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長岡 千春 院長の独自取材記事

緑が浜こどもクリニック

(茅ヶ崎市/辻堂駅)

最終更新日:2023/11/22

長岡千春院長 緑が浜こどもクリニック main

辻堂駅から車で約5分の住宅街にある「緑が浜こどもクリニック」。おしゃれな一軒家という風情は周辺の雰囲気になじみ、看板がなければクリニックとはわからないたたずまいだ。一歩中に入ると、外観の印象もそのままのくつろげる空間が広がっている。「ここはもともと私が3歳の時から大学生になるまで暮らしていた実家をリフォームしたのですよ」と、にこやかに迎えてくれたのは院長の長岡千春先生。大学では感染症を学び、大学病院や総合病院、診療所での勤務経験を持つ。開業したのは治療だけでなく、その後の成長も見守っていきたという思いからだという。子どもはもちろん、家族にも寄り添える医師でありたいという長岡院長に、小児医療への思いを聞いた。

(取材日2021年10月19日)

3歳から暮らした実家を改装し、くつろげる空間に

温かみのある院内でくつろげます。ご自宅を改装されたそうですね。

長岡千春院長 緑が浜こどもクリニック1

はい。リフォームにあたって業者の方には、あまり診療所らしく見えないよう、親しみやすい雰囲気にしたいとお願いしました。待合室の暖炉は実際に使っていたものですが、開口部を塞いでアクセントとして残しました。第1診療室はもともとキッチンとダイニング、第2診療室は妹と弟の部屋だったところです。それぞれの診療室から外がよく見えるようになっているところが、気に入っています。母が長年手入れをしてきた庭には、鳥や虫がやってきたり、季節によってはモミジや夏ミカンの木に果実がたくさんぶら下がったりするのです。私も大好きなのですが、お子さんたちにも好評です。

どういった患者さんが多いのですか?

風邪など一般診療の患者さんが多いですが、アレルギー疾患に特化した外来もあるのでアレルギーの診療で通院する患者さんの割合は高いですね。特に多いのは、アトピー性皮膚炎を含めた湿疹です。アレルギーが絡むお肌のトラブルは、お薬を出せばすぐ治るというものではなく、良くなったり悪くなったりを繰り返します。どうしても長くかかってしまいますので、延べ人数が多くなるのでしょうね。最近は、世間一般の傾向でもありますが、食物アレルギーの患者さんが増えていると感じますね。親御さんは比較的、若い方が多いです。近隣には幼稚園や小学校が多く、海にも近いこともあって子育てしやすい環境ということで移り住む若い方が増えたのだと思います。

先生は、なぜ小児科の医師になったのですか?

長岡千春院長 緑が浜こどもクリニック2

医師という職業を意識し始めたのは、中学生の頃でした。恵まれない人々のために尽くす修道女の映画に感銘を受けて、自分にも何かお手伝いできることがないだろうかと考え、人を救うには医師になればいいと思ったのです。医学部に進み、内科と小児科の選択で迷いましたが、当時の内科は消化器内科、循環器内科など臓器別が主流でした。私は患者さんの全体を総合的にケアしたかったので、小児科を選んだのです。ただ、それ以前に、幼い頃の記憶がベースになっていると思います。私には年の離れた妹と弟がいるのですが、当時はもう一人の小さい母親という感じで、おむつ替えなどを喜んでやっていました。下の子のお世話が楽しくて、小さな子が好きになったというのも、大きかったのではないでしょうか。

子どもたちの成長を見られることが、小児科の醍醐味

開業されたのは、どういった理由からですか?

長岡千春院長 緑が浜こどもクリニック3

小児科医師の一番の醍醐味は、子どもたちが元気に育っていく姿を見られることだと私は思います。けれども大学病院では、専門性が細分化されていて、自分の領域でない場合は、診られないこともありました。また治療が終われば、そこで子どもたちとの関係が終わることがほとんどです。やはり、ずっと寄り添っていられるような関係でいたかったし、子どもたちの成長を見守っていきたいという思いがありました。それが大きいですね。大学病院にいた頃のように、難しいことはできませんが、それこそ転んでケガをしたとか、風邪をひいたとか、そういった日々に関わりたかったのです。ここなら、小さい頃大騒ぎしていた子が、落ち着いて良いお兄さんになっちゃってみたいな(笑)、そういう成長が見られます。時々街で会ってあいさつをされたり、コンビニでアルバイトをしていたりするのを見たりすると、本当にうれしくなります。

ご専門の分野について教えてください。

大学では感染症の班に所属していましたが、大学を卒業してからアレルギーの勉強をして、日本アレルギー学会アレルギー専門医の資格を取得しました。大学病院を出て5年ほど勤めた診療所の院長で、小児アレルギーを専門としている矢野靖子先生との出会いがきっかけです。矢野先生は患者さんのご家庭のことなど、生活スタイルや背景まで聞いた上で診療にあたります。例えばアトピー性皮膚炎の塗り薬を処方するのにきちんと指示どおりに使っているご家庭もあれば、それがなかなか難しい家庭もあります。そういった患者さん一人ひとりの生活背景まで把握して方針を考えていくことが大事だということを学びました。丁寧に時間をかけて診る外来スタイルを尊敬し、継続的なアレルギー診療に興味を持ったのです。

力を入れておられる治療や、取り組まれていることは何ですか?

長岡千春院長 緑が浜こどもクリニック4

アレルギー専門医資格を取得したので、喘息、アトピー性皮膚炎の治療をはじめ、食物アレルギーの食物負荷試験、ダニやスギの舌下免疫療法など枠を広げて診療にあたっています。それから、発達障害や心の問題についても相談を受け入れています。発達障害は以前に比べて情報も多く、理解度もかなり高くなっていますが、境界領域の子どもたちも多く、その保護者や子どもたちの困り感に寄り添い、どのように対応していけばよいか医師として一緒に考えていくことが大切だと思っています。どこに相談してよいのかわからない、と悩まれている方が気軽に相談できる窓口になれればと思います。

子どもだけでなく、家族にも寄り添いたい

ところで、休日はどのように過ごしていますか?

長岡千春院長 緑が浜こどもクリニック5

日々の診療で姿勢が悪くなりがちなので、7年くらい前からヨガを始めました。とにかく、すごく気持ちが良いんです。運動不足の解消と気分転換を兼ねて、自宅から20分くらいかけて自転車で通っています。小さい頃からの趣味であるバイオリンを演奏することもあります。どこかの団体に所属して演奏したいと思っていますが、今のところは、大学時代や昔入っていた地域オーケストラのOB演奏会などに、たまに参加するくらいですね。もちろんセミナーや勉強会に参加することもあります。今は、娘に手がかからなくなった分、以前より自分のために時間を使うようにもなりました。

子育て中の方に向けてアドバイスをいただけますか?

子育てしづらい世の中だとおっしゃる方もいますが、昔と比べれば、子育て世代にとって非常に便利な環境になりました。お出かけスポットのトイレには、たいていおむつ替えの台がありますし、授乳室のあるショッピングモールなども珍しくありません。ただ、お出かけの前に、その外出は赤ちゃんにとって、本当に必要なのかを考えていただきたいですね。もちろん親御さんのリフレッシュも大切ですが、人込みの中に連れて行くと感染症のリスクも高まります。いろいろな場所に連れて行って刺激を与えたいという方もいるかもしれませんが、わざわざ商業施設に行かなくても、公園やご近所を散歩して自然を感じるだけでも、お子さんには十分に刺激になりますよ。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

長岡千春院長 緑が浜こどもクリニック6

何でも相談できるかかりつけ医を、できれば自宅のご近所で見つけましょう。いくら評判が良くても家から遠いと、ちょっと気になることを気軽に聞けません。通うのに無理のない範囲で、親御さんと気が合い、説明に納得できる医師を探してください。聞きたいことが聞け、教えてもらいたいことを教えてもらえれば、かかりつけ医としてうまくお付き合いしていけるはずです。私自身も、そういう医師でありたいと考えながら患者さんと向き合っています。小児科の医師としてお子さんだけでなく、親御さんやご家族にも寄り添わなくてはと思っているのです。先ほどお話しした発達障害もそうですが、昔より心の問題で困っている方は多いと感じています。ですから専門的な治療が必要なのか、おうちの対応でなんとかなるのかというご相談はもちろんですが、ここで話をすることで少しは楽になっていただければうれしいですね。

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