石川 友一 院長の独自取材記事
茅ヶ崎金沢内科クリニック
(茅ヶ崎市/茅ケ崎駅)
最終更新日:2024/07/09

茅ケ崎駅南口から徒歩1分のビル2階にある「茅ヶ崎金沢内科クリニック」。階段を上がり院内に入ると、受付スタッフが笑顔で出迎えてくれる。院内は白ベースの色調で統一されており、清潔感があふれた空間が印象的である。2024年4月から院長を務める石川友一先生は、2010年に北海道大学大学院医学研究科博士課程を修了。北海道大学のほか、九州や東京都内で数多くの循環器系疾患の診療や画像診断について研鑽。日本循環器学会循環器専門医、日本超音波医学会超音波専門医資格を持つスペシャリストとして、臨床経験と実績を重ねてきた。同院では生活習慣病のサポートから心血管疾患まで幅広く対応。今回は石川院長に、同院の特徴や強み、日々の診療において心がけていることなどを聞いた。
(取材日2024年6月18日)
生活習慣病と循環器疾患を2本柱に、地域の健康を守る
先生のご専門は循環器だそうですね。

2010年に北海道大学大学院医学研究科、博士課程を卒業した後、北海道大学や福岡市立こども病院で数多くの循環器系疾患の治療を手がけてきました。拠点を都内に移してからは、府中の榊原記念病院や心臓画像クリニック飯田橋に勤務し、画像診断を中心に研鑽を積みました。循環器疾患と歩んできたこれまでの医療人生において、その症状に至る前段階の高血圧、糖尿病、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群などの生活習慣病のサポートがいかに重要であるかを実感しております。さらには生活習慣病に進行しないよう、ライフスタイルのアドバイスなども必要となるでしょう。当院では、これまで培ってきた知識と経験を生かして、患者さん一人ひとりのニーズに合わせたサポートに邁進したいと考えています。
こちらの院長に就任された経緯は?
先述した心臓画像クリニック飯田橋の事務長が当院の母体である「医療法人みなとみらい」とご縁があったことがきっかけで、今回お声がけいただいたのです。これまでも予防医療に興味があったので、新たな分野にチャレンジすることができることにとても魅力を感じましたし、あともう一つ、かねてより私が関心を寄せていた睡眠時無呼吸症候群の治療に当院や同法人が力を入れていたことも、決意を後押ししました。中壮年期だけではなく若年層にも起こり得るこの疾患と真摯に接し、この分野を深掘りしたいと思っています。
クリニックの診療の特徴について伺います。

「生活習慣病と循環器疾患」の2軸を中心とした治療を行っております。まず1つ目の生活習慣病については、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、コレステロールや血圧、甲状腺などに関わる疾患を予防的なステージからサポートしています。中でもとりわけ力を入れているのが、当院が着目する「睡眠の質」の向上にも関連している睡眠時無呼吸症候群です。入院することなく外来で精密な検査を受診いただける体制を整備していることが強みの一つですね。2つ目の循環器疾患については、私がこれまでに培った専門知識や画像診断に基づく論理的アプローチを柱とした治療に臨んでおります。手術が必要な症例においては、実績のある専門の医療機関をご紹介することも可能です。患者さんの健康寿命を延ばし、生活の質を維持することにフォーカスした治療を提供すべく努めてまいります。
「睡眠の質」の向上にこだわる診療体制を確立
どのような患者さんが来られていますか?

当院に来院される患者さんの大半が、糖尿病をはじめとする生活習慣病や甲状腺疾患などに関するお悩みを抱えています。風邪など身近な一般内科系の診療を求められる方は、あまり多くない印象です。あと、近隣に甲状腺を扱うクリニックが少ないということもあり、甲状腺に関する数多くのご相談を承っております。茅ケ崎駅の南側に古くから住んでいらっしゃるご高齢の方も多くおみえになるので、患者さんの年齢層は高いほうかもしれないですね。私の専門分野の一つが、超音波検査とその画像データからの診断なので、ご高齢患者さんにとって身体的、精神的負担がほとんどないこの検査を活用し、精度の高い診断につなげたいと思っています。
こちらのクリニックが、睡眠に着目した診療を行うようになったそもそものきっかけは?
「睡眠の質の向上」は、当院の母体である「医療法人みなとみらい」の診療コンセプトの一つです。法人理事長が横浜市立大学で糖尿病の治療に携わる状況下において、糖尿病や生活習慣病の治療は大学病院や大規模な高度医療機関よりも、地域密着型のクリニックのほうが適していると考えたことが出発点となり、糖尿病、生活習慣病を軸にしたクリニックを立ち上げたんです。その後、糖尿病と「睡眠の質」にフォーカスし、同法人の基幹クリニックである「みなとみらいクリニック」で、「睡眠の質」の向上を基本に据えた診療体制が確立され、当院や他のグループ院でも同じ方針で診療を行うようになりました。最近では、健康の源泉につながる「栄養と運動」に着目した取り組みも開始し、運動療法の提供を実現すべく準備を進めているところです。
クリニックの強みについてお聞きします。

私は大学卒業後、長年にわたり循環器疾患を専門に研鑽してきましたが、もう一つの専門分野として超音波検査とその画像データからの診断を得意としています。ご高齢の患者さんに適した、身体的、精神的負担がほとんどないこの検査を活用し、精度の高い診断につなげたいと思っています。また私は、スポーツ医療についても専門的に学んでいて、それも当院の強みと言えるかもしれません。循環器の専門知識と、スポーツ医療の専門知識を生かして、その方の心肺機能を考慮した軽度なストレッチ運動に関するアドバイスなども可能です。当院では、先進の医療機器を駆使し、科学的データに基づく論理的ケアの提供に努めています。現在の課題は、患者さんにそのデータの意味を「いかに短時間で理解していただくか」という点。日々の診療を通して、最適解を見いだせればと思っています。
「睡眠、運動、食事」の切り口から生活習慣改善を支援
診療で心がけていることは何ですか?

大学時代の友人が、現在は米国で緩和ケアの分野で活躍しているのですが、その友人と頻繁に話すようになってから、次第に教科書的な治療よりも、患者さんの希望を優先するべきであろうと考えるようになりました。例えば、カテーテル治療を推奨すべき狭心症や心筋梗塞の患者さんがいると想定しましょう。カテーテル治療を施さないことには、命に危険が及ぶ可能性がある。しかし、患者さんが「やりたくない」という意思を堅持しているのであれば患者さんの想いを尊重したいというのが私の考えです。これはあくまでたとえ話ではありますが、日々の診療においても、患者さんの社会的な立場、思想的な背景、置かれた環境を最大限に重視した診療を心がけています。また、不安を抱えて来院される患者さんに、リラックスした気持ちで受診していただけるよう私を含めたスタッフ一同、コミュニケーションの一つ一つに心を配っております。
院長としての抱負をお聞かせください。
循環器分野を専門に、これまで長年にわたって心筋梗塞をはじめとする心血管疾患の診療経験を深めてまいりました。心血管疾患罹患者の多くは、その症状に至る手前で高血圧症や糖尿病を発症しています。医療従事者として未然に心血管障害を防ぐことが大事だとわかっていながらも、日々の業務に追われ、なかなかそのことに手をつけることができなかったんです。ですが2024年4月に当院の院長に就任したことで、自身の診療範囲を生活習慣病のサポートから心血管疾患までと幅を広げることができました。新たな「やりがい」を見つけた今、とても新鮮な思いで毎日を過ごしています。私の専門領域の一つでもある画像診断の技術も活用して、論理的なケアを通じて地域医療に貢献できるよう力を尽くしていきたいです。
今後の展望をお願いします。

医療用画像の国際標準規格として、DICOM(ダイコム)というフォーマットがあります。静止画像データ用フォーマットJPEGと同じような位置づけのもの、とお考えください。大きな医療機関や自宅から離れたクリニック、検査機関で撮影したものであっても、その画像を持参いただければ当院で適切に解析し、わかりやすく説明させていただけます。一度の説明で理解ができず不安が残っているというケースは少なくありません。今後は、そのような繊細な患者さんのご不安についても丁寧に拾い上げていきたいと思っています。「睡眠、運動、食事」の切り口から生活習慣を支える地元クリニックに、気軽にご相談いただければ幸いです。