渡邊 清治 院長の独自取材記事
渡邊内科クリニック
(小田原市/小田原駅)
最終更新日:2025/05/30

JR東海道線・小田急線の小田原駅東口から徒歩約2分、海産物店や土産物店、飲食店などが立ち並ぶ駅前商店街の中にたたずむのは、2000年に開業した「渡邊内科クリニック」だ。院長の渡邊清治先生は、生まれも育ちも小田原市。駅前で自営の店舗を構える両親の背中を見て育ち、医師として地域に貢献したいと開業に至ったという。「一般的な保険診療をベースとしながら、いかに皆さんの健康寿命を延ばす手助けができるか、常にアンテナを張っています」と穏やかな笑顔を見せる渡邊院長に、同院の診療の特徴や診療方針、地域への想いなど幅広いテーマで語ってもらった。
(取材日2025年2月20日)
「沈黙の臓器」肝臓を専門に、内科一般を幅広く診療
居心地の良いクリニックですね。

「医療機関らしくない」雰囲気づくりをコンセプトとし、気軽に受診していただけるよう随所に気を配っています。内装もどちらかというと病院というよりカフェのようなリラックスできる空間をイメージしており、私も看護師らスタッフも、白衣ではなくプリントシャツを着て対応しています。病院に来ると血圧が上がってしまうという患者さんもいらっしゃいますので、緊張したり、嫌な思いをしたりしてほしくないなと。当初は白衣を着ていたのですが、シャツにしたところ意外に患者さんからも好評で、すっかり当院のトレードマークのようになりました。
クリニックの特徴を教えてください。
肝臓をメインに消化器内科を専門としているのが特徴でしょうか。近隣の先生方にはよく知られており、肝臓疾患の方のご紹介を受けることも少なくありません。しかし、内科一般診療や各種検査、ワクチン接種など幅広く対応していますので、当院をかかりつけとしている患者さんにはあまり知られていないようにも感じています。また、加齢に伴うさまざまな不調、お悩みといった、いわゆるエイジングケアのご相談にも積極的に取り組んでいます。一般的な保険診療をベースに、プラスアルファとして、皆さんの健康寿命を延ばす手助けができればと思っています。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれているそうですね。

肝臓は大きな臓器で部分的に損傷があっても働き続けることができ、病気になっても自覚できる症状が出にくいことから「沈黙の臓器」と呼ばれます。B型、C型といったウイルス性肝炎へのインターフェロン治療を長く手がけてきましたが、肝臓疾患の治療は近年大きく進化しました。C型肝炎は内服で治癒をめざせるようになり、B型肝炎も新しい薬がたくさん登場し進行抑制も期待できるようになりました。対して、時代的に世界で注目されているのは脂肪肝です。アルコール性のものをイメージされる方も多いようですが、ラーメンやパンなどの糖質の多いメニューを夜遅く取るといった食生活に起因する栄養性脂肪肝は、20代〜50代に多く見られ、肝臓がんに移行するケースもあるので要注意です。今のところ確立された治療法がないため、栄養指導で改善をめざします。当院では、経時的な血液検査の数値に画像検査を加え、しっかりとフォローアップしています。
消化器がんの早期発見と予防医療に注力
近年、特に力を入れていることがあれば教えてください。

一つは消化器がんの早期発見です。発がん物質であるピロリ菌の有無を調べるABC検査や、苦痛の少ない経鼻内視鏡検査などを実施しています。がんの検査も進歩しており、従来は難しかった膵臓がんも、早期発見が期待できるようになっており、無駄なく身を守るためにはいろいろな検査を組み合わせて穴を埋めていくことが必要ですので、患者さんにもそのようにアドバイスしています。もう一つは予防医療ですね。中でも老化のメカニズムや危険因子に関する情報に着目しています。当院では人間ドックを行っていますので、さまざまな検査結果をもとに食事や運動の指導やアドバイスに力を入れています。
エイジングケアに役立つアドバイスもしてくださるのでしょうか。
一般的にエイジングケアというと、美容的なアプローチをイメージする方も多いかもしれません。しかし、私のいうエイジングケアは、年齢とともに劣化していく全身の細胞や臓器をどうメンテナンスしていくかをテーマにしています。超高齢社会を背景に、さまざまな器官・臓器で「高齢者が病気にならないために、どうケアをしていくか」といったテーマに取り組んでいますが、それでは遅いかなと思っています。というのも、「皮膚の劣化を防ぐために、20代からお手入れしなさい」と同じなんです。「若い頃から全身のケアをしていけば、健康を少しでも長く維持していける可能性が高くなる」ということを普及させたいと思っています。
最近気になる症状などあれば教えてください。

近年、スローフードアレルギー(遅延型食物アレルギー)の方が増えてきたように思います。よく知られている食物アレルギーでは、特定の食物を食べた直後に強い反応が出ますが、スローフードアレルギーでは時間をかけて弱い反応が出るため、原因に気づきづらいのです。一般的なアレルギー症状に加え、慢性的な頭痛やアトピー性皮膚炎、うつなどの症状なども報告されています。小さい頃から好きでよく食べているものが、実は長く続く体の不調の原因であるというケースもあるようです。
愛着ある地元での暮らしを、医療の側面からサポート
医師を志され、地元・小田原での開業に至られた経緯を伺えますか?

小さい頃から体が弱く、かかりつけの先生によく診てもらっていたので、医療が身近な存在でした。仕事として、人の役に立ちたいと医学の道を志したのです。北里大学医学部卒業後は病理学教室に入りました。10年ほど研究と教育、病理診断を行いました。中でも好きだったのは患者さんの病歴や診察で得た情報から病気を推測する病理診断で、診断の結果をドクターに送ることにやりがいを感じていました。当時はすごく恵まれた環境で、脳から皮膚まで、つまり頭からつま先まで、全身の病理組織を診ることができていたんです。私の専門は肝臓なので、肝臓疾患の外科や内科の先生たちとも数多くの症例を検討し続けてきました。10年続けた後、病理診断を一生続けていこうかと迷いましたが、患者さんに直接接したいと考え、臨床医として開業しようと決意しました。慣れ親しんだ小田原で、地域の皆さんの暮らしを医療の面からサポートしていきたいと考えたのです。
休日の気分転換に楽しんでいらっしゃることがあれば教えてください。
やはり体を使わないと老化してしまいますので、休日は体を動かすことを意識しています。要は、太りたくないんです(笑)。最近は下手なりにゴルフ一本で楽しんでいます。そうすると、「ゴルフのために」と日常的に筋トレをするようになったりするものです。あとは、小田原医師会の会長として、さまざまな業種の人たちと意見を交わし、地域を盛り上げていくための取り組みも行っています。医療の視点では、診療から完治、もしくは亡くなるまでを地元で完結していくことが目標です。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

体に悩みを抱えつつ「どこに相談したらよいのかわからない」と迷っている方がいらっしゃれば、ぜひご相談いただきたいと思います。健康診断の結果の見方がわからないといった方もぜひいらしてください。一緒に健康を守るために今できることを考えていきましょう。かかりつけ医として、内科や皮膚科、眼科、泌尿器科など、さまざまな分野のスペシャリストたちとも連携しながら、一人ひとりの健康状態や年齢などを考慮したご提案をできればと思っています。おかげさまで多くの方に来院いただき、少し待ち時間が長くなってしまうことがあるのが難点ですが、長くクリニックを支えてくれているスタッフが、丁寧に対応してくれています。まずはお気軽にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/基本4万2000円~