竹田 具史 院長の独自取材記事
竹田内科ファミリークリニック
(岐阜市/北方真桑駅)
最終更新日:2024/03/27
岐阜市郊外の店舗と住宅が混在するエリアに立つ「医療法人陽光会 竹田内科ファミリークリニック」。2023年10月に約30年地域医療を担ってきた七郷クリニックより竹田具史院長が継承し開院。竹田院長は、大学病院や公立病院で総合的な内科診療を行う医師として幅広い疾患の診療を経験し、中でも糖尿病・膠原病・リウマチ性疾患については専門科として研鑽を積んだ。日頃心がけていることは、患者への丁寧な説明と相互的なコミュニケーションだ。限られた時間でいかに病気や治療について正しく伝え、患者と相談した上で治療方針を決定していくことが重要だと言う。それは患者をできるだけ良くしたいという強い思いがあるからこそ。そのような熱意ある竹田院長に、専門分野、診療への思い、遠回りした経歴などについて聞いた。
(取材日2023年11月29日)
内科と専門の科の2本柱をコンセプトに継承開院
こちらの医院のコンセプトを教えてください。
私は岐阜大学医学部附属病院の総合内科の医局に所属し、さまざまな症状・希少疾患・難病などを見極める「ジェネラリスト」の分野を学ぶと同時に、糖尿病・膠原病・関節リウマチなどを診療する「スペシャリスト」の分野も学んできました。ですから当院も「ジェネラリスト=かかりつけ医」と「スペシャリスト=専門医療機関」の2つを診療の柱にしています。医院のロゴもその2つをイメージした「二葉」がモチーフです。また勤務した市民病院では内科診療以外にも透析・小児科や外科対応を含む救急・在宅医療など幅広い経験を積みましたから、開業後も地域医療に貢献したいと思い赤ちゃんから高齢の方まで幅広い世代の患者さんを診療するという意味で、医院名を「ファミリークリニック」としました。
ご専門の糖尿病とは具体的にどのような病気ですか?
糖尿病は、病名は広く知られていますが初期には自覚症状がなく、高血糖の時間が長く続くと次第に全身の血管がボロボロになる怖い病気なのですよ。まず細い血管に影響が出て、糖尿病の3大合併症である、目、腎臓、神経に障害が出ると、失明・人工透析・足の切断に至る可能性があるので「放置せずに治療することが必要です」と検査所見を交えて詳しく説明します。食事や運動療法については患者さん一人ひとりライフスタイルが異なりますので、まずは日頃の生活について確認してから治療方針を提案し、相談した上で決定していきます。時間は限られていますが、自分のところに来てくださる患者さんをできるだけ良くしたいという思いがあるので、丁寧に話すようにしています。病気について正確に伝え、治療や体重減量に前向きに取り組んでいただいて改善することができたら私もやりがいを感じますし、今では糖尿病治療は私のライフワークと思っています。
同じくご専門の膠原病とはどのような病気でしょうか?
膠原病は、自己免疫が自分の体を攻撃して関節・血管・臓器に炎症などを起こす病気の総称です。それぞれの炎症部位によって病名が違い、最も多いのは関節リウマチで、難病に指定されている病気が多いことでも知られています。症状で多いのは関節痛や皮膚の湿疹ですが、自覚症状がないケースもあり、意外に隠れ膠原病が多いと感じています。診断では、血液・尿検査のほかに関節の腫れ・爪・皮膚の硬さ・口や目の乾きなど全身の身体診察が必要になりますし、長期の治療が欠かせない診断も治療も難しい専門性の高い分野です。女性が圧倒的に多い病気で、更年期障害と混同されることもありますので、少しでも心配な症状がある方は、一度ご相談いただきたいと思います。
実際には、どのような患者さんが多くいらっしゃいますか?
以前こちらにあった「七郷クリニック」の患者さんを引き継ぎましたので、生活習慣病を主とした50~70代の患者さんが多いです。継承開業後は大学病院や市民病院勤務時代に一緒に働いていた先生方からの紹介で受診される糖尿病、膠原病・関節リウマチの患者さんが多くいらっしゃいます。その他にはファミリークリニックということもあり、家族皆さんで来院される方も増えてきています。この周辺は若い世代が流入していて、小学生の数も増えていますし、これからもっとご家族で通ってもらえる方が増えるのではないかと思っています。私個人としては、体に不調が出始めているのに退職されて健康診断をしなくなった世代、これから10年後20年後の健康寿命が大切になってくる世代という観点から、60歳前後の患者さんの健康が気になります。その世代の方々の健康も支えることができたらと思っています。
遠回りして医師に。ごく普通の生活者の感覚が強み
竹田院長は、なぜ医師になられたのですか?
子どもの頃から、有名な漫画の天才外科医に憧れていて、困っている人に手を差し伸べたいという思いがありました。それで大学受験で医学部をめざしたものの国公立大医学部の壁は高くて、一度は諦め会社勤めをしたのです。でも、2年ほどすると「やっぱり医者になりたい」という思いが強くなって、働きながら勉強しました。その後、センター試験で手応えを感じたので、会社を辞めて一年勉強に専念し岐阜大学医学部に進学しました。初期研修ではさまざまな科をローテーションし経験を積んでいきますが、総合内科の教授、担当してくださった指導医の先生の臨床能力、人間性にたいへん感銘を受け、私もそのような医師になりたいと思い、先生方のいる医局に入局しました。医局では糖尿病と膠原病も診療していましたし、もともと症状から病名を導き出す診断学にも興味があったので、そちらの専門も学びました。
会社員から医師に転身されたというのは珍しい経歴ですね。
はい。ストレートで医師になれなかった分、さまざまな経験をしました。それを診療に生かしたいと考えています。会社員を経験したからこそ、患者さんの事情を理解できたりすることもあると思います。また、私自身妻と長年共働きですので、育児・家事も分担しています。お子さんの病気を診るだけでなく、心配や不安な親御さんにも寄り添えるよう心がけています。自慢にはなりませんが、患者としての経験も豊富ですよ。中学生では盲腸、大学ではラグビーでのけがで膝の後十字靱帯再建術、さらには命に関わる病気になり全身麻酔で開胸手術も受けました。たくさんの先生方と関わってきた分、自分も患者さんの役に立ちたいです。病気になって感じた不安や痛みは医学書では学べませんので、医師になるにあたりたいへん勉強になりました。そんなさまざまな経験が私の強みではないかと思っています。
患者さんの感覚や生活を大切に診療されているのですね。
そうですね。患者さんといってもいろいろな患者さんがいらっしゃるので、診療のスタイルは各患者さんに合わせて調整しています。忙しい方には説明よりも薬の処方を優先し、相談がある方にはお話を聞くことに重きを置き、さらに経済面の考慮をしたりいろいろです。お酒やタバコの制限も同様です。その辺は患者さんとコミュニケーションを取って、ご要望をくみ取ることが大事だと思っています。本人の負担になる検査や薬をできるだけ減らしてあげたいですし、患者さんに喜んでもらえるような診療をしたいと常に思っています。
丁寧な言葉遣いと説明を大切に、喜んでもらえる診療を
診療する上で心がけていることを教えてください。
どの世代の患者さんにも丁寧に向き合うこと、待ち時間を減らすように心がけています。膠原病は身体診察がありますし、糖尿病も説明が大切なので、診療時間はどうしても長くなりますが、スタッフと連携しながら日々試行錯誤しています。
開院したばかりで忙しいと思いますが、オフの時間はどのように過ごされていますか?
休日も、事務的な仕事がたくさんありますが、子どもたちがスポーツ少年団のバスケットボールチームに所属しているので、その送り迎えをしたり、試合を見に行ったり、子どもとの時間を優先しています。
最後に今後の抱負とメッセージをお願いします。
お一人お一人に生活スタイルやご要望をお聞きして、その人にとってどのような治療が良いのかを一緒に考えながら、より良いゴールをめざして長いお付き合いができればと思っています。たとえ患者さんが増えてもクオリティーが落ちるような診療はしたくないですし、待ち時間を気にしながらも、患者さんに喜んでいただけるような診療、患者さんに気持ち良く帰っていただける診療をめざしていきたいと思います。どのような症状でもご相談いただけると、きっと何かアドバイスをできることがあると思います。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。