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川瀬 幸典 院長の独自取材記事

はしもと内科

(岐阜市/長森駅)

最終更新日:2021/10/12

川瀬幸典院長 はしもと内科 main

岐阜バスの停留場、前一色東の目の前に位置する「はしもと内科」。バリアフリーの行き届いたクリニックには高齢の患者も多く通う。院長の川瀬幸典先生は、「地域の寝たきりの方をゼロにする」という目標を掲げ、予防に力を入れる。通うのが困難な患者のための往診や送迎も積極的に行っている。「人間もアップデートが必要」と語り、新しい医療情報の収集など常に勉強することを怠らない。幅広い知識と経験を生かし、クリニックでの診療だけでなく市民向け講座や、看護学生に向けた講義も行っている。「患者さんとのおしゃべりが楽しい」と話す、笑顔が印象的でバイタリティーあふれる川瀬院長にたっぷりと話を聞いた。

(取材日2018年11月26日)

自分を育ててくれた地元に医療で恩返しをしたい

先生とクリニックのこれまでの歩みを教えてください。

川瀬幸典院長 はしもと内科1

父である現理事長がこの地に開業したのが1969年です。地域に密着したクリニックとして長年医療を提供してきました。私は大学病院、基幹病院での勤務を経て、2005年からこちらで診療に携わっています。私自身もこの地で生まれ、岐阜大学医学部を卒業、ずっと地元で育ってきました。はしもと内科には、学校や塾の先生をはじめ、幼少期からお世話になった人たちもたくさん通ってくださっています。特に恩師の先生には「出来の悪い生徒だった私を良い方向に導いてくださった」という感謝の思いがずっとあって、恩返しをしたいと思っていたんです。自己満足かもしれませんが、こうして医療で少しでも恩返しできるのはうれしいことです。地元だからこそ、患者さんたちのご家族や背景も把握していたりしますし、ずっと地元を大切にしてきて良かったと思っています。

こちらにはどのような患者さんが来られますか?

患者層は幅広く、祖父母から孫世代までご家族皆さんで通ってくださる方もいらっしゃいます。中でもご年配の患者さんは特に多いですね。専門に特化せず幅広く診療していますので、主訴もさまざまです。通うのが困難な患者さんのために、往診も長年取り組んでいます。地域柄ということもあるかもしれませんが、最期まで住み慣れた家で過ごしたいという患者さんも多いのです。ご家族の意向もあれば、在宅医療のサポートをしています。また、往診に取り組むうちに、在宅ではなく病院への送迎をしてほしいという患者さんの声も聞かれました。在宅医療だと、家の片付けができていなかったり、家に十分な広さがないことが気になるそうです。そこで送迎のサービスを始めたところ、それなら通いたいという患者さんも多くいらっしゃいました。

在宅医療や送迎など、さまざまなサポート体制を整えておられるのですね。

川瀬幸典院長 はしもと内科2

そうですね。高齢になって医療のサポートが必要になっても、家族のいる場所、自分の建てた家が一番安心できるという方は多いでしょう。そう思うのには、子どもの頃に大病をした私自身の経験が大きく影響しています。入院中は、お見舞いに来てくれる友人や付き添いの家族も夜には帰ってしまい、後から入院した人も自分より先に退院してしまう。そんな毎日が寂しく不安だったという経験があるので、患者さんの気持ちがよくわかります。それが万全の体制で在宅医療を提供したいと思った原点です。在宅の看護師や送迎の運転手もここのスタッフなので、スタッフ間のコミュニケーションも取りやすいことが特徴です。積極的に患者さんのために動いてくれるスタッフには感謝しています。

地域の寝たきりの人をゼロにするという目標に向かって

力を入れている治療はありますか?

川瀬幸典院長 はしもと内科3

診療内容は、内科全般をはじめとしてアレルギー疾患、喘息・咳といった呼吸器疾患、高血圧・狭心症などの循環器疾患、骨粗しょう症、認知症などを専門として幅広く行っています。中でも予防医学には力を入れています。当クリニックでは関連施設として、デイサービスやリハビリテーション施設、在宅療養をする上での相談を受けるケアプラン施設などと連携しています。包括的に患者さんのサポートをする中で、高齢者が転倒して骨折し、寝たきりになり認知症にすすんでいくというケースや、高血圧から脳梗塞や脳出血につながるというケースを多く見てきました。それならば、認知症や脳梗塞になる前に積極的に予防することが大切だと考え、さまざまな観点から予防に取り組むようになりました。地域の寝たきりの方をゼロにするというのが私の目標なんです。

先生が取り組んでおられる、寝たきりにさせないための予防法について詳しく聞かせてください。

デイサービスの患者さんを見ていると、転んで骨折する人が多いことに気づき、骨粗しょう症の治療と予防の重要性を感じました。50歳以上の女性の3人に1人は骨粗しょう症といわれています。骨粗しょう症は骨密度が低下することで骨が弱くなっている状態です。クリニックでは、骨を強くするための食生活の改善や適切な運動の指導を行います。また、デイケアリハビリテーション施設では、理学療法士の指導のもとでリハビリやフィットネスも行っています。その他投薬や患者さんに合わせた治療計画によって、さまざまな面からアプローチをします。転びにくい、もしくは転んでも骨折しにくい丈夫な体をつくることで、骨折からの寝たきり予防に取り組んでいます。実際に骨折する患者さんが少なくなってきたという印象です。

認知症についてはいかがですか。

川瀬幸典院長 はしもと内科4

認知症は投薬治療がありますが、劇的な改善までは難しいといわれています。しかし、デイサービスに通うことで、生活のリズムを整えることができれば、改善につなげられることもあるのではないかと考えています。投薬と違って、生活にリズムを持たせたり適度な運動を取り入れることは副作用はありませんから、積極的に取り入れています。また、たくさんのお薬を飲んでいる患者さんも多いですから、必要最低限にしていくためのご相談にも乗っています。

症状が治らず困っている患者を助けたい

日々の診療の中で心がけていることを教えてください。

川瀬幸典院長 はしもと内科5

患者さんのお話をよく聞いて、その立場になって治療法を考えることですね。人それぞれ事情がありますから、それも考慮した上で最善の方法を選択できるように問診しています。また、診察室で終わるのではなく、その後のフォローも大切だと思っています。お薬を問題なく服用できているか心配になったり、検査の結果で異常があれば早くお知らせしたいのでお電話やメールをすることもあります。また、病気は早期発見、治療が大切ですから、幅広い知識と日々進歩する最新の医療情報の収集は欠かせません。パソコンと同じように、人間もアップデートが必要だと常々考えています。昔の治療の常識が今では完全に否定されていることも少なくありません。講演会に行ったり、自分で勉強したり、時々その年の医師国家試験の問題も解いてみたりもするんですよ。

医師として喜びを感じるのはどんな時ですか?

今までなかなか治らなかったものが、ここに来て治ったと喜んでもらえた時が、医者としての醍醐味だと思います。私は、日本循環器学会循環器専門医資格を取得したあとに新たに呼吸器科や神経内科なども深めてきたのですが、それも自分の引き出しを増やすことで、広い視野で患者さんの健康に向き合いたいという思いからでした。セカンドオピニオンでの診察や相談など、できることはなんでもしてあげたいと思いますし、わからないことがあれば何とかして解決したいと思っています。もちろん、わからないこともあります。そんな時は患者さんに正直に話し、問診と検査をしっかりとした上で少し時間をいただいて自分で調べてさまざまなデータと照合して探ります。その積み重ねでまた知識も増えていきます。医者も患者さんから学んでいくのです。

今後の展望などを聞かせてください。

川瀬幸典院長 はしもと内科6

「患者さんのためになることは何があるか?」と常に考えてここまで来ました。送迎のサービスもそうですが、やってみると思った以上に反響がありました。理想にしている医療がだんだんと軌道に乗ってきたと感じています。それには、1を言えば10というより100を考えて行動してくれるスタッフの協力があってこそと感謝しています。私自身は「一日一笑・一生全笑」をモットーにしています。病は気からという言葉もあるように「病気」は「気」が大事です。患者さんとのおしゃべりも楽しみながら日々の診療にあたってきました。今後もちょっとしたことでも相談があれば気軽に来てもらえる「かかりつけ医」として地域の医療に貢献していきたいですね。

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