地域に根差した訪問診療で
高齢者や重症患者のQOLを支える
伊勢原駅前クリニック
(伊勢原市/伊勢原駅)
最終更新日:2024/06/07


- 保険診療
社会の高齢化が進む中、今や地域医療の中で訪問診療は欠かすことのできないものとなっている。そこで、神奈川県伊勢原市の「伊勢原駅前クリニック」で訪問診療を担当する中島尚登先生に、訪問診療の流れや基本的な内容について取材した。同院では、中島先生をはじめ多数の医師が、看護師、地域の専門職や介護関係者と連携して訪問診療に取り組んでいるとのこと。認知症や高血圧症・糖尿病・脂質異常症といった持病を持つ高齢者をはじめ、神経難病やがん末期の患者など幅広い疾患の患者に対して、24時間体制での訪問診療を行っている。東京慈恵会医科大学の出身で、消化器内科・肝臓疾患を専門とし、在宅医療の経験も豊富な中島先生の説明をぜひ参考にしてほしい。
(取材日2023年12月25日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q訪問診療を利用できるケース、対象となる人について伺います。
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A
訪問診療は、通院が困難と医師が判断した場合に利用できる、定期的な在宅医療です。高齢の認知症やがん終末期、指定難病、重度の障害のある方、また独居や老老介護で家族が通院に付き添えない方などが対象となり、費用は健康保険が適用されます。当院では内科的な疾患を中心に、外科やがんにも対応しています。90代の方も多く、認知症と、高血圧や糖尿病など慢性疾患があるケースが多くなっています。近隣にお住まいで、今まで当院に通院歴のある患者さんが中心ですが、他の医療機関や地域包括支援センター、あるいは近隣の高齢者施設からの依頼で行うこともあります。
- Q診療の頻度や1回の診療にかかる時間について教えてください。
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A
患者さんの症状や生活状況などにもよりますが、訪問診療の頻度は、2週間に1度行うことが標準的です。訪問診療にかかる時間は、患者さんの症状やその日に行う検査や処置によって変わります。医師の診療に加えて、同行する看護師がまとめ役となって、ご家族やケアマネジャー、訪問看護師、理学療法士、調剤薬局の薬剤師などが加わり、生活面の問題や介護サービスについて相談をすることも。そうした場合は30分近くかかることもあります。一方、特に問題や変化がない場合などはそれよりも短い時間で終わることが多いです。また、訪問診療を受けている方で、体調が急変した際は、夜間や休日を含めて緊急時の対応として往診を行います。
- Q訪問診療を受けるとどのようなメリットがありますか?
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A
自宅にいながら、医師のきめ細かなサポートを受けられることが大きなメリットだと思います。地域のケアマネジャーや訪問看護師、理学療法士、薬剤師、相談員などと連携して行うので、医療だけでなく、患者さんご家族の悩みや要望に対しても、生活全般、多面的に支援することができますし、緊急時の対応や病院への紹介も迅速で安心していただけると思います。また、麻酔を用いた疼痛緩和ケアや褥瘡治療なども可能で、定期的な診療によって体調の変化にも早めに気づき対応できます。神経難病やがん末期の方、特別な医療機器や処置が必要な方、独居や老老介護の方も、住み慣れた自宅で療養していただけるようにサポートできるのも特徴ですね。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問い合わせ
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患者本人もしくは家族から、外来受診時や電話で訪問診療を受けたい旨を伝える。地域のケアマネジャーや訪問看護師、他の医療機関、高齢者施設からの問い合わせも可能だ。
- 2打ち合わせ
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同院では、訪問診療を希望する患者の自宅を相談員が訪問し、患者の症状や生活環境の確認と打ち合わせを行う。患者は、相談員に病状や生活状況などを伝え、在宅医療の仕組みや料金について説明を受ける。
- 3診療プランや体制の決定
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医師や看護師、相談員、事務スタッフなどが集まり、患者の症状や状況、家族の要望などを検討して診療方針を立て、初回の訪問診療の予定を組む。
- 4訪問診療の開始
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医師と看護師が専用車で訪問し、診療を行う。必要に応じて相談員や事務スタッフが同行することもあるそう。また初診では、ケアマネジャーや訪問看護師も同席して、今後の治療計画を細かく決めていく。
- 5緊急時の対応
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体調が急変した際は、往診を行う。同院では、夜間や休日も職員が電話対応を行っており、専用車の運転手も24時間体制で待機している。必要に応じて、東海大学医学部付属病院や伊勢原協同病院などと連携する。