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阿部 志郎 院長の独自取材記事

阿部小児科医院

(新潟市東区/大形駅)

最終更新日:2026/08/27

阿部志郎院長 阿部小児科医院 main

向陽三丁目バス停から徒歩3分。住宅街に溶け込む白いタイル張りの外壁が目印の「阿部小児科医院」は、1985年の開業から40年、地域の子どもたちの健康を見守り続けてきた。院長の阿部志郎先生は、江戸時代から6代続く医師の家系に生まれ、新潟大学医学部を卒業後、総合病院での研鑽を経て開業。勤務医時代の経験から、開業に際して3つだけは譲らないと決めたことがあるという。耳たぶからの採血による迅速な「院内検査」、薬の味まで説明できる「院内処方」、そして、自宅を隣接させた「24時間対応」である。いずれも子どもの急変の速さを知る小児科医ならではの覚悟から生まれたものだ。「医師にできるのは手助けし、寄り添うことです」と、穏やかに、時にお茶目な笑顔で語る阿部先生に、40年貫く信念とその原点を聞いた。

(取材日2026年7月27日)

代々受け継がれた志を胸に、変わらぬ信念で40年

まずは、こちらで開業された経緯をお聞かせください。

阿部志郎院長 阿部小児科医院1

1985年7月にこの場所で開業しました。もともと松林が広がる郊外の土地で、当時はまだ住宅も少なかったのですが、広い敷地を確保できることと、子ども時代を過ごしたなじみ深い地域であることが決め手になりました。父もこの近くで内科・小児科を開業していましたので、自然とここで診療を始めようと決めたんです。以来、移転もリニューアルもしておらず、開業当時の雰囲気がそのまま残っています。近くの小学校では開業当初から校医を務めていますが、地域のお子さんの数は当時と比べて約半分になりました。そのぶん今は一人ひとりとゆったり向き合えますし、予防接種の時間枠も月曜から金曜まで設けて、日々の診療にあたっています。

先生が医師を志したきっかけを教えてください。

実は江戸時代の末期から続く医師の家系で、私は6代目にあたります。初代は漢方のような医療から始まり、以来代々この地域で医療に携わってきました。父も新潟大学医学部の小児科出身で、戦後にこの近くで内科・小児科を開業しています。親戚が集まれば全員が医者という環境でしたから、医師になること自体に迷いはなく、そういうものだと思って育ちました。ただ、家系だからというだけでなく、代々受け継がれてきた大切なものがあると感じています。誰に教わるでもなく、命と誠実に向き合うことを当然のこととして受け止める姿勢が、自然と身についていたのだと思います。もともと子どもが好きだったこともあって、小児科の道を選びました。

開業にあたり、心に決めていたことはありますか?

阿部志郎院長 阿部小児科医院2

1980年に新潟大学医学部を卒業後、秋田や長岡などの総合病院で研鑽を積みました。勤務先では上の先生のもとで学ばせていただきましたが、「もっと早く検査をしていれば」と、感じる場面があり、自分ならこうすると胸の内に秘めていたものがありました。その経験と反省を集約し、開業するならやろうと3つ決めていたことがあるんです。1つ目は耳からの少量の採血(耳朶採血)で院内血液検査を行い、細菌性かウイルス性かを速やかに見極めること。2つ目は院内処方にして薬の味見を自分ですること。3つ目は自宅を診療所に隣接させ、昼に診たお子さんの夜間の急変にも主治医として対応すること。この3点は、「子どもは病気の変化が早い」という実感から生まれた私なりの答えです。

子どもを守る3つのこだわり

耳からの採血について、診察でどのように生かされていますか?

阿部志郎院長 阿部小児科医院3

子どもは自分の症状を言葉でうまく伝えられないことが多いので、体が発するサインを客観的に捉える必要があります。当院では耳朶採血という耳から少量の血液を採る方法で、小さなお子さんでも血液検査ができます。白血球や血小板の動き、血液の内容、そしてCRPという炎症反応の4つの指標から、細菌性の感染なのかウイルス性なのかをその場で判別し、治療方針を固めます。40年分の臨床データを積み重ねてきた中で、インフルエンザの初期や突発性発疹症なども血液の動きからおおよそですが推測できるようになりました。曖昧にせず、具体的な病名をつけることが私のこだわりです。

院内処方と、夜間対応についても詳しく教えてください。

内科と違い、小児科ではお子さんが薬を「出せば飲む」とはいきません。「飲めるかどうか」というワンステップがあるんです。処方する薬は必ず自分で味見をし、飲みにくいものは甘味料を加えるなど子ども目線で工夫しています。自分が出す薬の味はすべて把握していますよ。勤務医時代から病院の薬局へ味見に通っていたほどです。また、夜間の急変への備えも大切にしていることの一つ。開業当時、新潟市では夜間の急患に対して、主治医が責任を持つのが当たり前でした。ですから診療所と自宅を隣接させて、昼に診たお子さんが夜中に急変しても駆けつけられるようにしたんです。その後に夜間救急専門の施設が整備されましたが、昼に診た子の主治医は夜も私です。この方針は40年変わりません。

お子さんや親御さんと接する上で、大切にしている思いを教えてください。

阿部志郎院長 阿部小児科医院4

命に対して人間ができることには限りがあります。病気に対して医師にできるのは手助けし、寄り添うことではないでしょうか。相談に来られる方は困っていらっしゃるのですから、その方の立場に立ち、気持ちの上でも寄り添うことを大切にしています。お子さんの話をよく聞くことも欠かせません。思春期の子は親御さんの前では本音を話しにくいこともありますので、一対一でお話しする場を設けることもあります。子どもは体でしか表現できない部分も多く、そのボディランゲージを読み取ることは医師にしかできない大切な役割だと思っています。最近は不登校や自律神経の不調など心の相談も増えており、必要に応じて専門の医療機関をご紹介しています。

子どもが笑顔で帰っていく瞬間のために

スタッフについてお伺いできますか?

阿部志郎院長 阿部小児科医院5

院内検査の態勢を支えてくれているのが、看護師たちです。血液データの読み方や私なりの判断基準を日頃から伝えていて、急を要する場面では看護師にデータを持ってきてもらい、迅速に対応できるようにしています。異変の兆しを察知してチームで動ける体制が整っているのは心強いですね。開業当初から40年以上勤めてくれているスタッフもいて、家が近いので急変時にはすぐ駆けつけてくれますし、長年通ってくださっている患者さんのことも覚えていてくれます。こうした信頼できるスタッフに恵まれたからこそ、この診療スタイルを続けてこられたのだと思っています。

小児科医としてやりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?

一番うれしいのは、お子さんが帰るときにニコニコして「バイバイ」と、手を振ってくれる瞬間です。小児科ならではの喜びだと思います。看護師たちもやりがいがあると言っていますね。それに子どもと接していると、こちらがパワーをもらえるんです。小児科の先生は皆さん若々しいんですよ(笑)。開業当初に通っていたお子さんが親になり、さらにそのお子さんを連れて来てくださることもあります。3世代のお付き合いがあるのも、この仕事の醍醐味です。小児科を選んで後悔はありません。

最後に、読者へメッセージをお願いいたします。

阿部志郎院長 阿部小児科医院6

この診療スタイルはこれからも貫き通していくつもりです。正しいと信じることを変えず、一つの道を歩み続ける。それが私の生き方ですから。皆さんにお伝えしたいのは、病院を選ぶときに建物の新しさや見た目だけで判断しないでほしいということです。本当にお子さんのことを思い、最後まで寄り添ってくれるかどうか、その本質を見ていただきたいと思います。命はかけがえのないもので、一度失ったら取り戻すことはできません。だからこそ、信頼できる医師をかかりつけに選んでください。私はこれからも目の前のお子さん一人ひとりに主治医としての責任を持ち、手助けし、寄り添い続けていきたいと思っています。