岩永 明人 院長、岩永 みどり 副院長の独自取材記事
岩永医院
(新潟市中央区/新潟駅)
最終更新日:2024/09/27

新潟市の中心部、昔ながらの繁華街・古町のほど近くで、1952年の開院以来、70年以上親しまれてきた「岩永医院」。2024年4月からその3代目院長を務めるのが岩永明人先生だ。同年5月に内装リニューアルも終え、妻の岩永みどり副院長とともに新しいスタートを切った。新潟県内の総合病院で消化器内科の医師として研鑽を積んできた明人院長と、糖尿病・内分泌代謝内科の専門家であるみどり副院長。その約20年にわたる経験を生かして地域医療に貢献したいと話す2人に、診療への思いを聞いた。
(取材日2024年7月18日)
地域に根差す医院として祖父と父が築いたやり方を踏襲
歴史ある医院を受け継いだ思いをお聞かせください。

【明人院長】祖父が開院し、父へと続いてきた当院は、私にとっても小さい頃から身近な存在でした。医師としてあるべき姿について、直接言葉で聞いたことはありませんが、夜中に具合が悪くなった患者さんから電話があったり、直接訪ねて来られたり、町で会った患者さんに相談されたりということが日常でしたので、その背中を見て育ちました。地域の方にとって身近な医院として、祖父と父が築いた信頼を大切にしていきたいと思っています。
【みどり副院長】義祖父が開院した時代には、この辺りには医院が少なく、夜中に往診の依頼が頻繁にあったとかで、地域に根差す存在だったということはよく聞いていました。子どもの頃からずっと通院しているという患者さんもいらっしゃいます。その方々を大事に引き継いで診療させていただきたいと思います。
5月に新装開院されたそうですね。
【明人院長】もともと継承・改装の計画はあり、少しずつ準備はしていたんです。そんな折に父が体調を崩してしまい、いろんなことが急ピッチで進んでいったかたちですね。当時は私も副院長も総合病院に勤務していましたが、父に代わって当院での診療も行うことになり、それなりに大変でした。改装にあたり、医療DXの流れに対応するため電子カルテと会計システムなどを電子化することは必須でした。また専門性を生かすために消化器内視鏡機器を導入することにしました。スタッフも大変だったと思いますが、頑張ってついてきてくれて本当に感謝しています。
【みどり副院長】糖尿病診療については、ヘモグロビンA1cの迅速測定器をそろえ、治療効果の判断に役立てています。
どのような患者さんが来られますか?

【明人院長】高血圧、高脂血症、糖尿病の方が多いですが、めまい、頭痛、発熱などさまざまな訴えの患者さんが来られます。患者さんの趣味の話を聞かせていただくことや、世間話をすることもあります。その積み重ねで長く付き合っていくというスタンスが、町のクリニックの強みかなと思っています。
【みどり副院長】患者さんから「関係ない話ですが一つ聞いていいですか?」とよく言われます。専門外であってもわかる範囲でお答えし、「その症状だったら何科に行くといいですよ」とアドバイスをしたりしています。
患者の人生に長く寄り添う診療を
院長の得意分野についてお聞きします。

【明人院長】消化器内科の医師としての、約20年にわたる経験を生かしていきたいと思っています。胃と大腸の内視鏡検査を得意としており、つらくない内視鏡検査を心がけています。また、大腸の疾患、特に潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患についてはこれまでにたくさんの症例を診てきました。炎症性腸疾患は、この10~20年でとても増えてきた疾患です。原因はわかっていませんが、特に若い方に多く、腸に炎症が起きて下痢が止まらない、血便が出るなどの症状が出る難治の病気です。その経験も生かしていきたいですね。
みどり副院長はいかがでしょう。
【みどり副院長】糖尿病や内分泌疾患を専門としています。内分泌疾患とは、なじみがないかもしれませんが、甲状腺の病気をはじめ下垂体、副腎など全身に症状が現れるものです。内分泌系の疾患によくあるのが、一般的な検査では異常がないといわれてしまい、何軒クリニックを回っても原因がわからないというケースです。だるさ、体重の急な増減、動悸など、体はいろいろなサインを出しているのに、なかなか診断がつかず、倒れる寸前になってやっと診断がつくということもあります。内分泌内科医の視点で診ると、「この病気かもしれないからこの検査をしてみよう」と考えることができます。甲状腺の病気は特に女性に多いので、気になることがあればご相談いただけたらと思います。
勤務医時代と今で、診療のスタンスに変化はありますか?

【明人院長】診療に対する考え方は変わりません。目の前の困っている人をどうにかしたいという思いは一貫して持っています。ただ、扱うフィールドは変わりましたね。総合病院では緊急性が高い、即入院が必要な患者さんの診療が主体で、患者さんの人生のごく一部に焦点を絞った診療でした。でも今は、血圧、コレステロールなどを日頃から良い状態に保ち、患者さんが長く健康に過ごせるようにということを意識して診療しています。
【みどり副院長】私は慢性疾患、高血圧症、糖尿病など、比較的長いスパンで診る診療を得意としてきました。勤務医時代も一つの外来枠を割と長く担当していました。ですから診療する場所が変わっただけという感覚です。
患者の利益を第一に考え、病院との役割分担・連携も
診療で心がけていることや、手応えを感じる瞬間についてお聞かせください。

【明人院長】私の専門分野についていえば、炎症性腸疾患は長期にわたる治療が必要です。以前勤務していた病院から当院へ移ってきてくれた患者さんたちとは長いお付き合いになります。病歴をよく把握し、丁寧に診療することを心がけています。少しの病状の変化に気づき、大きく体調を崩すことを防ぐことができれば、とてもやりがいを感じます。病気だけに目を向けるのではなく、患者さんのさまざまなライフステージに寄り添えるような治療ができたらいいですね。
【みどり副院長】お声がけ一つが患者さんの行動につながることって、本当にあるんです。長年の生活習慣を変えるのはとても難しいことですが、この患者さんにはこういうアプローチがいいのかな、といろいろ考えながらやっています。「先生だとなんでも相談できるんだよね」という言葉をいただくとうれしいですね。
今後の展望についてお聞かせください。
【みどり副院長】大きな病院は、待ち時間がとても長いんですよ。それが嫌で通院をやめてしまったり、予約が取れなかったことで足が遠のいたりして、治療の中断につながる患者さんも結構いらっしゃるんです。ですから、患者さんの不利益を生まないように、待ち時間を含めできるだけ心地良く治療を継続していただける医院にしたいですね。そのためにウェブ予約も導入しました。
【明人院長】病院とクリニックでは、それぞれに役割分担があると思っています。クリニックでできることはクリニックで、病院でしかできないことは病院で実施して、うまく連携していけたらいいなと思います。
【みどり副院長】画像検査や専門的な治療が必要な場合は病院に紹介させていただいて、また当院で診られる状態になったら戻ってきていただき、治療を継続するというのが基本だと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。

【明人院長】患者さんにとって最初の窓口となる身近なクリニックにしていきたいと思っています。そのためには、医師だけでなくスタッフ全員で良いチームをつくり上げていくことが大切だと思います。当院の雰囲気は和やかで笑顔があふれる医院だと思います。また、専門性の部分では、日々進歩している最新の医療をきちんとキャッチアップできるように、スタッフ全員で勉強していきたいです。
【みどり副院長】お話をゆっくりお聞きできる環境ですので、気軽に相談に来ていただきたいですね。バスの便もいいですし、医院前に6台分の駐車場もありますので、いろいろな交通手段でお越しいただけると思います。