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上松 正幸 院長の独自取材記事

池下やすらぎクリニック

(名古屋市千種区/池下駅)

最終更新日:2020/04/01

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地下鉄東山線池下駅の改札口真上の駅ビル4階にある「池下やすらぎクリニック」。心療内科・精神科・神経科・神経内科を専門とする上松正幸院長は、穏やかでやわらかな物腰で接し、患者の緊張をほぐしながら心にアプローチしてくれる。不安障害やストレスによる症状に対し、診断・治療のためのプログラムを用意しており、薬物療法にカウンセリング、認知行動療法などの心理療法を併用した医療を提供。グリーンとベージュを基調とした待合室には絵画が飾られ、患者がリラックスして受診できるよう空間づくりにも力を注ぐ。明るく気さくな人柄と、丁寧で的確な診断を追求するベテラン医師としての両面を併せ持つ上松院長に、患者に対する思いや診療方針、今後の展望などについて話を聞いた。
(取材日2016年4月28日)

従来の精神科へのイメージを変え、より身近な存在に

医師をめざされたきっかけをお教えください。

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僕は中学2年生の頃から医師になると決めていました。実家は岐阜でアパレル工場を営んでいましたが、父が43才の若さで胃がんによって亡くなり、その時に「末期がんの特効薬を開発できないものか」と思ったことが医師をめざしたきっかけですね。その後、紆余曲折あって最終的に精神科へ進むことを決めました。精神科を選んだ根底には、「もっと自分自身や他者をわかりたい」という気持ちがありました。自分の中に、自分でもわからない部分を誰でも持っていると思うんですが、そういった部分をもっと理解したかった。自分にも人にも興味があったというのが精神科に進んだ一番の理由ですね。

開業までの経緯を教えてください。

大学を卒業後、岐阜大学病院の精神科へ入局し、6年間ほど精神科臨床に従事。今思えば若気の至りなんですが、当時なぜか「臨床はいつでもできるな。今は研究が大切だ」と思い、遅まきながら31才で大学院へ入りなおしました。そこで、統合失調症のMRI画像研究を行い、その後、岐阜の羽島市民病院に6年間勤務し、みっちり臨床を経験しました。1人で60人くらいの患者さんを任されていたんですよ。その後、「一度都会でも患者さんを診てみたい」と思い、岐阜から名古屋へ出て来ました。岐阜大学から名古屋大学精神科へ教室を移し、2年間ほど旭労災病院で勤務してから当院の開業となりました。

都会の患者さんを診たかったのはなぜですか。

岐阜では慢性の統合失調症の患者さんを中心に診てきました。田舎であればあるほど重い症状の患者さんが多いので、都会ではどうなのかなぁと。精神科に行くというと、患者さんにとっては心理的抵抗があるというか、ハードルが高いと思われがちなので、僕は重症になる前に、もっと患者さんに気楽な気持ちで精神科へ来てもらいたかったんです。開業する時の立地選びにもこの思いは踏襲されていて、名古屋市内でも人口が多く、アクセスの良い千種区池下の駅ビルはサラリーマンやOLさんが来院しやすいと考えました。開業してからは当初の予想どおり、軽症の患者さんが多く訪れ、平均年齢は40才前後。千種区からいらっしゃる方が全体の4分の3以上です。これは精神科への心理的なハードルが下がってきて、当院の知名度も上がり信頼を得てきた結果だと思います。

病診連携を有効活用しながら、患者との信頼関係を築く

認知症の治療において力を入れていることを教えてください。

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少子高齢化に基づいて認知症の方が多いことは皆さんもうご存知だと思います。しかし、認知症の特効薬はまだ何もありません。患者さんは薬を求めて来院されますが、認知症の進行を少し遅らせる薬しかないんですね。そういう患者さんにどういう風に説明していくかということに力を注いでいます。気休め程度ですが認知症の進行予防の薬をお出ししてから、患者さん中心の介護が一番重要であること、いかに介護していくかについて説明します。認知症を家族だけで抱え込むと、老々介護で無理が出てきてしまったり、親子関係で喧嘩になってDVに至るケースまであるそうです。家族で共倒れになることを防ぐために、今は介護保険制度が行き届いているので、例えば月曜から金曜まではデイサービスやショートステイを利用して、土日は自宅で診るというように家族の負担を減らすために介護保険制度を利用してはどうですかという提案を当院ではさせて頂いています。

先生は千種区認知症地域連携の会の世話人とのことですが、どういった活動をしていらっしゃるのでしょう?

2004年に認知症を家族や主治医だけで診ていくのではなく、保健所や役所の福祉課、いきいき支援センター、薬剤師、歯科医、民生委員など、多職種の連携により地域で見守っていきましょうという発想から、厚生省のモデル地域として愛知県が指定都市に選出されまして。世帯数や人数、面積といったことを検討したところ、愛知県のなかでも千種区がモデル地域になりました。毎月、千種区認知症地域連携の会で市民講演や介護職向けの専門職研究会を行い、毎年認知症の専門家をお呼びしてシンポジウムを開催しているんです。

診療において、最も大切にされていることは何ですか?

精神科を気楽に受診できるようこちらが意識していても、やはり心を診るというのは風邪の診察とはまったく違い、すごく勇気を持って精神科へいらっしゃると思うんですね。ちょっと怖いような、「先生と相性が合うかしら」と、なにかしらの不安を抱えてね。精神科領域の場合は、先生と患者さんとの相性や信頼関係が重要だと考えています。心を診るにあたって、こちらが高圧的な態度や上から目線だったり、語気が荒かったらいけないと思うんですね。そういう態度は注意して避けています。そしてまず最初が肝心で、挨拶と自分から名前を名乗ることは誰に対しても行います。そうすれば、患者さんの緊張も少しは和らいでくれるかな、と。そこから「今日はどういうことでいらっしゃいましたか」と、やんわり聞くようにしています。本当はせっかちなんですけどね(笑)患者さんに対しては心のハードルが低くなるように意識しながら接しています。

明るく、楽しく、元気よくをモットーに心の治療を

休日はどのように過ごしていますか。

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ゴルフや家庭菜園、熱帯魚や錦鯉の飼育をしています。あと、メタボ予防のために20年来、毎朝20分くらいかけて筋トレを続けているんです。複数のトレーニングを組み合わせて行っていますが、スクワットは割と簡単に100回くらいやっちゃいます。20年間に5日も欠かしたことがないんですよ。標準体重もこの20年間ほとんどキープできています。それが僕、唯一の自慢かもしれません(笑)

今後の展望についてお聞かせください。

発達障害、アスペルガー症候群、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、双極性障害などの合併症が多い病気を臨床の場で見落とさないために、1つの病気に絞らず、鑑別をしながら絡み合った病気の取りこぼしがないように診ていきたいと思っています。あと、僕らの一番見落とすところで、精神領域だけではなくて、実は根底に内分泌疾患や神経疾患などの身体疾患があって精神症状が出る病気ってたくさんあるんですね。そういう身体疾患を見落とさないために、身心一如という形でなるべく心も体も診るようにしながら、血液検査をしたり、病診連携をして精度の高い診断と診療を意識しています。幅広い知識や見識を持って、病診連携を取りながら病気の見落としのないように日々の診療に対応していきたいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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心を病んでいる人に対してなるべく受診しやすくできるようにと、スタッフ一同対応しております。特にゆっくり時間をかけて面接や心理療法をする必要のある患者さんには、1回30分~1時間ほどの臨床心理士による予約制のカウンセリングを行っていますが、こちらはたいへん人気があるため、カウンセリングをより多くの患者さんが受けられるよう、待ち期間を少なく利用できる計画を検討中です。都心のビル診療所の特質で、軽症の患者さんや不眠症だけで来院される方も多くいらっしゃるのが実情ですから、緊張しないでお気軽に相談してください。

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