生活の質に直結する睡眠時無呼吸症候群
生活習慣病との関連も
茅ヶ崎金沢内科クリニック
(茅ヶ崎市/茅ケ崎駅)
最終更新日:2024/07/09
- 保険診療
一説には、治療を受けていない潜在的な患者が日本国内だけで500万人いるともいわれる睡眠時無呼吸症候群。頻繁に夜間の無呼吸状態に陥ることで、糖尿病などの生活習慣病や心血管疾患などを合併するリスクが高まるという。気がかりな症状について相談したい場合、どのようなクリニックを選べばいいのだろう。「茅ケ崎金沢内科クリニック」の石川友一院長は大学院の博士課程を修了後、大学病院や基幹病院で循環器疾患のエキスパートとして命に関わる数多くの症例を経験。同院では睡眠、運動、食事の切り口から、循環器疾患につながる生活習慣病を予防的側面からもケアしているという。そのために必要なライフスタイルを全力でサポートしたいと話す石川院長に、睡眠時無呼吸症候群の病態や検査、診断、治療法に関する見解を聞いた。
(取材日2024年6月18日)
目次
「睡眠の質」の改善に着目。 症状に気づきにくい睡眠時無呼吸症候群の検査も大切
- Q睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気ですか。
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A
睡眠中に、喉周囲の気道が狭くなることで呼吸が止まる病気です。睡眠中に呼吸が止まると低酸素状態になるので、息苦しくなり目が覚めることに。また交感神経が活性化します。緊張状態が継続することで血圧上昇につながり、高血圧症、狭心症、心筋梗塞などの心血管疾患などの健康被害を誘発します。閉塞性睡眠時無呼吸タイプと中枢性睡眠時無呼吸タイプの2種のうち、国内罹患者の多くは前者に属することから、「睡眠時無呼吸症候群」といったら一般的には「閉塞性」を指すことが多いのが現状です。「肥満」が原因で喉に脂肪が蓄積し、気道が狭くなる患者さんのほか、下顎の大きさ、睡眠時の体勢などと関連して発症する場合もあります。
- Q睡眠時無呼吸症候群と糖尿病には関連性があると聞きました。
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A
睡眠の質が低下すると、交感神経が活性化し緊張状態に陥ります。緊張状態下の体内ではカテコールアミンというストレスホルモンが過剰に分泌され、それによって血糖値や血圧が上昇し、脂肪が蓄積されやすくなります。脂肪が増えると体内のインスリンが正常に働かなくなるため、糖尿病につながりやすくなることに。睡眠時無呼吸症候群の罹患者と一般の人の糖尿病罹患リスクを調査したところ、前者が1.62倍の高さであったという調査結果もあります。また睡眠時無呼吸症候群の症状が重いほど、糖尿病を引き起こしやすくなるという報告も存在します。こうした調査などから、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の因果関係は認められるといえるでしょう。
- Q検査、診断、治療法について教えてください。
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A
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合、まず簡易検査を行います。ご自宅にパルスオキシメーターを持ち帰り、1~3晩ほど睡眠中の低酸素状態や無呼吸の回数などをチェック。簡易検査で重度の無呼吸状態と診断された場合は、CPAP治療を開始。簡易検査だけでは診断を確定できない場合は、PSG(ポリソムノグラフィ)という精密検査を行います。精密検査の結果、CPAP治療に適応する症状レベルであると診断が下された際は、CPAP治療へ移行します。軽度・中等度レベルの患者さんに向けてマウスピースを用いた治療という選択肢もありますが、治療の有用性から判断して当院では条件を満たす場合はCPAP治療を推奨しています。
- Qどのような場合に、検査を受けたほうがいいのでしょうか。
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A
症状は睡眠中に生じるため、本人が症状に気づきにくいのが特徴の一つ。代表的な症状は、起床時の頭痛、熟睡感の欠如、日中の強烈な眠気、集中が続かない、「いびき」を指摘される、気持ちがふさぎがちになるなど。検査を受診する機会が限定的になっている状況下において、一説には国内の潜在患者数は500万人いるといわれますが、受診にたどり着く人は多くありません。自覚症状の有無に関わらず、誰もが罹患の可能性を有する睡眠時無呼吸症候群。定期的な健康診断の感覚で簡易検査を受けることをお勧めします。睡眠中に手の指などにセンサーをつけ、酸素飽和度から罹患の可能性を調べる検査なので、日常生活を心配する必要はありません。