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後藤 尚己 院長の独自取材記事

後藤クリニック

(岐阜市/切通駅)

最終更新日:2023/06/22

後藤尚己院長 後藤クリニック main

名鉄各務原線切通駅より徒歩2分の場所にある「後藤クリニック」。循環器内科を中心に呼吸器内科、内科の診療を行う地域のかかりつけ医だ。後藤尚己院長が現在の場所に開業する以前にも代々医師を家業としてきた後藤家。後藤院長で13代目にあたるのだという。長年、総合病院の循環器内科に勤務してきた経歴を持ちながらも、「この土地で育ってきて顔見知りのおじさんやおばさんも多い、私の診療は時に堅苦しくないセカンドオピニオンのように使ってもらっています」と笑顔で話す。自らが培った知識を地域住民に還元し、心筋梗塞や脳梗塞などの予防に力を入れている。循環器専門の医師としての顔を持つ後藤院長が取り組む検査や生活改善アドバイスなどについて詳しく話を聞いた。

(取材日2018年11月21日)

何でも気軽に相談してもらえる存在でありたい

江戸時代から続く医師の家系だと伺いました。

後藤尚己院長 後藤クリニック1

もともとは今の場所ではなく、関ケ原町や関市で先祖が医者をしていたそうで、私で13代目にあたると聞いています。祖父も父も医者でしたし、親戚を見渡してみても医者になっている者が多いんです。そんな環境で育ってきたので、医者になるのが当たり前というか(笑)、自然とこの道を選び、幸いにも医学部に合格できたので今の私がありますね。開業してからは小さい頃から顔見知りの方々が私を頼って来てくれたり、些細な相談をしていただけることも多く、そういう関係を積み重ねていける医者という職業はとてもいいなと思っています。

地域の方とのご縁を大切にされているんですね。

セカンドオピニオンというほど堅苦しいものではないですが、「他の病院でこういう薬出されたけどどう思う?」とか、「この治療でいいと思う?」など、気になることを相談してくださる方も多いです。中には、「耳鼻科に行きたいけど、どこの病院がいいと思う?」といったことまで聞かれる方も。私はこれこそが本来のホームドクターの役割なのかなと思っています。救急車で送り込まれるような大きな病院と違って、クリニックは患者さんとの距離が近いように感じます。患者さんが私に対して求めていることに少しでも応えてあげたいと思っています。

どんな症状で来院される方が多いですか?

後藤尚己院長 後藤クリニック2

やはり私の専門は循環器内科なので、循環器疾患専門の医師を探して来られる方が多いですね。健康診断などでひっかかった高血圧、高コレステロール、糖尿病という方は、最終的に動脈硬化を起こして心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患リスクが高くなるので、一度、検査を受けていただきたいと思っています。あとは、大学院生時代に呼吸器の研究もしていましたので、喘息などの呼吸器疾患の方も多いです。基本的には地域に根差した開業医なので、専門分野に限らずさまざまな疾患を診ています。

循環器疾患に関する検査を充実させリスクを見極めたい

こちらで実施されている検査についてお教えいただけますか?

後藤尚己院長 後藤クリニック3

FMD検査を実施しています。FMDというのは、血管の動脈の表面にある血管内皮細胞の機能評価の検査で、近年注目されています。内皮細胞の機能がしっかりしていないと、内皮細胞に覆われて存在しているプラークという水膨れのようなものが不安定になり破綻(ラプチャー)を起こしやすくなります。破綻を起こすと、その部位に血栓が形成されて心筋梗塞や脳梗塞が起こるのです。もう一つ注目されているのは、プラークの発生における炎症の関与です。皮膚に虫刺されややけどなどの炎症が起こると水ぶくれができますよね。それと同じように、血管に動脈硬化という炎症が起きるときにも内皮細胞に障害が起こって、プラークの発生と破綻に関与するとされているんです。そのような症状になるときには、内皮細胞障害というのが起こっているはずですので、そこを確認するというのがFMD検査になるのです。

FMD検査はどのような患者さんに実施されるのでしょうか。

基本的に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病があって、動脈硬化を起こす予備軍の方を検査させてもらっています。また、動脈硬化があっても、今後悪化しやすい状態にあるかどうかを見極めることができるので実施します。あとは、血管がけいれんを起こすようなタイプの狭心症もあるんですが、そういった症状にもFMD検査を行います。

次の段階で実施されている検査についても教えてください。

後藤尚己院長 後藤クリニック4

FMD検査を行って血管内皮細胞の機能が悪いと認められた方は、実際にプラークがあるかどうかを確かめなければなりません。ですので、次にエコー検査を行います。当院の場合、頚動脈エコーはもちろんですが、頸動脈だけでは脳梗塞が起こる可能性は見つけられても、心筋梗塞の可能性まではなかなか見つけることができません。右腕に大動脈から分かれた腕頭(わんとう)動脈というのがあり、そこから右鎖骨下動脈と右総頚動脈に分かれるのですが、その分岐点も確認します。さらに、ある程度の体型であれば腹部大動脈も見ることができるのでそこも見ていきます。そのあたりに激しくプラークがある場合、心臓の栄養血管にも動脈硬化があることが多いので、さらなる精密検査をお勧めしています。

食事や運動から疾患のリスクを減らしていくことも重要

検査で自身の血管状態について数値化や視覚化されると患者さんの意識も変わりそうですね。

後藤尚己院長 後藤クリニック5

数値化されたり視覚化されると、いかにリスクが高いかを本人も自覚することができます。心臓の筋肉の細胞と脳の神経細胞は自己再生能力がなく、一度死んでしまうと元には戻りません。最近では再生医学という言葉も出てきていますが、実用化されるのはまだ先の話です。だからこそ心筋梗塞や脳梗塞は起こさないのが理想で、起こす前にリスクを把握して対策をとることが重要です。

患者さんにはどのようなアドバイスをしていますか?

主には食事と運動のアドバイスをしています。食事に関しては月に2~3回、栄養士に来てもらい、細かな指導をしてもらっています。また私自身は、腸内環境を整えることが一番大切なのではないかと思っています。腸の中には善玉菌と悪玉菌がいて、善玉菌が好むエサは水溶性食物繊維です。悪玉菌は逆にそれをエサにできません。なので、例えば葉物の野菜やキノコ類などの食物繊維のものを先に食べることをお勧めしています。運動に関しては筋肉を鍛える運動が重要だと考えています。これまでホルモンは内臓からだけ作られると思われてきたのですが、現在は筋肉からも多種多様のホルモンが出て血管などを守っていることがわかってきました。それらは動脈硬化や血管内皮細胞などを保護するという研究もあります。特に筋肉の大きい太ももなどの筋肉を鍛えることで歩くのが楽になったり呼吸器疾患の症状の改善も期待できるかも知れません。

最後に、読者へメッセージをいただけますか?

後藤尚己院長 後藤クリニック6

ファストフードなどはおいしいと思いますし、私も好きです(笑)。少しの意識づけで食生活は変わりますし、若いうちからご自身の体と向き合うことは重要だと思います。もし何か体のことでお困りのことがあったら、気軽にご相談いただければうれしいです。今は週刊誌やインターネットにも医療についてのことが多く書かれていますが、中には正しくないものも見受けられます。逆に、長年経験を積んだ上で患者と接しているドクターの言っていることは信じていただいていいのではないかと思います。生活習慣からいろいろアドバイスをさせていただけばと思いますので、ぜひ一度頼ってみていただければと思います。

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