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上田 宗 院長の独自取材記事

中津クリニック

(中津川市/中津川駅)

最終更新日:2021/10/12

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「中津クリニック」はJR中津川駅から車で10分ほどの市街地にある。前院長時代は入院、手術も手がける外科病院として地域住民から信頼を寄せられていた。その後、「地域の皆さんの健康を守っていきたい」と内科・小児科クリニックにリニューアル。1999年に前院長の息子である上田宗先生が父の想いを引き継ぎ継承した。管理栄養士による生活習慣指導や在宅医療などの親身な医療で知られる同院。院内は感染症対策を徹底しており、新型コロナウイルス感染が疑われる患者も受け入れ、診断を行っている。上田院長は常に笑顔で話題が豊富。患者に慕われ、地域の医師とも良好な関係を築いてスムーズな医療連携を実践する。感染症対策として行っている工夫やめざすクリニック像などを聞いた。

(取材日2021年9月1日)

親子2代にわたり、地域の健康を見守る

お父さまの代からこの場所で開業されているのですね。

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父は外科医師でしたが、どんな症状も診察していました。風邪をひいた、おなかが痛いという方も来院されましたし、夜中の救急や往診に飛び出していくこともありました。長年、地元警察の警察医をしていましたので検死に呼ばれることも多かったです。来る患者さんを拒まず、休みや昼夜を問わず、呼ばれたら駆けつける医師でした。私は高校時代、幼稚園か保育園の先生になりたくて進路を迷ったのですが、ある先生が「お父さんが築いた土台があるなら、それに乗ってジャンプしたほうが高く跳べるんじゃないか」と助言してくれたんです。父が得てきた地域の皆さんからの信頼や、父の背中を見てきて覚悟のいる仕事だと知っていることを土台に例えたアドバイスでした。それがきっかけで医師をめざす決心がつきました。

こちらの院長になるまでの経緯を伺います。

私が卒業した大学は早くから総合的な診療に取り組んでいました。総合的な診療というのは臓器や病気を限定せず、多角的に患者さんを診察するものです。どの診療科を受診していいかわからない患者さんや複数の診療科をまたぐような病気に対応します。学生時代は各専門科の先生の指導を受けて、幅広い病気の診断と診療ができるように鍛えられました。医師になった時、考えたのは小さい頃からお世話になった地域の人たちに恩返しをしたいということです。また、最期を迎える方が人生を振り返る時間を持てる医療を提供したいと考えました。そのために地元の中津川市民病院で臨床研修を受け、次に大学院の老年科で診療と研究に取り組みました。認知症や、寝たきりになる一因である糖尿病・肥満の研究をしていたのですが、父が体調を崩したため1999年に30歳で地元に戻ってきました。

先生が得意とされる治療や、患者さんの主訴で多いものは何ですか?

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糖尿病や肥満の研究をしていたこともあり多くの糖尿病患者さんを診ています。病気をコントロールして人工透析に移行しないように見守っていかなければなりません。高血圧、脂質代謝異常の重症化予防にも取り組んでいます。これには生活習慣や体重の改善指導が重要で、管理栄養士にじっくりカウンセリングや栄養指導をしてもらっています。患者さんのやる気を引き出してくれる方で、面倒なカロリー計算を押しつけることはしません。食材の置き換えや食べる順番を提案し、血糖値や体重の数字に改善の兆しが見られれば褒めるように心がけていて、患者さんは楽しんで続けられると思います。毎月、管理栄養士や保健師の勉強会に参加してアップデートに努めてくれています。私も年に何度か同行して、皆さんと情報交換しているんですよ。

新型コロナウイルス感染の疑いのある患者にも対応

地域全体の減塩指導にも協力されているとか。

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塩分の取り過ぎは高血圧につながり、脳の血管や心臓に負担をかけます。特に岐阜県は心臓疾患で通院されている方が多く、減塩は重要課題です。問題は減塩が必要な方でも自覚症状がなければ医療にアクセスする機会を逃してしまうことです。健康診断がチャンスなのですが、中津川市は40歳から74歳までの方が対象の特定健診の受診率が高くありません。「かかりつけ医があるから大丈夫」という方も、その先生が引退されると患者さんの情報はなくなってしまいます。特定健診は行政がデータを蓄積していますし、地域に多い病気の傾向を把握することに貢献できます。そういうメリットを知ってもらい、特定健診の受診率を高めようと行政や地域の保健師さんと意見交換をしています。県内では下呂市と高山市が減塩推進に積極的で成果を出しているので、中津川市も減塩優良エリアにしたいですね。

新型コロナウイルス感染の疑いのある患者さんも受け入れていますね。

10年前、現在の建物にリニューアルした際、新型インフルエンザや新興感染症を想定して第1診察室と第2診察室を作りました。それぞれに出入り口と待合室があり、院内の動線は交わりません。おかげで今回のコロナ禍にも対応できています。感染の疑いのある患者さんは第2診察室に入っていただき、スタッフは防護服、フェイスシールド、防護マスクを着けて対応し、感染と診断がつけば保健所につなぎます。診療の時間帯も11時以降、17時以降に固めています。また、感染の疑いのある方も一般の患者さんも、密集を避けるために、できればまず電話で症状を聞かせてほしいとお願いしています。その上で私が診察するべきと判断したら「何時に来院してください」とお伝えします。他の先生に診てもらうほうがいいと思う症状の方には他院を紹介して、患者さんが集中しないようにしています。

在宅医療に対応されていますね。どんなお考えで取り組んでいらっしゃいますか。

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先ほどお話ししたように、患者さんが最期に人生を振り返る時間を持てるようにしたいというのが医師になった時の想いでした。そういう時間を住み慣れた家で、家族と一緒に過ごしてもらいたいと考え、開業当初から在宅医療に取り組んできました。コロナ禍では入院すると家族とも会えないまま最期を迎えられる場合もあります。そうならないように協力したいと思っています。また、在宅医療は生活の中に入るので患者さんの全体像が見えてきます。患者さんは病気治療のためだけに生きているのではない、病気はその方の一面に過ぎないことに気づきます。この感覚を大事にするためにも在宅医療を続けていくつもりです。

周囲の医療機関とネットワークを築き地域の健康を守る

診療のモットーやスタッフさんに心がけてもらっていることはありますか?

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全員で気をつけているのは患者さんの反応を見て動くことです。今は新型コロナウイルス感染症への対応に追われて焦りがちです。手を差し伸べたつもりでも患者さんは急に触れられて驚いてしまうかもしれません。自分本位の一生懸命にならないように、患者さんの表情を確かめながら行動しようと言っています。また、私自身は不調を訴える高齢の患者さんに「年齢のせい」と言わないようにしています。言うと患者さんの良くなろうという気持ちを削いでしまいますし、誤診にもつながります。「年齢のせい」にすることで病気を見落とすかもしれないからです。患者さんのためにも自分のためにも「年齢のせい」はNGワードにしていますね。

趣味や休日の過ごし方を伺いたいです。

一時はガーデニングに凝ってクリニックの中庭は自分で手入れしていました。今は、患者さんが育てた鉢植えをくださるので置かせてもらっています。料理が好きなので、この辺りのスーパーの品ぞろえや価格には詳しいですよ。単身赴任の患者さんには食生活指導も兼ねて教えています。コロナ禍以前は町内会の人たちとよくゴルフをしていました。そんな人付き合いの中で顔色が悪い方や元気のない方に気づくこともあるんですよ。コロナ禍が収束したら再開したいですね。

読者へのメッセージをお願いします。

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前院長である父は4階建ての病院から、周りの病院やクリニックの先生たち、保健師さんや介護従事者の方たちと一緒に地域の皆さんの健康を守っていこうとクリニックに変えました。そんな父の意思を受け継ぎ、中津川市民病院や市立恵那病院、岐阜県立多治見病院、名古屋徳洲会病院、名古屋大学附属病院、愛知県がんセンターなどや近隣の開業医の先生方と信頼関係を築き、患者さんをお願いできるネットワークをつくっています。先生たちの協力がなければ患者さんを守れません。そのためには偉そうにしていてはいけない。患者さんにとっても隣のお兄ちゃんのような医師でいたいと思っています。小さな不調や不安でも遠慮せず相談してください。

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