平野 裕資 院長の独自取材記事
内科・泌尿器科 窪田医院
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日:2024/12/12
小田急線本厚木駅より自動車で12分ほどの場所に位置する「内科・泌尿器科 窪田医院」。2024年1月から院長を務める平野裕資先生は、防衛医科大学校を卒業後、泌尿器科の医師として防衛医科大学校病院に在籍した経験を持つ。同院は内科と泌尿器科を標榜し、内科は主に近隣から、泌尿器科は遠方から来る患者が多いという。平野院長の専門が泌尿器科であることから、夜尿症から前立腺関連の疾患まで幅広く診療していることが特徴だ。泌尿器科は他の診療科と比較しても「通院が恥ずかしい」と感じる患者が多いと語る平野院長。こうした患者への配慮として、ウェブ予約問診を導入するなどの工夫に取り組む。「患者さん一人ひとりと同じ土俵に立ってお話ししたい」と笑顔を見せる平野院長に、クリニックの特徴や今後の目標などを聞いた。
(取材日2024年7月12日)
めざすのは、誰もが受診しやすいクリニック
医師をめざしたきっかけは何ですか?
高校時代にお世話になった整形外科の先生との出会いがきっかけです。高校生の時にけがをして前十字靱帯と半月板を損傷し、手術を受けました。担当の先生はリハビリテーションまで診に来てくれて、当時かなり元気づけられたことを覚えています。私もこのような医師になりたいと思い、医療の道をめざすことにしたのです。防衛医科大学校を卒業後、2018年から防衛医科大学校病院の泌尿器科で勤務していました。泌尿器科を選んだ理由は多々あるのですが、まず勉強するうちに腎臓周囲の医学に興味を持ったことが挙げられます。その他、医局の雰囲気が良かったこと、先生方が丁寧に指導してくれたことも泌尿器科を専門に選んだ理由です。また、泌尿器科ではがんの手術だけでなく、前立腺肥大や尿管結石などの疾患の手術もあります。こうした手術を幅広く経験できる点も魅力に感じました。
前院長が鬼籍に入られ、平野院長が引き継がれたそうですね。その経緯を教えてください。
前院長の窪田隆浩先生は遠い親戚で、以前よりお世話になっていました。窪田先生が亡くなられた後、ご家族は閉院を考えていたそうなのですが、周りの方々から継続を勧められたそうなんです。そして私に声がかかり、引き継ぐことになりました。窪田先生の時代は内科・小児科を診療していましたが、私は泌尿器科が専門ということもあり、現在は内科・泌尿器科の診療を行っています。内科は窪田先生の時代から通われている患者さんが多く、ほとんどが地元の方ですね。主に血圧関連の疾患で来院される方が多いのですが、その他にも夜間頻尿の原因となる睡眠時無呼吸症候群の診療も行っています。一方で、泌尿器科は市内に少ないことから遠方からいらっしゃる方が多い印象です。疾患にもよりますが、最近は若い年齢層の方が増えています。
泌尿器科には、どのような患者さんが来られますか?
おしっこの症状で悩んでいる方や、性感染症を疑われた方が来院されています。患者さんの中には「恥ずかしい」「症状を伝えづらい」と思う方がいらっしゃいます。そのため、初診時にはあらかじめウェブから問診に回答できるようにして、少しでも通いやすいように工夫しています。また、当院は本厚木駅から自動車で12分ほど離れているため、人目も気になりにくく、来院のハードルも低いのではないでしょうか。主訴としては性感染症が多く、主に男性が来院されます。性感染症に関しては、早期に診察を受けることで早い回復が見込めるため、悩んだらすぐに来ていただくことを推奨しています。
男性更年期障害の診療にも注力し、専門的な治療を提供
夜尿症から前立腺関連の病気まで幅広く診療されていますね。特に注力されている診療はありますか?
男性の更年期障害の診療にも注力しているので、悩まれている方はぜひ足を運んでほしいですね。更年期障害というと女性の疾患をイメージされる方が多いかもしれませんが、実は男性にも見られることがあります。40歳から60歳の時期は、エストロゲンやテストステロンなどのホルモンの分泌量が減少するため、さまざまな身体的・精神的な症状が現れます。症状としては情緒不安定、ほてりや発汗を伴うホットフラッシュ、性欲の減退などです。当院では、更年期障害かを見極めるために症状を確認するとともに、テストステロンの低下があるかの検査を行います。当院のホームページに簡易問診があるので、気になる方はセルフチェックしていただくことをお勧めします。
「干渉電流型低周波治療器」を導入されているそうですね。どういった機器なのでしょうか?
骨盤底筋という筋肉の刺激を図り、頻尿・尿失禁などを改善に導くための医療機器です。導入した理由は、一定の割合でおしっこで悩まれている方がいるためです。患者さんによっては飲み薬で症状の改善が見込める方もいるのですが、なかなか治らない方や、他の病気で服薬治療をしているため泌尿器科の薬を内服できない方もいらっしゃいます。こうした悩みを抱える方に対して、飲み薬以外の選択肢として導入しました。また、当院では干渉電流型低周波治療器以外にもCT、膀胱鏡、超音波診断装置などを導入し、泌尿器科に関する病気を見逃さないように努めています。
将来的に取り組んでみたいこと、実現したいことなどはありますか?
医療機器の進歩により、最近では泌尿器科でも日帰り手術が実現できるようになってきたので、当院でも取り組みたいと考えています。これまで入院が必要とされていた手術がたくさんあるのですが、新しい医療機器により短期間で安全に配慮した上で手術を取り入れることができるようになりました。特に入院すること自体がリスクとなる方や入院できるような時間がなくて悩んでいる方にとって、日帰り手術は大きなメリットになるでしょう。当院も患者さんの負担を軽減しながら、有用な治療を提供していきたいと考えています。
患者一人ひとりと同じ土俵に立ち、安心の医療の提供を
患者さんと接する際に大切にしていることは何でしょうか?
当院では、診療が終わる際には必ず「質問はありませんか?」と確認するように心がけています。中には、自分の言いたいことを言えずに診察を終えてしまう患者さんもいるため、この一言がとても重要だと考えています。最後に質問を促すことで、患者さんが自身の症状や不安について話しやすくなり、納得感や満足感を持ってお帰りいただけるのではないでしょうか。こうした小さい配慮により患者さんは安心して治療を受けられ、信頼関係も築けるのだと考えています。また、受診の理由や背景を聞き出すことで、より適切な治療を提供できるため、より良い診療にもつながっています。
平野院長が理想としている医師像をお聞かせください。
私個人の意見ですが、一つの理想像を持つのは違うのかなと思っています。患者さんは一人ひとり症状も違いますし、感情も異なります。そのため、医師は患者さん一人ひとりに合わせていくべきだと思うのです。医師として一つ上の段から話してしまうと、患者さんは話しづらくなってしまうかもしれませんよね。お互い人間同士なので、同じ土俵に立って目線を合わせ、コミュニケーションを取っていきたいと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
泌尿器科は「恥ずかしい」と感じる患者さんが多い診療科です。そのため、受診をためらう方も少なくありません。しかし、泌尿器科には重要な疾患が隠れている場合が考えられるため、早期発見・早期治療が大切です。当院では、こうした患者さんの不安を軽減するために、ウェブから回答できる予約問診を導入しています。対面で話すことなく、症状や悩みを事前に伝えられるので、受診のハードルは低いと思います。泌尿器に関する悩みであれば、どんな些細なことでも結構ですのでお気軽にご相談ください。