田島 雄介 院長の独自取材記事
田島外科
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日:2025/03/28

厚木市で約50年続く「田島外科」は、初代院長の父から引き継いだ田島雄介院長の専門である消化器外科・肛門外科分野の他、風邪や生活習慣病など内科全般、外傷・骨折をはじめとした外科全般の診療を行う総合型のクリニック。田島院長は「大学病院や肛門疾患の専門病院での経験をもとに、大腸肛門疾患の治療や内視鏡検査に注力しています」と話す。専門性の高い診療技術に加え、男女を問わず受診のハードルが高い痔の治療や大腸の検査も受けやすいよう、きめ細かく配慮。近隣の住民に親しまれ、遠方からも患者が訪れる同院の強みや診療方針などを、田島院長に詳しく聞いた。
(取材日2025年2月14日)
大腸肛門など消化器、内科、整形外科、乳腺外科に対応
こちらは外科以外にも広く診療されているそうですね。

当院を開業した父の時代は、外科全般から内科まで1人の医師で診ていましたが、現在は外科、内科、胃腸内科、肛門外科、整形外科、乳腺外科を標榜し、診療日により各専門の医師に担当してもらう体制です。例えば私の専門分野である大腸肛門外科は全診療日で対応でき、イボ痔やあな痔などの日帰り手術も可能です。さらに食道や胃などの上部消化管、大腸などの下部消化管に対する内視鏡検査も、私の母校や東海大学に在籍する医師の協力を得て全診療日で検査可能な体制となっています。整形外科は母校出身の女性医師が診療を担当。乳腺外科は東海大学の医師が診療し、女性医師の担当日も設けています。この他、巻き爪や皮膚腫瘍の治療、外傷、やけどなどの外科分野、風邪や腹痛、糖尿病・高血圧といった生活習慣病の管理などの内科全般にも幅広く対応しています。
専門の医師に診てもらえるのは安心感があります。
乳腺外科は月1回の診療だったところ、患者さんが増えてきたため診療日を月2回に拡充しました。特に女性医師の担当日があるのは女性の患者さんも受診しやすいのではと思います。整形外科も月2回で、捻挫や骨折、お子さんのケガ、外傷の後遺症などの治療にあたっています。私も外科全般を診ていますが、必要に応じて専門の医師と院内で連携し、より精度の高い診療をめざせるのも当院の特徴でしょう。また月2~3回、私の恩師であるベテラン医師が月曜午前中の診療を担当しています。私とは違う視点で患者さんを診てもらえるのは大きなメリットです。
先生が院長になられてからの思いをお聞かせください。

私は2019年に父から院長を引き継ぎました。それまでも副院長として院長業務を手伝い、当院を開業して患者さんとの信頼関係をつくりあげてきた父から多くを学びましたが、クリニックのトップとしての責任感は副院長時代とは大きく違いますね。しかも、めったに笑顔を見せない寡黙な父とは正反対の私にとって、その診療スタイルまでまねるのは難しくて(笑)。父とはスタイルが異なりますが、笑顔と傾聴を大切にしながら、患者さんとの信頼関係をより深く築いていければと思っています。診療面ではずっと地域に密着した診療を行ってきた父のポリシーを受け継ぎつつ、私の専門領域である大腸・肛門外科分野と、消化器の内視鏡検査にも力を入れたいと考えています。
日帰り可能な肛門診療や受けやすい内視鏡検査を提供
肛門疾患は日帰り手術が可能と聞きました。

以前の痔の手術は入院が一般的でしたが、今では日帰り手術を導入する医療機関が増えています。海老名市や座間市など遠方から来院される方もいますし、病院から「痔の日帰り手術を行っているクリニック」と紹介していただくこともあります。当院の医院名は外科で、しかも多様な分野を診ているため、患者さんは肛門の病気と思われにくい安心感もあるのでしょう。肛門疾患のご相談は非常に多いですね。当院での手術は、以前に有床診療所だった2階フロアで行います。リニューアルして手術室の横にはリカバリー室を備え、術後はリカバリー室で4時間くらい安静にしていただいています。帰宅後に術後合併症を起こす可能性もあるため、休日や夜間でも対応できるように緊急用の電話番号も渡していますので、安心して日帰り手術を受けてもらえればと思います。
痔の治療は手術が中心になるのですか?
初期であれば軟こうや内服薬で対処が望めるケースが非常に多いですね。まず軟こうや内服薬で治療し、それでも症状が改善されない場合に注射療法や切除手術をご提案する、という流れです。注射療法は患部を切ることなく、1つの患部に対して薬剤を4ヵ所注射するもので、内痔核と呼ばれるイボ痔の一種に対して行います。痛みはそれほどでもなく、治療時間も10分程度なので身体的な負担の軽さが望めるのがメリットです。デメリットとして内痔核にしか注射できないところです。この注射療法を行うには、内痔核四段階硬化療法の講習を受けることが必須であるため、治療できるクリニックは限られると思いますが、当院では私がその講習を受けているため、選択肢としてご提案できます。
内視鏡検査が受けやすくなる工夫もされているそうですね。

厚木市では胃がん検診で胃の内視鏡検査を選ぶ方も増え、私が大腸・肛門の専門なので、血便の症状で来院される方への大腸の内視鏡検査も多くなってきました。そうした状況を受けて、当院では内視鏡検査は全診療日で予約可能にして、患者さんが日程の調整をしやすくしています。さらに鎮静剤を用いて検査を行う他、内視鏡検査に習熟したスタッフも適切にサポート。大腸の内視鏡検査で必要な胃腸に送るガスに炭酸ガスを使用します。炭酸ガスは、普通の空気を送入するのに比べて検査後にお腹が張るつらさをスムーズに解消へとつなげてくれます。さらに、当院では肛門疾患で手術を受けるすべての方に、がんの発生率が高い下行結腸、S状結腸および直腸を対象にした内視鏡検査を実施。前処置は術前の浣腸のみなので、手術当日の直前に受けていただきます。こうした受けやすさをめざした内視鏡検査が、がんの早期発見に役立てばと考えています。
男性も女性も受診しやすい体制で病気の早期発見を
肛門機能の検査や超音波検査では何がわかりますか?

肛門・大腸の診療をさらに向上させたいと考え、肛門機能検査機器を導入しました。これは肛門を締める筋肉の強さや、便を出すときに肛門と腸の強さなどを調べる検査で、例えば、便漏れや便秘の原因などの診断に役立ちます。また当院は超音波検査にも力を入れています。検査技師も在籍していますし、おなかの症状や肛門疾患、乳腺や整形外科領域まで幅広く検査できます。こうした検査機器を活用して、幅広い症状を適切に診断し、必要に応じて専門的な診療につなげていく、プライマリケアの役割を果たしたいと考えています。
地域に向けた活動への取り組みも教えてください。
現在は厚木市医師会の理事で学校保健の担当になり、私自身も学校医を務めるなど子どもたちと関わることも増えました。厚木市は若い世代も学校も多い地域なので、子どもの健康づくりにも医師会として積極的に取り組みたいですね。また、医師会では私と同世代の40代〜50代の医師を中心としたグループであるNext Gen 厚木医師の会に参加したことで、多分野の医師が各専門分野の新たな知識を共有し合う機会も得ています。これは患者さんを他のクリニックに紹介したり、当院での幅広い診療に生かしたりする参考になり、地域医療に広く役立つ知識となっています。
最後に地域の方にメッセージをお願いします。

当院は外科・内科を全般的に診療するプライマリケアのクリニックの役割を担い、多様な分野の専門の医師も対応可能です。何か健康面のご不安や病気の心配があれば、遠慮なく当院を受診していただければと思います。特に私の専門である肛門疾患は誰でもなる可能性のある病気。痔は男性に限らず、妊娠中の便秘や分娩時のいきみなどが原因となり、産後に痔に悩む女性も多いと思います。また、痔だと思っていた出血の陰に、大腸がんなどの重大な病気が隠れているかもしれませんし、痔でも早期なら手術ではなく軟こうなどで治療できる可能性が高まります。当院では、問診時に「痔」や「お尻」、「便」などの用語を極力使わないようにするなど、患者さんのお気持ちに配慮するよう心がけています。気になる症状や悩みがあれば早めにご相談いただき、大腸の検査も積極的に受けていただきたいと思います。