?

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大同病院を辞めて開業するときに、当時の病院長に「これからは在宅医療が大事になるから、どんどんやりなさい」と言われたんです。開業医は風邪とか高血圧といったプライマリケアや持病の管理が主体になりますが、在宅医療では、勤務医時代に診ていたような重い病気の方を診ることも多い。呼吸器分野ですと、在宅酸素療法や人工呼吸器を導入している患者さんもいらっしゃるので、専門性も生かしながら診ることができ、やりがいがありそうだと感じました。ちょうど、自分が病院で担当していた患者さんが退院して在宅に移行することになり、そのまま診させていただくことになりました。当時はまだ現在の「在宅療養支援診療所」の制度ができる前で、「往診も対応できる」ということを周辺の病院からも評価していただき、どんどん在宅の患者さんが増えていきました。麻薬を使った緩和ケアなどまで対応しています。

何人くらいの在宅患者さんを診ているのですか?

だいたい60~70人です。在宅専門の診療所でも医師一人当たりの患者数は70〜80人くらいといわれていますので、外来を持つ診療所としては多いほうだと思います。とはいえ施設の患者さんも含めての数なので、毎日、お昼休みの時間を活用しての訪問です。基本的に月2回の定期訪問になりますが、容体が悪化すれば頻度を上げて訪問します。エリアは千種区・名東区が中心、診療は一人で行きます。看護師は当院からは連れていかず、訪問看護ステーションと連携しています。一緒に訪問することもありますし、看護師さんからの問い合わせに基づいて指示を出し、対応していただくこともありますね。

それだけ患者さんが多いと、お一人で緊急往診対応されるのも大変ではないですか?

在宅医療は24時間対応ではありますが、夜間の緊急往診は思ったほど多くはありません。なるべく緊急往診にならないように定期訪問で先手を打ってコントロールしています。また医師間の連携体制も、東区や千種区の開業医の先生方と5人ほどで作っています。患者さんにもしものことがあった場合に、必ず誰かが往診できるようにし、誰が訪問しても普段からの患者さんの意向に沿った診療ができるよう、申し送りもしっかり行っています。

介護の方たちとの連携はいかがですか?

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訪問看護師やケアマネジャーさんたちとはなるべく密に連携を取るようにしています。よくご一緒している看護師さんですと、例えば患者さんの褥瘡(床ずれ)の状態を写真に撮ってスマートフォンのアプリで送ってもらい、その場で指示を出すといったこともしています。忘年会などに誘っていただくこともあって、そんなときには私の趣味であるマジックを披露するんですよ。医師って介護の方たちから見ると少し接しづらい雰囲気の存在に感じられるようですが、こうした交流によって気軽に患者さんのことを相談していただければうれしいですね。

患者さんの意向に沿って、その選択をサポートする

診療上大切にしていることを教えてください。

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月並みですが、やはり「患者さん優先」です。医療の世界では、正解が一つしかないということは絶対にありません。いろいろいな選択肢を提示し、それを選ぶとどうなるかを説明して、患者さんの意向に沿って選んでいくことを大切にしています。在宅医療をやっていると、今後、容体が悪くなった時にどうするかをあらかじめお話しておくことも大事になります。病院に行きたいのか、最期まで自宅で過ごしたいのか。とはいえ、状況とともに本人やご家族の気持ちも変わることがありますし、緊急時には気が動転して普段と異なる判断を下すこともあり得ます。その都度相談し、最善の選択ができるようアドバイスします。できるだけご自宅で、という意思がハッキリしている方でも、入院したほうが良い、改善して戻れると判断できる場合には入院をお勧めすることもあります。

印象に残ったエピソードはありますか?

たまたま昨日、ご近所の、私が子どもの頃から知っていた98歳の方が亡くなりました。この辺りは高齢の方も多く、自分の友人の親御さんなども結構診ています。そういう昔なじみの方が亡くなると寂しいですね。そして自分も年をとって行くのだなあとしみじみ思います。私は来年の2月で還暦を迎えますが、自分もいつかはこうなるのだな、そんなときあまり医療は受けたくない、自然に任せたいなと考えるようになる。医療の方向としては、特に高齢者の場合は、なるべく自然に任せる方向で考えています。例えば、口から食べられなくなっても胃ろうとか中心静脈栄養とか非常に便利な方法はありますが、必ずしも良いとは限りません。状態によっては、それを選択した方がいいケースももちろんありますが、無理にそこに誘導することなく、選択肢としては提示しつつも、何もせずに自然に任せるのが一番いいんじゃないかというお話は、させてもらうことが多いですね。

最後に何か、患者さんにお伝えしたいことがありましたらお願いします。

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「私の携帯に、いつでも電話してください」と患者さんにはお話しています。直接電話なんて遠慮される方も多いのですが、困ったことがあれば何でも聞いてほしい。可能な限り、お答えします。だから安心して過ごしてください。そして、ここまで来られなくなったら、いつでも往診に伺いますよ。

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