篠原 美絵 院長の独自取材記事
さつき町診療所
(海老名市/厚木駅)
最終更新日:2026/06/19
小田急線厚木駅近くで50年以上診療を続ける「さつき町診療所」。父の友利昭雄前院長の後を継いだ篠原美絵院長は「病気の治療だけでなく、地域の基幹病院や介護サービスと連携し、患者さんの生活全般を良くするお手伝いができることにやりがいを感じる」と話す。地域密着のクリニックとして、一般的な症状から内視鏡検査まで行う同院の特徴などを詳しく聞いた。
(取材日2026年3月3日)
50年前から続くかかりつけ医院を引き継ぐ
こちらで診療を始められた経緯をお聞かせください。

当院は私の父が1974年に開業し、長く地域の皆さんの健康を守ってきた診療所です。家族も診療所がある団地に引っ越し、私も小学校3年生まで団地で育ったのでとてもなじみのある地域なんですよ。その後、私は医師になって大学病院や神奈川県内の基幹病院などで診療し、2010年から当院を手伝い始めました。2020年には開業当初の場所を約2倍の広さに拡充してリニューアルし、副院長となってこちらでの診療に専念。引き継ぎを検討していた矢先に父が亡くなり、2023年9月から私が院長に就任しました。内装は患者さんの不安が和らぐような落ち着いた雰囲気にしたくて、床を木目調に、院内全体はグリーンを基調にしています。新たな医療機器も導入し、超音波検査や胃・食道の内視鏡検査も可能になりました。
どんな患者さんが来られていますか?
父の代から通われている高齢の患者さんから、お子さんまで幅広いですね。高齢になると糖尿病など生活習慣病も増えますが、食事の管理や運動などを頑張っておられるので、インスリンを打つほど進行した方は多くありません。飲み薬だけでは血糖値のコントロールが難しい場合には、糖尿病治療にも力を入れる海老名総合病院などにご紹介しています。また海老名市は人口増が続いて子育て世帯も増えているため、お子さんの新規受診も多くなりました。急な発熱やかぜ症状、胃腸炎などの一次救急的な受け皿をめざしていますが、季節によってはインフルエンザなど感染症のお子さんが急増し、待ち時間が長くなることもあります。そうした場合、車で来られた方には車内でお待ちいただく、あるいは一度ご自宅に戻って予定の時間に再度来ていただくなど、院内で長く待たずに済むよう工夫しています。また予約制で来院時間を決めた発熱の外来も行っています。
診療時の心がけなどを教えてください。

できる限り患者さんの顔を見てお話しするように心がけ、病気のことだけでなく、不安な気持ちなども汲んで診療したいと考えています。お子さんの場合も、親御さんだけでなく本人にも容体を聞き、その子の気持ちを尊重するようにしています。親子で一緒に受診できるので、気軽に利用してもらえるといいですね。また高齢の患者さんは一般的な治療にとどまらず、独居かご家族と同居かといった生活環境も伺って、今後は介護の面でサポートが必要かなども検討します。運動のために高齢者向けの体操教室を勧めたり、必要なら地域包括支援センターにつないで介護保険の申請も検討してもらったりと、患者さん一人ひとりの生活背景も含めて相談に乗れる存在でありたいと思っています。
痛みの軽減を図る内視鏡検査や迅速遺伝子検査にも対応
内視鏡検査を楽に受けたいというご希望も多いですか?

患者さんのご希望はもちろんですが、内視鏡検査が楽だったら「また受けよう」と定期的に利用してもらえ、病気の早期発見につながると考えて、経鼻内視鏡を2025年に導入しました。経鼻内視鏡は細めのファイバーを鼻から挿入するため、喉の嘔吐反射を抑えやすく痛みの軽減が図れるのが特徴です。以前からの経口内視鏡も選べますが、最近は経鼻の方が増えていますね。加えて、検査時の痛みを感じにくくするための静脈鎮静法も利用でき、痛みが不安という方にも対応可能です。ただ、静脈鎮静法を用いた場合は検査後に1時間ほど休む時間が必要で、当日は車・バイク、自転車が運転できないなどの注意点があり、事前に詳しく説明しています。ご希望により、胃がんの原因の一つとされるピロリ菌の有無も検査できますからご利用ください。
感染症の迅速遺伝子検査機器も2025年に導入されたそうですね。
迅速遺伝子検査機器は、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、溶連菌などに対し、一般的なPCR検査より短時間の15~20分程度で検査結果が確認できます。一般的に行われる抗原検査は簡便ですが、高齢の方や発熱してすぐの時期では感染していても陰性となる場合があります。そのため、後日再検査が必要となって患者さんのご負担につながることもあります。一方、迅速遺伝子検査はPCR法とは異なる仕組みでウイルスや細菌の遺伝子を調べ、抗原検査より感度が高く、発症早期の診断や治療方針の判断に役立ちます。当院では各検査の特徴をご説明したうえで、症状や経過、年齢、重症化リスクなどを踏まえ適切な検査をご提案しています。なお、新型コロナウイルスと溶連菌は基本的に全年齢、インフルエンザウイルスについては5歳未満・65歳以上・妊娠中の方・重症化リスクのある方などが保険適用となります。
地域の病院や地域包括支援センターとはどう連携されていますか。

必要に応じて当院に近い海老名総合病院や近隣の循環器内科、呼吸器内科、脳神経外科、泌尿器科などの専門の医師へご紹介し、適切な専門医療につなげることを大切にしています。お子さんの感染症がひどいときは小児科へのご紹介も多いです。総合病院にご紹介した患者さんのカルテは当院でも見られる仕組みなので、治療経過がよくわかり、当院に戻られたときの対応もスムーズです。このほか専門の医師がいる近隣医療機関や東海大学医学部付属病院、神奈川県立がんセンターとも医療連携の提携を結び、厚木市の病院とも連携するなど患者さんに適したご紹介を心がけています。地域包括支援センターとの協力も密接で、当院を受診された患者さんに介護の必要性を感じて支援センターに連絡し、ご自宅の様子を見に行ってもらうことも。そこで介護が本当に必要か、思ったよりも大丈夫なのかを判断してもらい、介護認定の場合は私も必要な書類の提出などで協力しています。
利用しやすい身近な診療所で地域の健康を守る
先生が医師をめざされたきっかけは何でしたか。

父は私が通っていた幼稚園の園医で、診療所も自宅から近かったので、幼い頃から父の仕事を見る機会は多く、中学生のときには父のような医師になりたいと考えていました。当院を継ぐことも決めていたので、卒業後は開業医に必要なスキルを習得するため、多数の症例を経験できる病院で勉強させていただきました。父は私から見てもとても優しい人でしたが、昔からの患者さんは今でも「先生はとても優しかった」「先生に会うとホッとした」と話されます。本当に地域の皆さんに頼りにされていたことを改めて実感し、誇らしく感じますね。
ご自身のやりがいなどをお聞かせください。
病気の治療に加え、介護のサービスとも連携して、患者さんの生活全般を良くするお手伝いができることです。ご紹介した病院から退院後すぐにあいさつに来る方もおられますし、気軽に相談に来ていただけるなど、地域の皆さんに頼りにされていることが実感できます。お子さんにもなるべく怖くないように接して、最初は大泣きしていた子がニコニコして来院するようになるのもうれしいですね。今後は大腸がんの早期発見に役立つ大腸内視鏡の導入も検討するほか、肝臓に対する専門性も生かし、健康診断で肝臓の数値に異常があったら超音波検査などで肝臓の状態も調べていきます。脂肪肝でまれに短期間で肝硬変に進行するようなケースも早めに拾い上げられたらと思います。
最後に地域の皆さんにメッセージをお願いします。

当院は地域に根差したクリニックで、「最初にどの診療科にかかればいいか」も気兼ねなくご相談いただけます。各種の健康診断、特定健診、胃・食道の内視鏡検査も行えますので、ハードルが高いと思わず気軽に受診してください。高齢の方には帯状疱疹などのワクチン接種も可能で、海老名市が定めた所定の条件を満たせば無料または助成を受けて接種が受けられます。18歳から39歳までの海老名市民を対象とした健康診断も行っていますし、月・火・木・金は18時30分まで受付なので仕事帰りに利用しやすいと思います。目の前にある調剤薬局は当院の診療終了時間まで開いているので便利です。ご自宅の近くで幅広く診てくれるクリニックを探している方は、どうぞご利用ください。

