水澤 健 院長の独自取材記事
みずさわ内科クリニック
(新潟市東区/大形駅)
最終更新日:2025/05/22

新潟空港の南側、新潟市東区の住宅街にある「みずさわ内科クリニック」。水澤健院長は、この地で長年診療を続けてきた前身「林内科クリニック」を2024年8月に継承し、同年12月には現在の院名へと変更した。「長く通院する地域の患者さんたちが、安心して来院できるように」と、内外装はそのまま受け継いだ。白を基調とした待合室にはソファーのほかに畳敷きの一角もあり、落ち着いた雰囲気。水澤院長は「一人ひとりの患者さんに丁寧に向き合い、わかりやすく説明する」が信条。穏やかなトーン、優しい笑顔でゆっくりと、一言、一言を大切に話す様子が印象的だった。
(取材日2025年4月7日)
地域に根差した前院長の診療スタイルを受け継ぐ
開業の経緯と、めざしているクリニック像をお聞かせください。

当院はこの地で28年間診療されてきた「林内科クリニック」を2024年8月に継承し、12月に「みずさわ内科クリニック」に名称変更して誕生しました。私の専門は消化器内科ですが、開業するときは幅広く内科全般を診療したいと思っていました。前院長の林先生は小さなお子さんからお年寄りまで、地域に根差したかかりつけ医として幅広く診療されており、自院で治療できる場合は治療し、専門的な治療が必要な場合は病院に紹介されるなど、自分が理想とするイメージと重なりました。そこで、継承の1年半ほど前からこのクリニックで診療をお手伝いして勉強しました。林先生の診療スタイルを継承し、今まで通院していた患者さんたちに安心して通い続けていただくことが目標です。長年勤めていたスタッフの方々も、引き続き当院でも働いていただいています。
前院長から学んだこと、新たに開始することはありますか。
林先生を見て素晴らしいとまず感じたのは、患者さんがどのような訴えをされても、しっかりと耳を傾けるという姿勢ですね。また、丁寧に診察することを基本にしながらも、患者さんをできるだけお待たせしないことにも気を配っておられました。そうした方針を私も受け継いでいきます。私が院長になってから新たに導入した機器は、大腸内視鏡検査システムです。もともと林先生も胃の内視鏡検査は行っておられましたが、消化器内科という私の専門性を生かして、新たに大腸内視鏡検査を開始しました。大腸がんだけでなく、血便や長く続く腹部症状の診断にも有用な検査ですから、ニーズは高いと思います。
来院される患者さんは、どのような方が多いのでしょうか。

東区内にお住まいの患者さんが圧倒的に多いですね。年齢層もお子さんからご高齢の方まで非常に幅広く、本当にさまざまな症状、疾患の方がいらっしゃいます。勤務医時代にも遭遇したことのない症状もありますが、それらに一つ一つ丁寧に対応することを心がけて、日々の診療にあたっています。過去に勤務した新潟県立松代病院は常勤医が3人だけの病院で、入院機能も備えた地域のかかりつけ医の役割を果たしていました。その時に幅広く診療した経験が今に生きています。開業後、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、胃腸炎などが流行した時期も、当院は診療時間を延ばしてできる限り受け入れるようにしましたね。
「患者さんを元気づけられる医師」になりたい
医師をめざしたのは、どんなきっかけからですか。

私が5歳の時、家族が全身性の難病にかかりました。子どもながらに「治すことはできないかもしれなが、患者さんを元気づけられるような医師になりたい」と漠然と考えるようになりました。中学生時代までは長岡で育ちましたが、南魚沼市の新潟県立国際情報高等学校に進学してから、子どもの頃にぼんやりと思い描いていた「医師になる夢」を実現させたいと考えるようになったのです。難病の家族は長岡から新潟臨港病院に25年以上通院していましたので、今、同じ地域の医師として同院と連携するようになって、ご縁を感じているところです。自治医科大学時代はラグビー部に所属して、勉強とラグビーに明け暮れる毎日でした。ラグビーは体が大きい、俊敏であるなど、人それぞれの個性が生かせるところに魅力を感じましたね。
自治医科大学を卒業後、新潟県に戻ってこられたのですね。
自治医科大学には、卒業後は新潟で医療に従事することを条件に入学しましたし、私自身にも地元の地域医療に貢献したいという思いがありました。内科医の道を選んだのは、もともと家族の病気のこともあって内科医に親しみを感じていたことと、自治医科大学在学中に設けられた県の職員との面談で、「新潟県は内科医が足りない」と聞いていたからです。そういうことであれば、新潟の地域医療に役立つ内科医になろうと、自分の中でもすんなりとイメージが固まりました。卒業後は、新潟大学医歯学総合病院で研修医期間を過ごした後、新潟県立新発田病院、新潟県立松代病院、新潟県立十日町病院で内科医として勤務しました。医師が少ない地域の病院では、やはりさまざまな病気を幅広く診療できる内科医が求められます。
2017年から新潟大学医学部の特任助教を務めた後、開業する道を選ばれたのですね。

2017年から2024年4月までは、新潟大学医学部の新潟県地域医療支援センター医科学分室の助教を務めました。新潟県が奨学金を出して、新潟大学や県外の大学医学部で学び、将来、新潟の地域医療に貢献する人材を支援しているのですが、そうした学生や卒業生をサポートする教員です。医師の卵たちに自分の経験を伝えたり、一緒に地域医療の在り方を考えたり、とても有意義な時間でした。医師は大変な仕事ですが、患者さんに喜んでいただけたときのやりがいも大きい。そして、自分がこれまで経験した地域医療の経験を生かせる仕事として、開業医として地域のかかりつけ医になることを選びました。
重い病気を早期に発見して、適切に治療につなぐ
内科全般、とても幅広く診療をされていますね。

診療している分野は「林内科クリニック」時代と同じです。風邪や感染症、生活習慣病、消化器・呼吸器・循環器の疾患、小児の患者さんが多く、地域の方々にしっかりとした医療を提供することを示したつもりです。一方で、専門的な治療が必要だと判断したときには、これも「林内科クリニック」時代から行ってきたことですが、桑名病院や新潟臨港病院など近隣の総合病院と連携しながら適切に対応させていただきます。例えば不整脈でペースメーカを埋め込んでおられる患者さんの場合、年1回、病院で心臓の専門的検査や機器のチェックを受けてもらい、普段の診察や投薬は当院で行います。もし具合が悪くなったらいつでも病院に入院できます。
こちらでは、どのような検査が受けられるのでしょうか。
私の専門である消化器領域では、胃と大腸の内視鏡検査、腹部超音波検査などを実施しています。内視鏡検査はできるだけ患者さんが苦痛を感じずに受けられるよう配慮しています。胃の内視鏡は通常よりも細い細径内視鏡を用意し、口から検査するか、鼻から検査するか、患者さんのご希望に応じて選べるようにしていますし、大腸内視鏡検査は苦痛の少ない二酸化炭素を用い、発見したポリープをその場で切除する日帰り手術も行っています。身近なクリニックで迅速に検査が受けられるのは患者さんにとってもメリットになると思いますが、大きな病院で受けたいという方には適切に紹介もさせていただきます。消化器以外でも血液検査、心電図、レントゲン検査など幅広い検査が実施できます。
医師として大切にしている信条などがあればお聞かせください。

丁寧に患者さんの話を聞いて向き合うことと、検査結果や治療方針を説明するときに、とにかくわかりやすく伝えることです。例えばご高齢の患者さんに対しては、大きな声でゆっくりと話して伝えることが多いです。医療用語も相手にわかる言葉に置き換えて話します。医師として最もつらい経験として思い出すのは、定期的に通院していた患者さんに、突然、進行がんが見つかったときですね。どこかのタイミングで見つけてあげられなかったのか、ここで検査を勧めていればと何度も後悔しました。二度とそうした思いをしないように、当院に通われている患者さんには、異常を察知したらすぐに対応し、早く治療につなぐようにしたいと思っています。