竹田 具史 院長の独自取材記事
竹田内科ファミリークリニック
(岐阜市/北方真桑駅)
最終更新日:2026/05/01
県道173号沿いにある「竹田内科ファミリークリニック」。院長の竹田具史先生は、地域の身近なかかりつけ医として幅広い症状に対応しながら、専門とする糖尿病や膠原病、リウマチ性疾患の診療にも力を注いできた。ストレートに医師の道へ進んだわけではなく、会社員として働いた経験も。「遠回りしたからこそ、働いている方の事情や生活の大変さがわかります。患者さん一人ひとりの状況を踏まえて、続けていける治療を一緒に考えていきたいです」と穏やかに語る。また、自身が劇症1型糖尿病を発症し、患者として治療を受ける中で感じた不安や不便さは、丁寧な説明や寄り添う姿勢へとつながっているという。患者一人ひとりと向き合いながら、長く安心して通える医療をめざすその思いについて話を聞いた。
(取材日2026年3月23日)
一人ひとり異なる背景をくみ取り、一緒に向き合う
クリニックで大切にしている診療方針を教えてください。

私は岐阜大学医学部附属病院の総合内科医局に所属し、さまざまな症状や希少疾患、難病を見極めるジェネラリストとしての診療と、糖尿病や膠原病、関節リウマチなどを専門的に診るスペシャリストとしての診療の両方を学びました。その経験を踏まえ、当院では「かかりつけ医」として幅広く対応する診療と、専門性を生かした医療の2つを柱としています。医院のロゴも、その2つの役割を表現した「二葉」をモチーフにしました。また、市民病院での勤務では内科診療に加え、透析や小児科、外科対応を含む救急、在宅医療など幅広い経験を積みました。そうした背景から、地域医療に貢献したいという思いで、赤ちゃんから高齢の方まで幅広く診療する意味を込めて、「ファミリークリニック」と名づけました。
院長ご自身が1型糖尿病を発症されたと伺いました。ご経験を通して、診療にどのような変化がありましたか?
2025年9月に劇症1型糖尿病を発症し、現在はインスリンポンプを使用しています。劇症1型糖尿病は、生活習慣病とは無関係に突然誰もが発症する可能性があり、内服治療はできず、インスリン治療が生涯にわたり必要な病気です。これまで患者さんにインスリン治療の説明はしてきましたが、実際に自分がなってみると、理解の質がまったく違うと感じました。薬の違いや注射の負担、日常生活でのちょっとした不自由さなど、体験して初めて実感できることが本当に多かったです。特に食事の際は、インスリンのタイミングや量の調整が思った以上に難しく、理屈ではわかっていたことがようやく腑に落ちたという感覚でした。一方で、ポンプにしてからは生活の質は向上しました。外で注射をしなくていいという点だけでも大きいと感じています。ただ、費用や管理の問題もありますので、その方の状況を見ながら提案するようにしています。
糖尿病の治療において特に心がけていることは?

糖尿病は自覚症状に乏しく、血糖値が高くてもすぐに困るような症状が出るわけではないので、「まあいいか」となってしまう方も少なくないです。実際、喉の渇きや頻尿が出てきてから受診されるケースもあります。ただ、その頃にはすでに血糖がかなり悪化していることも多く、そういう状態が長く続くと、血管へのダメージも蓄積していってしまいます。合併症は5年、10年かけて進行していくので、気づいたときにはかなり進んでいることも。だからこそ、その場で症状がなくても、きちんと治療を続けることが大事ですし、そう繰り返しお伝えするようにしています。
遠回りして医師に。生活者の感覚を診療に落とし込む
ご専門の膠原病についても、詳しく教えていただけますか?

膠原病は、自己免疫が自分の体を攻撃して関節・血管・臓器に炎症などを起こす病気の総称です。最も多いのは関節リウマチで、難病に指定されている病気が多いことでも知られています。症状で多いのは関節痛や皮膚の湿疹ですが、自覚症状がないケースもあります。診断では、血液・尿検査のほかに関節の腫れ、爪・皮膚の硬さ、口や目の乾きなど全身の身体診察が必要になり、治療が難しく専門性の高い分野です。発症は女性が圧倒的に多く、更年期障害と混同されることもありますので、少しでも心配な症状がある方は、一度ご相談いただきたいです。
そもそも竹田院長は、なぜ医師になられたのでしょうか?
子どもの頃から、有名な漫画に出てくる天才外科医に憧れ、困っている人に手を差し伸べられる仕事がしたいと思っていました。その思いから医学部をめざしたのですが、国公立の医学部はやはり壁が高くて、一度は諦めて会社員として働くことにしたんです。ただ、2年ほど働く中で「やっぱり医者になりたい」という気持ちが強くなり、仕事をしながら勉強を続けました。その後、センター試験で手応えを感じたこともあり、会社を辞めて1年間勉強に専念し、岐阜大学医学部に進学しました。初期研修でまざまな診療科で経験を積む中で、総合内科の教授や指導医の先生の臨床能力や人柄に強く感銘を受けて、その先生方のいる医局に入局しました。医局では糖尿病や膠原病の診療にも携わっていましたし、もともと症状から病名を導き出す診断学にも興味があったので、その分野についても学びを深めていきました。
会社員から医師に転身されたというのは珍しい経歴ですね。

そうですね。ストレートで医師になったわけではないので、その分いろいろな経験をしてきましたし、それが今の診療にも生きていると感じています。会社員の経験があるからこそ、患者さんの生活や事情も想像しやすいと感じています。例えば出張が多かったり、平日遅くまで働いていたりと、仕事の都合で通院が難しい方は多いですよね。そういう方に対して、「この日に必ず来てください」と一方的に言うのではなく、薬の出し方を工夫したり、通院間隔を調整したりと、無理なく続けられる形を考えることは意識しています。また、妻とは長年共働きで育児や家事も分担してきたので、お子さんだけでなく親御さんの不安にも寄り添えるよう心がけています。
誠実で丁寧な説明の積み重ねが、治療継続につながる
これまでのご経験の中で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

印象に残っているのは、主治医として初めて救命できなかった患者さんのことです。その方は、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に伴う重篤な間質性肺炎を患っておられ、非常に厳しい状況でした。何とか助けたいという思いで、できる限りの治療を尽くしましたが、力が及びませんでした。亡くなられた後、ご家族に説明をした際に、「ありがとうございました」「これからも頑張ってください」とたいへん丁寧に声をかけてくださったのです。悲しみの中におられるご家族から、そんな言葉を頂けるとは思っておらず、その時のことは今でも忘れられません。救命できなかった時の悔しさや無力感は、消えることはありませんが、このことはその後の診療姿勢にも大きく影響していると感じています。
患者さんと向き合う上で、大切にされていることはありますか?
年齢関係なくどの患者さんに対しても敬語で話すようにしています。ただ、あくまで対話としての関係を大事にしています。医師として提案はしますが、最終的には患者さんご自身に決めていただくという形ですね。例えば治療方針について、いくつか選択肢を提示した上で自分としての考えを添えて、押しつけにならないようにしています。また、薬の効果だけでなく、副作用についても事前にお伝えするようにしています。特に糖尿病の薬は副作用が出ることもあるので、何も知らずに服用して症状が出ると、不安になって自己判断でやめてしまう方もいます。そうならないよう、あらかじめきちんと説明して、その上で、何かあればすぐ相談してもらえるようにしています。
最後に、今後の展望と読者にメッセージをお願いします。

患者さんが増えてきていることもあり、将来的には同じ志を持った医師とチームとして診療できる体制も考えています。ただ、無理に広げるのではなく、質を維持しながら少しずつ整えていけたらと思っています。一人ひとりの生活スタイルやご要望を丁寧にお聞きし、その方にとってどんな治療が良いのかを一緒に考えていくことは、変わらず大事にしていきたいですね。クオリティーが落ちるような診療はしたくありませんし、待ち時間にも配慮しながら、気持ちよく帰っていただけるような診療をめざしていきたいです。どのような症状でも構いませんので、気になる症状があれば、ぜひ一度ご相談ください。

