田島 雄介 院長の独自取材記事
田島外科
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日:2025/01/14
![田島雄介院長 田島外科 main](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_banner_url/81953/20230302_61115_top.jpg)
厚木市の中央部で開業して以来、地域に密着した診療を続けてきた「田島外科」。外科を掲げつつ生活習慣病などの内科診療や整形外科、乳腺外科など幅広い診療を行っている。父である先代院長からバトンを引き継いだ田島雄介院長は、大学病院や肛門疾患の専門病院で診療の腕を磨いてきた。同院でも大腸肛門疾患の治療や胃・大腸の内視鏡検査に力を入れている。また同院には、遠方からも患者が訪れるという。専門性の高い診療技術に加え、痔の治療や大腸の検査について、女性も受診しやすいようにときめ細かく配慮する、そんな優しさも印象的だ。歴史あるクリニックを受け継ぎ、地域医療に貢献する田島院長に、同院の診療の特徴やめざすところなど、さまざまな話を聞いた。
(取材日2023年1月31日)
大腸肛門を中心に消化器、内科、整形外科と幅広く対応
こちらのクリニックについて教えてください。
![田島雄介院長 田島外科1](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url1/81953/pc_1.jpg)
当院は父が40年以上前に開業したクリニックで、一般外科、肛門外科、内科、消化器内科、女性医師による月に2回の整形外科、東海大学乳腺外科医による月2回の乳腺外科の診察など、高い専門性を持つドクターたちの力を借りながら幅広い診療を行っています。消化器内科では、私の母校や東海大学に在籍するドクターに手伝ってもらいながら、大腸カメラ・胃カメラと呼ばれる消化器内視鏡検査や治療を診療日に受けられる体制を整えました。また、私の専門分野である肛門外科では、いわゆる「イボ痔」や「あな痔」などの日帰り手術も可能です。一般外科としては、巻き爪や皮膚腫瘍の治療、外傷、やけどなども診ています。内科領域では、風邪や腹痛のほか、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の管理にも対応しています。
幅広い診療を行っているのですね。
そうですね。長年、地域のかかりつけ医として診療を行ってきたので、糖尿病や高血圧などの慢性疾患でいらっしゃる患者さん、捻挫や骨折、子どもさんのケガなど整形外科的な治療を求めて来る方も多い上、私が大腸・肛門を専門としているのでそちらの患者さんにも足を運んでいただいています。年齢層も幅広く、訴える症状も本当にさまざまですが、私が院長になって大腸・肛門の患者さんが増えてきました。
先生は2代目院長と聞きました。
![田島雄介院長 田島外科2](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url2/81953/pc_20230302_2.jpg)
2019年に父から院長を引き継ぎました。それまでも副院長として父の後を継ぐことを視野に院長業務を手伝っていました。しかし、クリニックのトップという責任ある立場はプレッシャーですし、患者さんの見る目も変わってくると思うので、精神的にはやはり副院長時代と違いますね。ずっと地域に密着した診療を行ってきた父のポリシーを受け継ぎつつ、私の専門領域である大腸・肛門外科と、消化器の内視鏡検査にも力を入れていきたいと考えています。父から学んだことは、ここでの診療の仕方や患者さんとの接し方。なにしろ父は40年もここで診療し、患者さんとの信頼関係をつくってきたドクターですから。しかし、めったに笑顔を見せない寡黙な父とは正反対の私にとってはなかなかまねできるものではありません(笑)。父とはスタイルが異なりますが、笑顔と傾聴を大切にしながら、患者さんとの信頼関係を築いていければと思っています。
日帰り手術を含めた肛門診療や内視鏡検査の普及に尽力
肛門疾患の日帰り手術について教えてください。
![田島雄介院長 田島外科3](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url3/81953/pc_3.jpg)
肛門疾患を診療しているクリニックが少ないせいか痔の相談はとても多く、海老名市や座間市など遠方からわざわざ来られる患者さんも珍しくありません。昔は痔の手術というと何日か入院するものでしたが、今では日帰りで済むケースがほとんどです。当院の手術は、以前に有床診療所だった2階フロアで行います。リニューアルしてオペ室の横には休憩室を備え、術後は必要に応じて休んでいただけるようにしました。日帰り手術というと経過に不安を持たれる方も多いので、緊急用の電話番号をお渡しします。夜間などに術後経過の不安や疑問などがあれば、お電話をいただいて構いません。私がお話を聞くことで患者さんも安心していただけたら良いです。
痔の治療は手術が中心になるのですか。
初期であれば軟こうや内服薬で対処が望めるケースが非常に多いですね。手術は患者さんにとって負担の大きい治療法ですから、むしろ、できるだけ手術以外の方法を選択するようお勧めしています。まず軟こうで治療し、それでも改善されないという場合に内痔核硬化療法と呼ばれる注射療法や切除手術をご提案する、という流れです。注射療法というのは、患部を切ることなく、1つの患部に対して薬剤を4箇所注射するというもので、肛門の奥にできる内痔核と呼ばれるイボ痔の一種に対して行います。痛みはそれほどでもなく、治療時間も10分程度なので身体的な負担の軽さが望めるのがメリットです。ただし、施術するには四段階注射法という技術を要するため、治療できるクリニックは限られます。当院では私がその技術の研鑽を積んできたので、注射療法も選択肢になるわけです。
胃と大腸の内視鏡検査について教えてください。
![田島雄介院長 田島外科4](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url4/81953/pc_20230302_4.jpg)
胃・大腸の内視鏡検査は診療日に毎日受けつけています。厚木市は40歳以上を対象にした胃がん検診で胃の内視鏡検査が選べるので、高齢者を中心に胃内視鏡検査のニーズは特に高いです。また、私が大腸・肛門の専門ということもあって血便の症状で来院される方が多く、大腸内視鏡検査を受ける方も増えています。さらに、当院では肛門疾患で手術を受けるすべての方に、がんの発生率が高いS状結腸や直腸などの大腸内視鏡検査を実施します。出血を主症状とすることが多い肛門疾患で、その奥に潜んでいるかもしれない大腸がんを見落としてはいけないという思いからです。前処置は、下剤ではなく術前の浣腸のみですので、手術の一環として受けていただけます。
女性が受診しやすい環境づくりにも注力して地域貢献を
肛門機能の検査や超音波検査にも注力しているとか。
![田島雄介院長 田島外科5](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url5/81953/pc_5.jpg)
肛門・大腸の診療をさらに向上させていきたいと考え、肛門機能検査機器を導入しました。これは肛門を閉める筋肉の強さや、直腸に便が貯まった時の反射を調べる検査で、例えば、高齢の方の便漏れや便秘の原因を診断したり、お尻の洗いすぎで問題が起こる温水洗浄便座症候群などの判断にも役立ちます。県央地区ではあまり導入されていない検査機器ですので肛門疾患の診療に生かしていきたいと考えています。また当院は超音波検査にも力を入れています。検査技師も在籍していますし、おなかの症状や肛門疾患、乳腺や整形外科領域まで幅広く検査することができます。こうした検査機器を活用して、幅広い症状を適切に診断し、必要に応じて専門的な診療につなげていく、かかりつけ医の役割をしっかりと果たしていきたいと考えています。
今後の展望についてお聞かせください。
大きな目標は、この厚木市で地域貢献をしていくということ。そのために力を入れていきたいのは、訪問診療です。オンライン診療にも対応して、足腰が弱って通院が難しくなった方だけでなく、仕事が忙しくてなかなか通院できないという方のニーズを満たしたいと思っています。また、医師会で学校保健を担当するようになり、学校医も務めるなど、子どもたちと関わることも増えました。厚木市は若い世代も多く、学校も多い地域ですので、子どもの健康づくりにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
![田島雄介院長 田島外科6](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url6/81953/pc_20230302_6.jpg)
そもそも人間は二足歩行でお尻に負担がかかっているので、誰でも肛門疾患になる可能性はあります。痔は男性に多い病気というイメージもありますが、妊娠中の便秘や分娩時のいきみなどが原因となり、産後に痔に悩む女性も多いと思います。恥ずかしいと受診を遅らせる方も少なくありませんが、痔だと思っていた出血の陰に、大腸がんや直腸がんなどの重大な病気が隠れているかもしれません。たとえ痔であっても、軽いうちに受診していただければ、手術ではなく軟こうなどでの治療が可能かもしれません。当院では、問診時に「痔」や「お尻」、「便」などの用語を極力使わないようにするなど、患者さんのお気持ちに配慮するよう心がけています。気になる症状や悩みがあれば早めにご相談いただき、大腸の検査も積極的に受けていただきたいと思います。